ゴンザレスと連邦王国⑤
由々しき事態である!
シュバインにNo.0であると完全に誤解されてしまった俺は、奴らドリームチームが迎えに来てしまうまで、監禁されるという事態になってしまった!!
このままでは、奴らが!奴らが来てしまう!
俺は閉じ込められた部屋のベッドで、ゴロゴロしながら考える。
最初に言っておこう。
会うのが嫌なわけでは無い。
最近は、No.8も切りかかってくる様子もなく、No.0では無いとバレなければお世話までしてくれて中々悪くない、というか良い。
メメも言わずもがな。
だが、だがである。
そもそもゲシュタルトに連れてこられた理由が魔王退治である。
ねえ?知ってる?
魔王様って、No.1より強いんだって。
世界の叡智の塔が教えてくれているの。
そんな魔王相手にあんたら、ただの詐欺師に何をしろと?
死ぬわー!!
そんな訳で、なんとしても逃げなければならない。
これはリアルに脱出である。
なあに、ゲームみたいなものだ。
窓、無い。
部屋、四角い。
壁、コンコン、硬い。
ベッド、寝れる。
扉、ガチャガチャ、鍵掛かっている。
扉に小窓はあるが鉄格子付き。
、、、出れなくね?
ゲーム終了。
とりあえず、誰か呼ぼう。
「おーい。」
「なんだ?」
弟のゲーリッヒが小窓から顔を出す。
「出してくれ。」
「ダメだ。」
返事はえーな、期待してなかったけど。
「せめて何か本とか無いか?」
「本自体がそんなに無いからなぁ。」
知ってる。
あっても熟読済み。
「大体、何日待つんだ?」
「さあ?連絡はしているから2、3日じゃないか?」
「シュバインと話したいんだが、いいか?」
肩をすくめながらも、呼んできてくれるようだ。
力技では無理なので、こうなったらやはり、口でなんとかするしかない。
俺は、生きる!
魔王討伐なんか連れて行かれたら、間違いなくおしまいだ!
「なんだ?」
シュバインが顔を出す。
「そもそもだ。俺をあいつらに渡して、シュバインたちになんの得があるんだ?」
無いよね?
「、、、まあ、特に無いな。
No.0だからと言って、ゴンザレスが俺たちに不利益をもたらしたわけでも無いからな。」
「じゃあ、逃して?」
ふーむ、と悩む様子。
お、脈ありか?
「ダメだな。貴様は何をするか分からん。」
小窓を閉めようとするシュバインに、内心は焦りつつも、落ち着いた声で語りかける。
「まあ、落ち着けよ、シュバイン。
大体、俺の何を恐れるってんだ?
そもそもがそのNo.0自体が誤解だってのに。」
「、、、だったら。」
そのシュバインの言葉に上から被せる。
「だったら、アイツらにそう言えば、いいと言うんだろ?
話が通じなかったから、俺はここに居るんだぞ?
シュバインも知ってるだろ?
俺に強さなんてモノはない。
魔王討伐なんかに連れて行かれたら、間違いなくそこでお終いだ。
なあ、頼むよ。
これでもゲフタルのために、尽くしたと思ってるんだ。
逃げるのに協力しろなんて言わない。
見逃すだけでいいんだ。
後は俺とアイツらだけの問題だからな。」
シュバインはまたふーむ、と悩む。
実際、俺は俺が生きるためではあったが、ゲフタルのために良い知恵を出したと思っている。
これでダメなら、トイレに行った際に、トイレから脱出、、、ダメだ、俺にそんな根性はない。
脱獄王の本だと、トイレやら、煙突やら、様々なうぇっと思う場所から逃げ出しているが、俺は無理!
やがて、シュバインは一つ頷き、扉を開ける。
「分かった。
ゲフタルは恩知らずでは無い。
ゴンザレスがゲフタルに実りをもたらせた分、見逃すこととしよう。」
「恩に着るぜ!シュバイン。」
恩はすぐ忘れるけどな!
あと、恩知らずじゃないなら、最初から閉じ込めるな!!
そうして、俺はシュバインに片手で挨拶をして、監禁部屋から出て、そのまま寝床にしていた場所から荷物をささっと取り、誰に挨拶をするでもなく、颯爽とゲフタルの地を後にした。
あばよ!




