エピローグ
季節は冬を越え、
柔らかな春の陽光が真壁家の邸宅を
包み込んでいた。
多くの愛と希望に見守られながら、
唯衣は元気な双子を出産した。
男の子は蒼、
女の子は紡希。
二つの小さな命は、
新しい時代と共に産声を上げた。
彼らは狼族の血を継ぎ、
生まれた時から驚くほど強い
覇気の持ち主だった。
――それから、月日は巡った。
蒼は白銀の髪と整った顔立ちで、
まるで小さなレオそのものだった。
一方の紡希は、
髪色も雰囲気も唯衣にそっくりだが、
時折見せる鋭くも深い瞳だけはレオ譲りだ。
この二人が並ぶ姿を見ていると、
この数年がどれほど濃密で
幸せなものだったか、
改めて実感する。
真壁家は、
今やかつてないほど賑やかだ。
「パパ、だっこ!」
「パパ、あそぼう!」
さっきまで執務室で仕事をしていた
レオの足元に、
蒼と紡希が代わる代わる飛びつく。
そんな光景を眺めながら、
唯衣が苦笑して声をかけた。
「レオ、休憩?」
「あぁ」
するとレオは満足そうに
双子を抱き上げたあと、
唯衣の傍らに歩み寄り、
その唇に優しくキスを落とした。
「あー! パパ! またママにちゅしてる!」
蒼がレオの腕の中で抗議の声を上げる。
「パパ! ママはおれの!」
すかさずレオは、
余裕の笑みを浮かべて蒼を諭した。
「いいか、蒼」
「唯衣は俺の嫁で、妻で、
誰のものでもない俺のものだ」
「ママはそうのママ!」
「パパのじゃない!」
親子二人で繰り広げられるいつもの言い合い。その横で、
紡希はマイペースにレオの腕の中で微笑んだ。
「つむぎはパパがいちばんだよ」
「ちゅ」
そう言って紡希が
レオのほっぺにキスをすると、
レオは少しだけ顔を綻ばせる。
「……紡希、パパもだよ」
庭の向こうから子狼が走ってくる。
子供たちが生まれてすぐに
真壁家に引き取られた子狼だ。
子供たちがそれを見つけると
レオの腕から降りて
子狼の元へと走っていく。
子狼と遊んでいる二人の姿を眺めていると
レオは手早く唯衣の腰を引き寄せ、
耳元で甘く、
低く囁いた。
「……唯衣」
「おいで」
「えっ?」
唯衣が振り返った瞬間。
レオは当然のように唯衣を横抱きにした。
「きゃっ」
「少し休憩だ」
「レオ!」
唯衣が顔を真っ赤にして
目をパチパチさせる。
相変わらずの重い愛情に、
唯衣は言葉を詰まらせた。
春の風が二人の髪を揺らす。
子供たちの笑い声が庭に響いていた。
結局のところ、
子供たちが成長しても
レオの愛情は少しも変わらない。
むしろ以前より深く、
巨大になっている気がする。
真壁レオは今日も重い。
最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。
『真壁レオは今日も重い ~独占欲強めな白銀狼に溺愛されています~』
これにて完結となります。
約一ヶ月前、
ふと書き始めた物語でしたが、
気付けばレオも唯衣も、
そして私自身もたくさんの時間を
共に過ごしていました。
ここまで毎日更新を続けてこられたのは、
読んでくださった皆さまのおかげです。
お気に入り登録、評価、
そして作品を開いてくださったすべての方へ、
心から感謝申し上げます。
レオと唯衣の物語はここで一区切りとなりますが、
二人の日常はこれからも続いていきます。
また番外編や、
蒼と紡希のお話を書く機会がありましたら、
その時はぜひ遊びに来てください。
最後まで見届けてくださり、
本当にありがとうございました。
2026年6月
ほしよみ




