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世界最強、その名はランクNo.0彡☆  作者: パタパタ
魔王編
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ゴンザレスとエール共和国③

「そっち!魔獣行った!こらえて!」

 激しく息を吐きながら、僕は牛の魔獣を一息で叩き斬る。


 荒い息を僅かの間に整え、次の魔獣へと斬りかかる。


「モーリー!サーリー!大丈夫!?」


 モーリーがサーリーを守りながら叫ぶ。

「キョウ!大変だ。街の裏手に大量の魔獣が接近してるって!数は、、、こっちと同じぐらい、、、。」


 その言葉は勇者である僕であっても、絶望を感じさせるものであった。


 だが、と僕は思う。


 僕は勇者だ。

 そりゃ確かに、エストリア国に召喚されて、名前だけで浮かれた時もあった。


 でも、あの日、僕の大切なものをあの男に奪われた日から、泣いてばかりの僕にサーリーとモーリーは言ってくれた。


『私たちには、貴方が(面白くて)大好きよ?』

 副音声っぽいものが聞こえた気がしたけど、気のせいだろう。


 気配読みとかのスキルが発動した訳ではないはずだ。


 それ以来、僕はこの世界を強く守りたいと思う様になった。


「崩れるな!耐えるんだ!必ず何か手はある!」

 共に戦う周りの冒険者たちを鼓舞し、彼らもまた、それに応える様に、雄叫びを挙げた。


 魔力はもう殆どない。


 エール共和国のちょび髭元首の指揮の元、集められたエール共和国の冒険者と共になんとか、平原の数千の魔獣については、押し留めることに成功出来そうだが、、、。


 同じ数の魔獣を相手に出来る気力はもう誰にも、残ってはいない。


 こういう時、突然、勇者の力に目覚めたりするものだけど、現実は甘くはない。

 全ては日々の努力の積み重ねなのだ。


 チートを貰った僕が言えた話ではない。

 ちょっとの努力だけで伸びるスキル。

 最強という言葉に溺れた。


 そうして、唐突に気付く。


 この世界には、たしかにスキルというものがある。

 けれど、同時にスキルに表せられない力もまた同様に、存在するのだ。

 努力というスキル。


 No.0は、ただそれを行っただけなんだ。


 奴は、スキルなんてものに頼ることなく、最強になった。

 ただそれだけ。


 気付いてしまえば、簡単で、そして当然のことだった。


 だが、それはどれほど激しく辛い苦難を乗り越えただろう。


 だからあれほど、この魔獣が蔓延はびこり絶望が漂う中でも、自分に全く関係がないとでも思っているかの様に飄々《ひょうひょう》として居られるのだ。


 スキルなんてない世界から来ながら、それにようやく気づいたのだ。


『惜しいが、今は仕方ない。刻を待とう。』


 No.0が僕に会った後、去り際に言ったらしい言葉。


「待っていろ、、、。No.0。必ず僕は貴様の期待に応えてみせる。」


 だけど、それにはまずこのピンチを切り抜けなければ!


 その時。


 ドドドドと激しい音が、街の裏手の方から聞こえる。


「山が!!」

 誰かが、あるいは僕が、叫んだ。





 、、、やがて街から歓声が上がる。


 山が魔獣を飲み込み、街は救われた、と。


 街から立ち去ったNo.0。

 彼が向かったのは、今まさに魔獣を飲み込んだ山。


 そして彼以外にこの長雨で、危険な山に入った者は居なかった筈だ。


「No.0、僕は必ず貴方の求めに応えて見せる!」


 それを後ろで聞いていたモーリーとサーリーが、貴方の(身体の)求めに応えて見せる!だってー!!と叫んでいるのは、きっと気のせいだ。


 その日、エール共和国を襲った危機は去った。


 その危機について、エール共和国元首マークはこう語る。


「カストロ公爵、いえ、No.0はこう言いました。

 貴様らの覚悟を見せろと。


 世界最強に頼るのではなく、この危機は、この世界の危機は全員で乗り越える試練なのだ、と。


 それと同時に彼は希望もまた、私に提示しました。


 ベテラン冒険者を集めよ、と。


 当然、彼は知っていました。

 最強勇者と呼ばれるキョウ・クジョウがこの街に居たことを。


 なんのことはない、私の執務室を訪れる前に、キョウ・クジョウに接触済みだったのです。


 キョウ・クジョウはNo.0の女であるという噂もあります。

 彼は自らの大事な女をこの街に置いて、山の方に入っていったそうです。


 そう、我々が情報を掴むよりずっと前から、魔獣が前面だけではなく、後背の山から接近していることに彼は気付いていたのでしょう。


 気付いていたから、彼は私にああ言ったのでしょう。


 後ろは任せろ。

 全員で前から来る魔獣を防げ、と。


 世界最強と呼ばれる存在がいる。


 曰く、全てを見通す千里眼を持つ大軍師。

 曰く、万の敵すらも打ちのめす大将軍。

 曰く、病の悉くを治療して人を救う聖者

 曰く、元男でも関係なく、愛せる慈愛の人

 曰く、最強にして無敗、世界の叡智の塔に

 

 刻まれるランクNo.1も超えた最強ランクNo.0


 それが、世界最強ランクNo.0、、、。


 その伝説に偽りなしです。」


 だが、そこからカストロ公爵アレスと名乗るNo.0は忽然と姿を消した。


 ある者は言う、彼はその身を賭して、魔獣と相打ちになったのだ、と。


 ある者は言う、彼は神の遣いであり、使命を果たし消えたのだ、と。


 ある者は言う、彼はいつものように、忽然とその姿を現すのだ、と。


 だが、誰一人として、その真実を知らない。

 それが、世界最強ランクNo.0彡☆









 温かい、、、。


 誰かが俺を救い出し、抱きしめている。


 女性特有の良い匂いだ。


 何処かで嗅いだことのある、、、。

 そう、いつも一緒に居た、、、。


 俺はゆっくりと目を開ける。


 年の頃は10代後半といったところ。

 亜麻色の髪を肩まで伸ばし、綺麗より可愛い系の女だ。


「あ♡あるじ様。お目覚めになられましたね!」


 その名は世界ランクNo.8イリス・ウラハラ。

 俺をNo.0と慕う勘違い女。


 そして、俺の恐怖の対象。


 ヒーーーーヤアーーーー!!!!!!!!

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【外伝】キョウちゃんのその後の話をリンク貼っておきます。 カクヨムサイト かなりガッツリ恋愛系なのでご注意を!
親友だったはずの女の子とイチャイチャな日々!?〜キョウちゃんの憂鬱〜
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☆【世界最強、その名はランクNo.0彡☆の真相編先行版はこちら、近い内全て再掲予定。
ネタバラシになりますので、先が気になる方はこちら】☆
世界最強、その名はランクNo.0彡☆真相編女神陥落
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