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笑顔の破壊力

歌が出てきます。


彼女が歌を歌い出すと、私はすぐに美月さんの虜になった。


「目を閉じると貴方の姿浮かんで

眠りにつくまで貴方との思い出思い出す


出会い恋い焦がれ結ばれて

嫌な思い出だってあるけれど

今では全部私の宝物です


私の命はもう長くないけれど

終わるときまで貴方を思わせて

例え他に愛する人が出来ても

どうか私を忘れないで…」

美月さんの歌に魅了されていると、突然ドアが開いた。開けたのは碧だった。歌っていた美月さんもそのせいで歌うのを止めてしまった。

そしていきなり碧も歌い出した。

それはさっきの歌の続きのようだった。

「想いは変わっても

思い出だけは色褪せないわ

記憶の欠片たどり貴方の元へ

命が朽ちても

貴方の幸せ願ってるわ

貴方が悪になろうとも

私は貴方の見方になるわ

貴方が私の道しるべ


いつまでも」

私は呆然とした。

碧の歌は美月さんまではいかないが結構上手かった。

碧が歌っていたとき美月さんは驚いていた。

あのときの少年が彼だと気づいたのだろうか。


「うわぁ、熱唱だね。」


空気を読まない悠仁がそんなことを言っていたので、「黙ってなさい」と口を手で塞ぎ、病室から追い出した。

碧についてきていたのか。


私が悠仁を追い出したのを見て、賀奈子さんの顔が強張っていたが、私と目があった時に苦笑いをしていた。私も苦笑いで対応した。


「どうして、義翁さんがそれを知っているの…」


美月さんがぽつりと言った。


「それは僕が5歳の時に美月に会った少年だからだよ。」


「そんなの、おかしい。貴方があのときの歌を覚えているわけがない。だって、教えたのはたったの一回だよ?」


美月さんは混乱している様子だが、碧が当然と言うばかりに言った。


「皆にも教えていなかったけど、僕の特殊能力スキルは記憶能力なんだ。一度見たものや覚えたものは忘れないよ。あ、でも勉強する時とかは使ってないよ?抑える方法を小さい頃に学んだからね。」


ゲームで語られていなかった。碧の新たな情報を教えてもらった。


(そんなの知らなかったわ…幼馴染みなのに。)


「じゃあ、貴方があのときの少年なの…?」


美月さんが恐る恐る聞いた。

「そうだよ。僕には君が必要なんだよ。要らない存在じゃないんだ。もし美月がいなくなってしまったら僕は狂ってしまうだろう。やっと見つけたのに…あのときみたいにいなくならないで…。」


碧は私達の会話を盗み聞きしていたのか。まあ致し方ない。


「必要…。」

美月さんが泣きそうな顔をして言った。

本当は誰かに必要と言われたかったのかもしれない。

言えなかっただけで。


「私も美月さんに興味が湧いたわ。是非、友達になってくれないかしら。」


私が美月さんにそう言うと、賀奈子さんも乗ってきた。

「私とも、友達になってくださらないかしら。」

「ほら、美月は必要な存在なんだよ。もう一人じゃない。」


碧が優しい笑顔で美月さんに言った。


「義翁さん…。」 


美月さんの瞳から涙がこぼれた。

「碧でいいよ。」


そう言いながら美月さんの涙を手で拭った。私の幼馴染みは好きな人に対しては男前のようだ。


「碧…さん、そして、他の人たちも、気づかせてくれて、ありがとう。」


(うっ…)

私は思わず項垂れてしまった。

さっきまで一回も笑っていなかった人が笑うと破壊力がある。

彼女の笑顔はとても、綺麗だった。

そんなとき、いきなりドアが開いた。

これで何回目だろうか。ドアを開けたのは悠仁だ。


「桜音杜サン。俺とも友達になってくれない?可愛い子好きなんだよね~。」 


その場の雰囲気が一気にぶち壊れた。なぜこんなときにそんなことを言うのだろうか。


「あ、ありがとう…」


(ほら、美月さんが引きぎみじゃないの。)


それでも返事をする美月さんを私は尊敬する。

「さっきから思っていたんだけど、美月さんって

特殊能力支持者なのかしら?」


私はその場の雰囲気を戻すためにさっき思ったことを言った。


「へ?すきるしじしゃ?」

この様子からすると彼女は特殊能力を知らないのだろうか。


(いや、知らないわよね)

10年以上生きていてそれを知らないのはおかしいと思うが、美月さんの環境からするとあり得る話だ。

どう言おうかと考えていると、悠仁が弁解してくれた。


「桜音杜サンの髪って銀色でしょう?髪の色が黒と茶色以外は全員特殊能力を持っているんだよ。」


美月さんは悠仁が言っていることが理解出来ていないようだった。


「まあそれはまた今度僕が教えてあげるよ。美月が退院したら柳瀬桜燐学園特別科においでよ。」


碧がさらっと学園へ勧誘している。

「退院したら…。私生きるのを頑張ってみる。」


美月さんがそう言った。言質は取った。これで彼

女が自殺しようとしたときに役立つだろう。


「是非そうしてほしいわ。」

「そだね。」

「そうですわ。」

「それがいいよ。」


私達が口々に言った。

すると美月さんが笑い出した。本日2回目の笑顔だ。

「ありがとう」

美月さんは笑っていた方がいいと思う。


新たな友人が私に出来た。

前世の時は無駄にしてしまった学生時代だが、今世こそは学生時代を満喫しようと思う。


これからが楽しみだ。



歌が出てきて驚いた方、すみません。もう出てこないと思うんですけど…。あれは伊戸菜が考えたので少々可笑しなところがあるかもしれませんがそこは多目に見てください…。PV7500越え、ありがとうございます。これからも頑張ります。

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