夏休みに向けまして
体育祭も無事終わり、平和な日常は戻って…はないけどテストで主席を取れたので(悔しいことに悠仁もだが)でよしとする。
となると次にある大きなイベントは夏休み。ひたすら家で勉強をするのもいいけど、今年は友達も出来たことだし、遊ぶのもいいかもしれない。
そう言えば、体育祭のときにやってしまった右足は骨折だった。私は治りが遅いらしく、まだギプスが外れていない。でも
松葉杖生活にも慣れた。
「玲花チャン、なに考えてるのー?」
体育祭の時の違和感で分かったけど、悠仁と私は何らかのつながりがあるっぽいのよね。私は特別能力があるから予感はたぶん当たる。悲しいことに。
でも、そのつながりが何なのかが分からないんだ。本当に、悠仁が晴樹なのか?…あまりにも、違いすぎる。
私がいなくなってから大きく性格が変わってしまうような人でもないし、私がいなくても立ち直って、しっかりと物事をこなすような人だから。
彼は転生者なんだから、京子って言ってすぐに分かったら晴樹と言う可能性が高くなる。…でも、まだ違う可能性もあるし、心の整理が出来ていない。
「夏休みはどう過ごそうか悩んでいたのよ」
(う、嘘ではないわよ)
「なら、私の別荘で遊ぶと言うのはどうでしょうか」
私達の側にスッと現れたのは賀奈子さんだった。…別荘ね。それもいいかもしれないわね。と言うか、今私が住んでいる家も別荘なんだけどね。
賀奈子さんはどちらかと言うと西洋的な家と言うより日本的な家だから、別荘も由緒正しき感じがする。
「それいいね!美月さんもつれてくとかどう?」
今度は碧まで会話に混ざってきた。こいつ、浮かれてやがる。ちょっと美月さんと仲良くなれたからって、入院中の美月さんを何日も振り回すのはどうかと思う。
「美月さんには優秀な僕の専属医師をつければいいし」
(そうだ、私達は金持ちだったわ)
前世が庶民だからお金持ちの感覚にまだ慣れない。日本三大財閥、琉川家の令嬢なのに。…一応。
「俺も行きたい!」
「…本当は嫌ですけど、かわいそうなので入れて差し上げますわ」
賀奈子さん、前世で悠仁は推しだって言っていたのに、このチャラ悠仁には冷たい。…私もそうかもしれないけど。
「じゃあ、この5名で夏休みは別荘で遊ぶと言うことで」
私が話に一回も加わらないまま、話は進んでいき、勝手にまとまってしまった。何故か私も行くことになっているし。美月さんにはこの話をしてすらないじゃないか。
「美月さんにはいつ話すの?」
ここでやっと私が話した。この人たちは思い立ったらすぐに猛突進タイプだから当日何も知らない美月さんを拉致るかもしれないし、私が言っておかないといけない。
「あら、そうでしたわね。何も考えていませんでしたわ。…今日の放課後、とかですかね」
本当に何も考えていなかった。
「じゃあ今日の放課後によってこう!」
◇◇◇
私がいつもと同じように本を読んで、この時間はもしかしたら碧さんや玲花さんや賀奈子さんが来るかもしれない。あ、悠仁さんもいましたね。うっかり。
この前の体育祭は楽しかったですね。久しぶりに外に出た気がします。玲花さんがとても可愛かったです。あのミニミニな感じが特に。
挫けた玲花さんを悠仁さんが助けるところは見ものでした。
でも、いつもつけている眼鏡がありませんでしたね。雰囲気が変わってふんわりとした美少女って言う感じでした。
悠仁さんと玲花さん。案外お似合いなのかもしれなませんね。
私がこんなに余裕を持っていられるのも、碧さん達のおかげですね。短くなってしまった髪も、また、伸ばしてみましょうかね。まだまだ先は長いのですし。
このあまり好きじゃない銀色の髪も、好きになれそうです。
高校生になったら絶対に碧さん達がいる学園に行きましょう。最近分かったことですけど、私は特別能力があるらしいですし。同じクラスになったらどうしましょう。
考えただけで一日を潰せます。
ガラリとドアが開く音がしたのでドアの方を見ると、碧さん達がいました。
「美月、来たよ」
「こんばんは美月さん」
「美月さん、ごきげんよう」
「やっほー」
なんだか急に騒がしくなりましたね。
「美月、あのさ、夏休みに折原さんの別荘で遊ぶことになったんだけど来ない?」
別荘ですか……。金持ち凄い。私もそこそこのお嬢様らしいですが、あまり無縁なので驚きです。
「でも、私は入院しているので……」
「専属医師をつけるから!」
金持ち怖い。専属医師とかいるんですか。でも、それだったらもしかしたら……。楽しそうですし、駆け寄ってみましょう。
「先生に駆け寄ってみますね」
雑談したあと皆は帰っていったので、この事を先生に駆け寄ってみると、「琉川様がいるし、……いいですよ」とびくびくしながら言っていた。
玲花さん、別に怖くないですよ?
第三章が始まりました。人物紹介はお待ちください。お読みいただきありがとうございました。




