ゴンザレスと帝国②
あ、どもアレスです。
帝国に居ます。
今ですか?
ははは、ガリヒョロの怪しい男どもと一緒に蝋燭一本を囲み、作戦会議中です。
え!?なんで、そうなったって?
俺の方が聞きたいよ!!
なんでこうなったんだー!!!
あれから、エルフ女はメメに何処かに連れられ(ハンカチ振っておいた)、他の女性陣もそれに付いて行った。
俺は1人豪華な部屋に通され、待たされる。
なんでも、風呂に入り身支度を整えるそうです。
何故って?
皇帝陛下と謁見との、噂。
直接は聞いてないからね、うん、聞いてない。
だから、逃げた。
メイドが居なくなったその隙をついて。
無駄に豪華な、窓付きの部屋での待機で良かった。
窓のない普通の部屋とかなら、流石に逃げようがなかった。
窓から飛び降り、下の植え込みをクッションに、そこから壁伝いに使用人門も正門も見張りが有るから、そこからどう抜け出すか、、、?
豪華そうな馬車があったので、その下に潜り込みへばりつく。
暫くすると、都合良く馬車は動き出し、門の方に移動して行くようだ。
落ちそうになるのを懸命に堪える。
門から出て、指が限界を迎えたところで、馬車の下からゴロゴロと転がり出る。
タイミングがズレれば、それだけで大怪我だ。
豪華な馬車は気づかずに、走り去った。
ありがとう!見知らぬ豪華馬車!!
何もかも偶然の為せる技。
もう一度やれと言われても、絶対に出来ないし、もうこんな幸運はないだろう
むしろ、最初からこんな目に遭いたくなかった!
だんだん、逃げるためのレベルが上がっている気がする。
このままでは、いつか逃げる事さえ出来なくなりそうだ。
そもそも、逃げる前に処刑されそうだが。
逃げなくて良かったんじゃない?
誰かが言いそうだが、そんなことはない。
考えてみるといい。
俺、詐欺師。
相手、皇帝陛下。
謁見?公開処刑の間違いじゃないの?
皇帝陛下の前で、処刑されるほどの重犯罪人?
ワオ!身に覚え有り過ぎ!!
他のメンバー置いてきたけど、最強クラスの集団だし、それなりのVIPだし、殺されないだろう。
あの中で唯一、実力的にも立場的にも殺されそうなの俺だけです。
さあて、切り替えて、行こう。
まずは帝国からの脱出だな。
ご主人様の準備を手伝う予定のはずのメイドから、ご主人様が居なくなった報告を受け、私メリッサはため息を吐く。
「メリッサお姉様!」
焦り気味のイリスさんに振り返る。
いつものことなので、仕方ないとメイドとイリスさんを慰めます。
イリスさんは長く共に過ごした訳ではないですが、妹のように感じていたりします。
同じ亡国の王女ですし。
もっとも、イリスさんの母国ウラハラ国を滅ぼしたのは、帝国ですし、ここに来ることも抵抗はあった筈。
そんな姿を見せず、私を姉のように慕ってくれています。
幸せになって欲しいですが、悪い男に引っかかってしまって、、、。
居なくなったご主人様を急いで追いかけたところで、捕まえられるとは思えないが、メイドたちに王城を探して貰えるように頼む。
陛下には、私たち全員で謝罪に行きましょう。
さて、その前に。
「エルフィーナさん?」
「は、はい!」
エルフィーナさんは剣聖の担い手と呼ばれる伝説のエルフ。
私の威圧で少し緊張気味。
その隣に座るのは、キョウ・クジョウ。
勇者ですわね。
こちらは居心地が悪そうにするだけ。
特に『警戒』しなくてもよさそう。
実力は『同程度』のようですから、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?
『女として』の実力は負ける訳にはいきませんが。
どうやって知り合ったのか聞くと、、、。
私はご主人様の話を聞く度に、こめかみを揉む癖がつきそうだ。
「、、、そうですか、密林に。
ご主人様がおっしゃるように、間違いなく道に迷ったんだと思われます。」
「、、、あ、あいつは、アレスは詐欺師じゃないんですか?」
エルフィーナさんは、私の反応に何か感じるものがあったのか、思わず尋ねたという感じでしたが。
ちょ〜っと、聞き捨てならないですねぇ〜。
エルフィーナさんの言葉に、冷たいオーラが溢れ出してしまいます。
「、、、へ〜。」
私は感情を凍らせて、それだけを言う。
「「ひー!!」」
エルフ女と勇者が悲鳴を上げる。
ご主人様は、そこまでこのエルフ女に気を許しておいでなのですね?
そうですね?
「、、、そうですわね。詐欺師ですわ。本当に憎いお方。」
私の、私たちの心を詐欺に掛けてくれたのですよ?
ふふふ、と笑うと実力者のエルフ女と勇者が何故か怯える。
反対にイリスさんは、深く感じ入るように頷いている。
「あ、アレス、あんた、いったい何したのよ、、、。」
エルフ女がポツリと呟く。
ふふふ、とんでもないことをしてくれたのですよ?




