ゴンザレスと連邦王国①
世界最強と呼ばれる存在がいる。
曰く、全てを見通す千里眼を持つ大軍師。
曰く、万の敵すらも打ちのめす大将軍。
曰く、病の悉くを治療して人を救う聖者
曰く、最強にして無敗、世界の叡智の塔に刻まれるランクNo.1も超えた最強ランクNo.0
だが、その正体は一切不明。
男か女かオカマか、年齢も不詳なら、生まれも公爵家の捨て子だとか転生者とか生まれながらの救世主だとか、数え上げたらキリがない。
それら全てを合わせて、誰も見たことがないという。
それが、世界最強ランクNo.0
どうも〜、アレスです。
詐欺師ですよ?
No.0でもなければ、公爵様でもないからね?
ゴンザレスは、あながち間違いとは言い切れない。
今、屈強な白髪マッチョの男共に囲まれております。
「では、ゲシュタルトからのスパイではないと?」
ブンブンと首を縦に振る。
「知らない、知らない、ここには船から落ちて彷徨ってたら、辿り着いただけだから!」
「今、海は魔獣の巣窟だ。
そこから来たなどと怪しい限りだ。
兄者、怪しきは罰するべきではないか?」
「ふーむ、それも然もありなん。」
然もありなんってどういう意味だー!
処刑ダメー!
処刑待ったー!
俺は自由になる首だけを、横にブンブンと振る。
考えろー!
考えろーー!!
生き残る手段を考えろーー!!!
キュピーン!
その時、俺の頭の中に星が煌めいた!
「俺、実は世界ランクNo.0なんだ!」
「嘘つけ。」
そうだよなぁ!
それが普通だよな!!
弟らしきマッチョが、青龍刀を煌めかせて俺に近づく。
ひえー!
「まあ、待て。
戯れ事はともかく、その無様な様子、スパイというにはあまりにも、有り得なさすぎる。
貴様、真に海から来たというなら、どういう風にやって来た?」
兄者と呼ばれたマッチョが、弟らしきマッチョを止める。
俺は生きるために、思い出せる限りの状況を伝える。
唯一、俺がよく分からないVIP待遇であったことを除いて。
「、、、成る程。確かに、50隻ほどの大艦隊がゲシュタルトの港に寄港したとは聞いている。
余程、無茶をしたらしく、ぼろぼろの様子だとか。
名だたるメンバーも、コイツのいう通りだ。
、、、ただ1人、そ奴らのリーダーだけは姿を確認出来ていないようだったが、お主の話では、それが誰かは知らないのだな?
噂では、世界ランクNo.0というらしいが?」
し、しまった!?
ここで余計な名前を言ってしまった!
言わなければ、ただの船乗りと思ってもらっただろうに!
、、、思ってくれたかな?
そのまま首チョンパだった気もする。
ここは正直に言っておこう。
「世界ランクNo.0は、見たことはない。
、、、ただ、お題目として、俺をNo.0として船に拉致していた。」
「貴様をか?それ以上の戯言は赦さんぞ?」
弟マッチョは俺の首元に青龍刀を持ってくる。
「ほ、ほんとなんだ!
お偉方が何を考えているかは、俺には分からないけど、船に拉致されて連れてこられたんだ。」
本当だから、それ以上言いようがない。
「ふーむ。
そいつの目は嘘を言ってはいないな。
嘘を偽装するテクニックが無いではないが、、、。
良いだろう。
そいつも暫く監視の上、働かせてみよう。」
「宜しいので、兄者?」
「うむ、魔獣の侵攻で我らも手が足りん。
コイツの話が本当なら交渉材料に使えるかもしれんしな。
、、、だが、貴様分かっていような?
おかしな真似をしようとしたら、即座に斬る。」
「はは〜!ありがとうございます!!」
こうして、俺は九死に一生を得たのだった。
ところでこの人たち、誰?
「あ〜、あんた。8勇士の人たちに会ったんだ?」
洗濯のオバちゃんと横並びに洗濯しながら、マッチョ集団のことについて聞く。
「あの人たちは、私たちのまとめ役でね。
以前は世界ランクNo.3のレナード様が代表だったんだけれど、魔獣の大襲撃の時に、私たちを逃して、ね、、うう。
それ以来、代表は8勇士筆頭のシュバイン様が引き継いでるのさ。」
シュバインとゲーリッヒは兄弟で、2人ともNo.3の下に付いていたそうで。
シュバインに至ってはナンバーズに匹敵する実力とも言われ、封環にて力を抑えているとか。
普段の風来坊状態なら、ふ〜んという感じに一切興味はないが、奴隷の時と同じように、どんな情報が命運を分けるか分からない。
得られる情報は、得ておかなければならない。
「ゴンザレス!兄者がお呼びだ。」
弟の方、ゲーリッヒとやらに声を掛けられ、オバちゃんに洗濯を任せ、代表の兄者シュバインのところに出向く。
「ゴンザレス、よく来た。
お前が提案したこの魔獣の新素材だが、検討してみたが、是非使ってみたいと思う。
差し当たり、もう少し話が聞きたいがいいか?」
俺は頷き、それについて話をする。
バグ博士の研究は、コルランの最先端技術の研究所だ。
俺はそこの研究助手だったと話し、技術的なアドバイスを彼らに行った。
「うぅ〜む、ゴンザレスのその知識はなかなかどうして、助けになる。」
シュバインたちの部族は、この険しい山岳地方特有の厳しい環境の中、どうしても技術的なものより肉体的なところに特化しやすく、頭を使った技術は苦手な者が多かった。
No.3が生きていた頃は、その頭脳はNo.3が全て賄っていたという。
ただ、技術的なものを拒否するのではなく、積極的に取り入れる柔軟な思考は持ち合わせていた。
この背景には、海を渡り奪った物を積極的に活用し、厳しい環境を乗り越えて来たのだ。
これは今でこそ魔獣が海に溢れ、海洋に出ることが困難ではあるが、元々はシュバインたちも山岳の部族であると共に勇壮なる海の部族でもあった。
何にしろ、俺は腕っ節はイマイチだが、頭脳の方で彼らの中で一目置かれるようになっていった。
クックック、狙い通り、、、。




