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過去2 京子編

短いです


目が覚めると体がだるくて、息が苦しくて、少しでも動いたら倒れてしまいそうだった。


私はさっきまで部屋で寝る間を惜しんで勉強していた。最近は寝てなかった気がする。

確か私は水を飲みに行こうとして、晴樹に会った気がする。

そこで晴樹に何かを言われた。多分私の体の事を言ってきたんだろう。


無茶している自覚はあるのだか、止められない。

本当は、誰かに止めてほしい。

晴樹は何回も止めようとしてくれたのに、次やめようと考えるうちにまた止めるのを忘れてしまう。止めてほしいと思っているのに止められない。矛盾しているかもしれない。

楽になりたい。


そう言えば、最後に泣いたのは晴樹と出会ったときで止まっている。


息も苦しいし、心も、苦しい。

ここは、何処だろうか。消毒液の臭いがする。

腕には点滴の様なものが刺さっていた。

私は白いベッドの上にいた。


何故か晴樹に会いたくなって、私の言うことを聞かない体を起こして探しに行こうとしたとき、腕をガシッと掴まれた。


「安静にしてて。」


私の腕を掴んだのは、晴樹だった。


「京子、2日も目を覚まさなかったんだよ。一昨日過労で倒れてから。」


私は2日寝ていたらしい、過労で。

(勉強…しなくちゃ)


「勉強、しなきゃ…晴樹、勉強…道具、は?」


本調子じゃない身体で起き上がり、勉強道具を探した。


「京子、ダメだ。勉強道具は無い。起き上がらないで、僕は怒ってるんだよ。あんなにも無茶しないでって言ったのに、なんで無茶するの。今回のはいつもとは違う。あと少し遅かったら、京子の体は手遅れになるところだったんだよ。なんで自分を大切にしないの?」


私の体、そんなに弱くなっていたなんて知らなかった。自分を大切にしていなかった。


「京子は、僕が大切?」

晴樹はいきなり当たり前のようなことを聞いてきた。


「そ…んなの、当たり、前。」


「僕が無茶して倒れたらどうする?」


そんなことをしないで欲しいと晴樹に言うだろう。

晴樹は私の大切な人だし、倒れられたら凄く嫌だ。無茶はしないで欲しい。

自分を大切にしてほしい。


「僕は、京子が大切なんだ。」


私が、今までしてきたことは全部、晴樹にとっては嫌だったんだ。

ずっと何年もこの気持ちを持ち続けていたんだ。

ひどいことを、してしまった。

私は晴樹が大切なのに、ずっと、知らないうちに傷つけていた。


「言いたいこと、分かった?」


「ごめ、んなさい。」


晴樹は縮こまる私を優しく抱き締めた。


「もう、無理しなくていいんだよ。京子も本当は気づいてるでしょう。僕が君を守るから。秘書を守るのも社長の勤めだと思うんだ。完璧じゃなくてもいいんだよ。京子は京子だからね。」


今まで溜め込んでいた気持ちが、晴樹の言葉によって溢れた。

涙がホロホロと流れてきてまた息が苦しくなった。


「京子、もう、無理はしないでね。」


いつもは頷かない私だが、今日は素直に頷いた。最初からこうすれば良かったんだ。

そもそも私は最初は両親への憧れだったけど、晴樹の役にたちたいと思い、こんなにもがんばっていたのだった。

今気づいたが、私はずっと昔から晴樹のことが好きだったみたいだ。


「良かった。」


晴樹が藍色のハンカチで私の涙を無茶な拭ってくれた。気づいた途端に恥ずかしくなってきた。


「そう言えば京子、これから一ヶ月入院してもらうからね。」


「退院したら学年末テストがすぐに来るけど、勉強したらどうなるか、分かってるよね。京子は賢いし勉強なんて本当はしなくても良かったんだし。」


これからはもう、無理や無茶はしないでおこうと誓った。

この件があって以来、晴樹が私に凄く過保護になってしまったのが難点だった。


大学も、晴樹に守られながらも首席で卒業し、念願の社長秘書になった私は、晴樹からだて眼鏡をもらった。


「これ、つけて。男よけになるといいんだけど、京子は可愛いから普通すぐに悪い虫がつく。駆除する僕の身にもなってよ。」

と言われたが、悪い虫を駆除とはずいぶん怖い事をするものだ。


私は今日も晴樹から貰っただて眼鏡をかけて、仕事を全うしていた。


今ではもうつけていないと落ち着かない。


こんな幸せな日々は、長くは続かなかった。


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