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知らせよう

私達は碧が帰った後悠仁の家の車で帰るとことにした。

「悠仁、兄様達に連絡していいかしら。」


「別にいいよ~」

私は今日、本当は碧と帰る予定だったので一応連絡をしておかないと後で凄く詰め寄られるのだ。

メールで送ろうと思うが、兄様だけに送ると姉様が拗ねるし姉様だけに送ると兄様が拗ねる。

ならばラアイイーンで流川家兄姉妹と言うグループに送ろう。最近スマホを買って貰ったのだ。

『幸人兄様、玲奈姉様、今日は久遠家の車で帰ります。』と送った。

「もう大丈夫です。」

「そう?じゃあ車に乗ってね。」

悠仁がそう言うと久遠家の執事らしき人が車のドアを開けてくれた。

「ありがとうございます。」

礼をしてから車に入った。使用人であっても家族であっても友人であっても、どんな人でも挨拶は大切だと思う。

悠仁を見るとまた悲しそうな顔になったが、どうしたのだろうか。

「やっぱり怜花チャンって俺の好きな人に似てるね。」

私は彼の好きな人に似ているのか、どんな人なのだろうか。少し気になる。

「あ~そう言えば碧クンに音桜杜サンが自殺するって言わなかったんだね。」

そんなの言えるはずがない。そんなことを言ったら碧が壊れそうで少し怖かった。

「そんなの言えるはずがないわ。」

「まーそれが正解かもね。」

と悠仁は適当に言った。そしてなにかを思いついたように 

「あっそう言えば!怜花チャンって眼鏡ってつけてなかったよね。目が悪いの?それと髪もポニーテールじゃなかったし、何よりその豊満な胸を見せていないよ!」

(殴っていいかしら)

ゲームでの怜花は悠仁の言うとおり眼鏡は掛けていないし、髪もポニーテールにしていない。この学校は制服オーダーメイド自由だから制服のリボンはスカートにつけていて、スカートも短くて、胸元を開けていた。

でも私はそんな格好しない。この前測ったらEカップだった。なんでこんなにあるのかが分からない。その栄養は身長の方へいってほしいものだ。

高校生になると胸はGカップになり、身長は143センチになる。3年あって二センチってなんだ。

でもそれはゲームの私であって今の私ではない。そうだ、そうだと言ってくれ。

「目は悪くないわ。両目とも1.5よ。前世からの癖で、前世も悪くなかったんだけど、眼鏡をつけていないと落ち着かないのよ。」

私がそう言うと悠仁はひどく動揺した。「また、同じだ…でも、そんなはずないよね…。」と言っていた。どうしたのだろうか。

「俺の好きな人もそうなんだよ。全く同じ」

そんなに彼の好きな人に似ているのか。もしも会えたのなら気が合いそうだ。無理な話だが。

「そうなのね。死んでしまったって言うことが惜しいわね。」

と私が言うと彼は苦笑した。

「生きてたら、よかったんだけどね。…でも絶対探し出すよ。」

「ええ、頑張って頂戴。応援するわ。」

と言うか早く見つけてほしい。

「あ、俺今から怜花チャンの家に挨拶しに行くね。婚約するんだし。誰かいる?」

(来るの…?)

驚いた。私の家に今いるのはシスコンな兄様と姉様だ。そんなこと言ったら怖い事になりそうだ。でも言わなければ婚約はできない。

「いいけど、兄様と姉様しかいないわよ。」 

「別にいいよ~。」

そう話している間に私の家が見えてきた。

「ここよ、私の家。」

「でっかいね~。」

それはそうだろう。日本三大財閥なめてもらったら困る。改めて私は凄いところのお嬢様なんだと思った。

「着きました。」

久遠家の執事さんがそういって、車から降りてドアを開けてくれた。流れるような動作だった。

さすが日本三大財閥に使える使用人。

「ありがとうございます」

本日何回目か忘れた礼をして、車を降りた。

本当についてきた彼はまだ私の家を眺めている。

「ついてきて。」

私が彼にそう言うと彼はだらけた姿から一変、背筋をピシッと伸ばし、アメピンをはずして、「緊張するね~。」と言っていた。外見を取り繕っても中身が直っていない。

「幸人兄様、玲奈姉様、只今帰りました。」

私が玄関に行くと、何処からかドタドタと音がした。そして使用人達が「幸人様、玲奈様いけません」と言っていた。

「怜花~!お帰りなさ…後ろの奴は誰?」

満面の笑みから一変、姉様の顔が一気に怖くなった。

「僕の可愛い怜花、お帰りなさ…後ろの方は何方かな?」

(デシャヴだ)

兄様はとても笑顔だったが目が笑っていなかった。やっぱり、こうなる予感はしていたのだ。二人ともシスコンな人だから。

「この人は久遠家の久遠悠仁さんです。」

兄様と姉様は「へー、そうなんだ。」と言っていたが、悠仁に向ける眼差しが敵を見るようだった。

「初めまして、俺の名前は久遠悠仁です。宜しくお願いします。」

悠仁はこれでもかと言うぐらいの笑顔で言った。

(チャラさが抜けきっていないわよ…)

見た目を取り繕ってもやっぱりチャラかった。

私は思わずため息をついてしまった。

「君、怜花の…何?」

いつもの優しい兄様とは思えないようなどす黒い声が兄様から出てきた。

「うちの可愛い怜花の知り合い?何しに来たの?」

姉様は可愛らしい笑顔なのにどす黒い声で言った。悠仁は小声で、

「もしかして俺、怜花チャンのお兄サンやお姉サンに歓迎されて無かったりする?」

残念ながらその通りな悠仁の発言に私は小さく頷いた。この二人に婚約の事を言ったらどうなってしまうのだろう。

「何?うちの怜花を呼び捨てにしてるの?なんで君はここに来たの?」

(怖い怖い怖い…、)

兄様が凄く怖い。姉様は黙っているのに怖い。するとまた悠仁が小声で

「いつ怜花チャンと婚約しましたって言おうか…。」

と言った。

(兄様と姉様は地獄耳なの!それは言ったらダメなやつよ…。)

悠仁に教えておけば良かったと思いながら、私はここの空気の温度が急激に下がっていくのを感じながらひしひしと思った。

「怜花…、それ、詳しく教えてね?」



地獄の時間がスタートしたようです。



PV2500越え、ありがとうございます。

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