「気が付いてやれなくて悪かった」
謎解きはまだ続く
須藤は手を叩き江角の推理を賞賛する。
「凄い推理ね。でも証拠がないでしょ。私は外の景色が見たかったから屋上に来ただけなんだから」
「月守学園校則120条。生徒は屋上の出入りを禁止する。ただし昼休み期間は許可する。校則にちゃんと記載されていますよね。あなたは真面目な人です。そんなあなたが校則を破って早朝の屋上に来ますか。あなたは知っていたんですよ。私と春上がこの屋上で会うことをね」
口答えできないと須藤は思った。彼女は供述を始める。
「そう。あの奇妙なラブレターを送ったのは私。私は春上君のことが好き。でも強がって素直になれない。だからあんな方法で注目を浴びて告白しようと思ったの。でも春上君は中々私が差出人だって気が付いてくれなかった。二枚目のラブレターにヒントを書けば分かってくれると思ったのに、不覚にもその条件に合う女子生徒は3人もいた。やっと気が付いてもらえると思ったのにこの事実を知った時は絶望したわ。仕方なくさん付けを禁止にして一気に距離を縮める作戦に出たけど意味はあまりなかった。漆谷梅子やテレサ・テリーに対してもさん付けを止めたって聞いたから。江角さんはこの瞬間まで私が差出人だって分からなかったんじゃない。そうじゃないと、私の下駄箱の中に手紙を入れるでしょ」
「はい。この瞬間まであなたが差出人だとは分かりませんでした。昨日の段階ではあなたと漆谷梅子さんが容疑者でしたから」
須藤涼風は驚く。三人目の容疑者テレサ・テリーを省いているからだ。
「ちょっと待って。何でテレサ・テリーを容疑者から外しているのよ。彼女だって私のように苗字と名前の頭文字が同じじゃない」
「確かに須藤さんの言う通りです。しかし彼女は地方紙マルスを入手することはないと考えました。彼女はコスプレをするほどの推理オタク。推理物にしか興味がないはずです。興味がない物を入手する動機はないでしょう。漆谷梅子を容疑者として残したのは、地方紙マルスでデパートサンシャインの洋服店ユタカの特集記事が掲載されていたからです。自分がひいきにしている記事は絶対に見るはず。だから漆谷梅子さんも地方紙マルスを持っていると思いました」
そこへ春上が遅れて屋上にやってきた。
「須藤。ラブレターの差出人はあなただったのか。気が付いてやれなくて悪かった。生まれて初めてのラブレターはうれしかった。だけど俺には好きな人がいるんだ。それは幼馴染の江角千穂。お前だ」
江角千穂は顔を赤くする。春上の話は告白だ。
「春上。悪いけど他に好きな人がいるの。だから交際は諦めて。ただの幼馴染として生活しましょう」
この瞬間春上の中にあった江角千穂が好きという気持ちが爆発した。春上は振られた。
こうしてラブレター事件は失恋という形で終わりを迎えた。
次回が最終回。衝撃の結末。




