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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第6章 教団本部のエリート信徒
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教団本部への招待

 武装盗賊団が実にアッサリと片付けられてしまったのを見ると、教団信徒たちは、一瞬、何事が起こったのか分からないというように静まりかえった。しかし、次の瞬間には「わぁ!」と歓喜の声を上げ、わたしの周りに集まってきた。

 そして、「すごいわ! あなたにも備わっていたのね!!」、「こんな近くにいたのに、今まで気がつかなかったなんて、これこそ本当の奇跡だ!」、「これぞ唯一神の奇跡の力だ、素晴らしい!」等々、信徒たちは口々に、「わたし」ではなく、「わたしに『奇跡の力』を使わしめた唯一神」を誉めそやす。

 本当のところは、唯一神ではなくプチドラの魔法の力だけど、勝手に勘違いして、自分たちの脳内で話が完結しているようなので、そうさせておこう。


 チャック支部長は、ほんの少し前まで絶望的に顔を歪ませていたのに、今や満面の笑みを浮かべて、わたしに近づき、

「あなたにも唯一神の『奇跡の力』備わっていたとは、これぞ唯一神の引き合わせです。あなたを一目見た時から、他の方々とは違う何かを感じていたのですが……」

 と、少々前置きを置いた上で、おもむろに咳払いをして、

「つまり、あなたには、是非とも教団本部において、『エリート信徒』として活躍していただきたい、これが私の願いです」

 チャック支部長は、両手でわたしの両手を取り、力を込めて握りしめた。

 すると、教団信徒たちが(一般信徒と聖戦士の別なく)わたしとチャック支部長の周囲を取り囲み、「わぁ!」という大歓声を上げる。

「はっ、はい? 『エリート信徒』ですか??」

 わたしは本当にわけが分からず、唖然とするばかり。いきなり教団の専門用語で「エリート信徒」を持ち出されても、どう反応していいものか……

「カトリーナさん、え~っと、これは、素晴らしいことですよ!」

 わたしのすぐ後ろでは、アメリアがまるで自分のことのように喜び、興奮している。


 ちなみに、チャック支部長の話によれば、「エリート信徒」とは、その名前のとおり、信徒の中のエリートであり、教団本部に住み込み(したがって、衣食住付き)、自らの持つ「奇跡の力」を活かした教団業務に従事するとともに、教団の中枢として、教団の意思決定や重要事項の協議に参画するという。エリート信徒は教団本部において、その役柄に見合った様々な身分的特権を与えられ、ユニフォームも一般信徒のものとは違う銀色の刺繍を施された衣服が支給されるということだけど、その詳細については、チャック支部長曰く「教団本部で確認していただきたい」とのこと。

 なお、手続的には、まずは教団の各支部から本部に対し、エリート信徒の「推薦」が行われ、本部がその推薦を受諾する形となるという。また、「奇跡の力」を持つ者を見つけ出し教団本部に推薦した支部の支部長は、教団内での評価が上がり、教団上層部の覚えもめでたくなる……というわけで、各支部においては、エリート信徒の発見・発掘に血眼になっているらしい。

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