ゴンザレスと連邦王国⑥
数日後、ゲフタルの地に、魔王討伐軍が姿を見せる。
ゲフタルの地に入るや否や、亜麻色の髪の美女が叫ぶ。
続いて、やっぱり美女の茶色の髪の女性も一緒に叫ぶ。
「アレス様ー!アレス様はどこー!!アレス様を出せー!」
「ご主人様ー!」
その後ろからエルフのこれまた美女が、呆れた顔をしながら2人を宥める。
「はいはい、落ち着きなさいよ。ちょ、ちょっと剣振り回さない!
なーんで、あんたらあんなのに、引っ掛かるかねぇ。ダメンズ好き?
キョウは悪い男に引っ掛かたらダメよ?あんたメスお、、、おっと。」
「師匠、僕男です。あと、危ないこと言いかけませんでした?」
明らかに危ない言葉を言われかけた美少女は、へにょっと困り顔をする。
シュバインたち8勇士の元に姿を見せた、やたらと騒がしい一団。
「お初にお目にかかります。帝国皇女カレン・シュトナイダー、世界ランクNo.2です。」
優雅な礼でカレン姫がまず挨拶。
その後ろには前髪を巻いた綺麗な女性も綺麗な礼で。
それが済むと騒いでいた集団も次々挨拶。
「それでNo.0は、、、?」
1人だけ居る男性が世界ランクNo.1ハムウェイなのだろう。
ハーレムチームと呼ばれることもあるが、そんな雰囲気は感じないなとシュバインは思う。
ドリームチームは1人以外、噂通りの美女チームだ。
それはつまり、それだけの魔力が洗練された強者の集団とも言えた。
全員が自分と同等以上の強さを持っていることが分かる。
恐ろしいものだ、、、。
まともに戦えば、一瞬で蹴散らされることだろう。
それだけにそれを撃退して見せたゴンザレスに、初めて底知れないものを感じた。
シュバインたちは、ゴンザレスの策を『そのまま』実行したにすぎないのだから。
「さあな。
残念だが、アレスという者はここには居ない。」
「そんな!」
亜麻色の髪の女がショックを受ける。
「落ち着きない、イリスさん。では銀髪の男性は?」
茶色髪の女がシュバインに尋ねるが、告げられた容姿に思い当たる人物は1人だけ。
「ゴンザレスと名乗る男が1人。」
「何処へ?」
「去った。」
「そんなー!!すぐ追いかけましょう!」
「慌てない、そんな簡単に見つかんないから。」
「羨ましいなぁ〜、No.0。美女にこんなに好かれて。」
「フフフ、No.0、、、今に見ていろ。」
本当に元気な一団だ。
それを楽しそうに笑顔で、眺めるカレン姫にシュバインは尋ねる。
「ゴンザレスが、、、No.0が本当に魔王討伐軍のリーダーなのか?」
「ええ、本当ですよ?信じられないですか?」
シュバインは頷く。
あの男は知恵はあったが、戦闘については強いと言えない。
カレン姫は何かを思い出すように言葉を続ける。
「本当、ですよ。
私はもう少しでNo.3と同様に、グレーターデーモンに殺されるところでした。
それを救ってくれたのが、彼でした。
ですよね?メリッサ。」
メリッサと呼ばれた茶色の髪の女は頷く。
「ええ、彼はカレン姫様が気を失われた後、冷静に私を誘導して、毒の沼にグレーターデーモンを誘い込み、一撃。
どのような一撃だったかは確認出来ませんでしたが、彼があの瞬間何かをして、激しい爆発音の後、グレーターデーモンが消し飛びました。
その後、森を数十万の魔獣ごと焼き払い、帝国を救いました。
、、、全て魔力を使わず。」
シュバインは遠目に、No.3がグレーターデーモンにやられるところを見ていた。
その圧倒的な恐怖も。
No.3を殺した後、グレーターデーモンはすぐに姿を消した。
恐らく転移したのであろう。
お陰でシュバインはまだ生きている。
「ゴンザレスが、な。」
ゴンザレスはNo.3の仇を取ってくれた。
そして、思う。
あの男ならば、やるかも知れないと。
それだけ、ゴンザレスがゲフタルの地でやらかした出来事は、シュバインたちにとって衝撃的であった。
本人だけは、自分がやらかした事に、気付いていないようだったが。
茶色の髪の女メリッサは微笑む。
「ですから、我々にはあのお方の力が必要なのですよ。
魔力以外の力を持つあの方が。」
シュバインは、そこに深い信頼以上のものを感じ取ったのだった。
この日、ゲフタルの地の者は知る。
伝説の存在No.0の力を。
それはゲシュタルト連邦王国にいかなる結果をもたらすのか、それはまだ、誰も知らない。
世界ランクを刻む世界の叡智の塔。
そこには未だNo.0という番号は、ない。




