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奇妙なラブレター  作者: 山本正純
後編 I know it is not a date any more.
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「推理小説なんて読んでる暇があったら勉強しろ」

須藤涼風とのデート編第一話。

9月16日月曜日。午前9時15分。

「遅い」

 須藤涼風とのデートは彼女の一言で始まった。彼女の前に立っている春上は怒られていた。それも図書館の前という目立つ場所で。

 なぜ春上は怒られなくてはならなかったのか。話を数分前に戻そう。


 午前9時10分。春上は図書館の前に到着した。彼は約束の時刻より10分遅刻している。

昨晩彼はテレサと一緒に買った二階堂晴男の新作「漆黒の積乱雲」を読んでいた。そのストーリー展開にハマり、寝る間を惜しんで読破した。その結果彼は寝坊したのだ。

 不覚にも彼は漆谷梅子と同じ過ちを犯した。

当然真面目な性格の須藤涼風は怒っている。

 彼女の説教は5分以上続いている。

「全く。何分待ったと思うの。30分は待ってたんだから。20分前到着は常識でしょ。何で遅刻したか説明しなさい」

 真面目な彼女の説教を春上は言い訳をする。

「だから昨夜買った推理小説が面白すぎて寝坊したってさっき言っただろ。30分前から待ってたってことは、最低でも10分間俺を待ってたことになる。そんなに俺に会うのが楽しみだったのか」

 須藤は顔を赤くして、カンカンに怒っていた。

「推理小説なんて読んでる暇があったら勉強しろ」

 この彼女の一言で6分間に及ぶ説教は終了した。彼女の怒りは納まっているが、人間としてこの場は謝らなくてはならない。ということで春上は須藤に頭を下げた。

「涼風。悪かった。どうやったら許してくれる」

「じゃあ、勉強会が終わったら付き合いなさい」

「それは恋人になるってことか」

 春上の言葉を聞き須藤はさらに顔を赤くする。

「違う。2人で行きたい場所があるからついてきてほしいの」

 

 春上は疑った。まさか最終戦は本物のデートに発展するのかと。春上の答えは決まっている。

「それだけで許してくれるなら、一緒に行く」

 問題はイベント増加という形で解決した。そしてこれから二人きりの勉強会が始まると思いきや、春上には一つ気になることがあった。これを解決しないと勉強会に集中できないだろう。

「早く勉強会始めるから一緒に行かない」

 

 須藤は足早に図書館内に入ろうとする。そんな彼女を気になることがある春上は呼び止めた。

「涼風。一つ聞いていいか。何で私服じゃないんだ」

 

 須藤涼風は月守学園の制服を着ている。前日までに体験した漆谷梅子とテレサ・テリーとのデートで彼女たちは私服を着ていた。テレサが着てきたコスプレは私服と言っていいのかは分からないが。

 しかし須藤涼風は月守学園の制服を着ている。休日中の学外生活は制服で過ごすようにというような校則は月守学園には存在しない。

 つまり彼女が休日中も制服を着る道理はない。それならなぜ須藤涼風は休日中なのに制服を着て春上の前に現れたのか。春上には理由が分からない。

「制服で来たのは、あなたに私服を見せる道理がないから」

 春上はこれが地雷だと悟った。これから図書館での勉強会が始まる。


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