ゴンザレスと帝国③
街をブラブラして、帝国脱出のための買い物をする。
準備不足での旅など自殺と変わらん。
しっかり準備をしよう。
「アレスさん!?」
女性に名前を呼ばれ振り向く、と。
うーん、何処かで見た中年女。
B上ランク?若い頃ならAにもいけたかもしれない。
疲れた主婦顔が俺の琴線に触れるので、そこは評価プラスアルファ。
「貴女はあの時の、、、。」
思い出せん!
出掛かってるのに、思い出せん!
詐欺に掛けたのは覚えている!
それだけは覚えている!
何処で詐欺に掛けたのか思い出せん!
これは詐欺師として、実に危険なことだ!
場合によっては今すぐダッシュして、逃げねばならんのだから。
「はい。お久しぶりです。、、、よくご無事で。」
女は潤んだ目で近づく。
これは罠か!否か!
どっちだ!
「すまない、会いに戻れなかった。」
女はいよいよ涙を零し、首を横に振る。
戻るって何処によ?
「いいえ、いいえ。教祖様共々、幹部たちは皆捕まったとお聞きしていたので、貴方ももう駄目なのかと思っておりました。」
お・も・い・だ・し・たー!!!
あの邪教集団の時のあの中年女だ。
同期の疲れた主婦で、俺の趣味だったから、堕としたら、その手腕を買われ幹部の青年に幹部候補にされた時の!
あの邪教集団は結局ソーニャちゃんに、徹底的に叩き潰されたんじゃなかったのか?
「ここでは不味い。移動しよう。」
あんたの部屋とか?
とにかく街中で邪教の話とか、処刑ものだ。
連れて来られたのは、割と大きな立派な建物。
使用人らしきギョロ目の男に通され、女と共に中に。
広い屋敷の中で通されたのは、何故か狭くて暗い部屋。
テーブルに一本だけ蝋燭を置き、その周りを囲んでいる数人の男女。
その中でも真ん中の偉そうな身なりの良い顎髭男が、俺たちに声を掛ける。
「ライラ。その男は?」
「あの帝国の大襲撃を生き残った、幹部のアレス様よ。」
それは誰だーーー!!!???
「何!?あの大襲撃をか!」
ガタガタっと全員が立ち上がる。
顎髭男が俺を指差し叫ぶ。
「あの大襲撃で偉大なる教祖様と幹部様たちは、全て神の元に旅立った!
今になって、幹部が残っているものか。」
そう言って悔しそうに顔を背ける。
周りの人も目元を抑える。
何?この雰囲気。
「、、、もし、貴様が幹部だと言うなら。偉大なる教祖様の真名を知っているはずだ。
、、、これを見ろ。」
白い石を懐から取り出す。
「これは教祖様の真名に反応する。
この石を翳すと秘密扉が開き、我ら教祖様の様々な秘宝の元に行くことが出来る。」
「ほう?」
秘宝とな!
それを少しばかり頂戴して、旅の資金としようではないか。
「さらに!これが見事に反応するならば!貴様を唯一の幹部と認め、我ら一万に及ぶ信徒の正教団、正式後継者として認めようではないか!」
おお!と中年女を含む周りの人がどよめく。
うん、それはいらん。
一万って凄いね、邪教集団。
世界滅びるんじゃね?
と言うか、真名って、アレか?
「ツンデレイト。」
ピカ〜っと石が光り、部屋の中央の石がゴゴゴっと動き、テーブルが下に落ちる。
階段が見える。
隠し部屋、この下にあったのね。
ガバッと顎髭男も含め俺に跪く。
「大変失礼致しました!教祖様より真名を託された大幹部様とは気付かず、御無礼の段平に〜平に〜。」
やっぱ、宗教にハマると、騙されやすいのかなぁ〜。
気をつけなよ?
俺に騙されるよ?
「良い。面を上げよ。
早速、秘宝を取りに行こうではないか。
そこの者、案内せよ。」
髭面男に地下への案内をさせる。
罠があったら、盾にしないといけないからね。
「ははー!私はグレック・ノート男爵と申します。
アレス様の先導を務めさせていただきます!」
私はキューリ、私はカーリー、私はクリン、私はジュリー、そして中年女がライラ。
まあ、誰の名前を覚える気は無いけどな。
堂々と胸を張る顎髭男を先頭に、階段を降りて行く。
なんの罠が発動することもなく、下まで降りて、扉に顎髭男が持ってたツンデレイト石を嵌め込む。
また、ゴゴゴと扉が開く。
壊滅させてもまだ信徒が一万も居るから、邪教生活儲かったんだろうなぁ、前教祖。
まあ、あっさりソーニャちゃんに切られてたから、儚いものだけど。
悪いことし過ぎると良くない、ほどほどが大事!
中は埃ぽく、見るからにガラクタっぽい物ばかり。
ツンデレイトとか言う前教祖が、掃除が出来ない駄目男であると実証されてしまった。
俺?家ないし。
その中で、一つだけ宝石っぽいのがあったので、自然と懐にin。
「これらの物は邪神研究のための資料のようです。
前教祖様は、世界の叡智の塔の不自然さについて、善なる神から、云々カンヌン。」
ふ〜ん、と論文をペラペラ。
他に美味しい獲物は無かったので、上に戻る。
貯めてた金は、帝国に没収されたのかもね。
それか、目端が効く奴が既に持って行ったか。
言えることは、一つ!
ガッカリさせやがって!!
「他の信徒にも、新教祖様のことをお伝えすると喜ぶと思います!」
あー、はいはい。
とりあえず、わたくし、長旅でお疲れなの。ゆっくりこの屋敷で休ませてもらうわ。
かつては教祖となったならば、女遊びをしたいと思ったものだ。
もうS級しか受け付けない身体にされてしまったの、ヨヨヨ。




