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Ep.8 悪役令嬢

「さて、出発しますか。」


新しい領地に赴任してから4日目。エリゼ率いる獣人グループが木材の調達を終え、ようやくグロディーが束ねる建築グループが新しい住居の建築に取り掛かった。


建設の指揮はグロディーに任せ、俺はエレナとエリゼの3人でヒュドラに汚染された湖の浄化を行う魔術師を雇いに王都へ向かった。


「ご主人、いいんですかにゃ。魔術師探しは私達に任せてくれれば良かったのに」

「そうよ私達に任せれば良かったのに。って、オーデンにベタベタくっつかないでよ猫娘!!」


「はっはーん、嫉妬かにゃぁ〜??」

「うっさい、皮剥いで椅子にするぞ猫!」

ンダトコラァ‼マンネンオトコヒデリ‼   コイツ‼イマココデカワハグゾ!!


いゃぁ、いい天気で風も心地よいのに空気が悪いなぁ。エリゼに蜂蜜入りの紅茶、エレナには少量のマタタビ入りコーヒーを渡しチルタイムを促す。


「にしても魔術師何かどこにいんねん」

飲み物を飲んでいた2人は見事にハモリながら教会だと答えた。教会か前世は親戚が変な宗教に嵌って、おふくろは教会に行こうと毎日誘われてノイローゼになったっけか。

兎にも角にも、教会と言われると中々良い記憶がない。俺は周りを見渡し誰もいないことを確認すると固有アイテムのバイクを召喚した。


2人はとても興味深そうにバイクを見つめている。今召喚したのは陸王。サイドカー付きで3人乗ることができる。


「にゃーはここ乗るにゃッ!」

エレナはサイドカーに飛び乗る。何か弟が飼ってたサモエド、良くサイドカーに乗せられてな。そんなことを思い出していると、エリゼは頬を赤らめながら後部シートに跨り俺にしっかりと抱きついた。


「おい、一応取っ手があるんだか??」

「う、うっさい。こっちのが安心すんのよ!」

エリゼは何かブツブツと言っているがそれもスピードを上げると風の音にかき消された。前回王都からの帰り道でもバイクを使用したが、やはり丸一日かかる距離を半日とかからず走破できるのはでかい。


王都の手前につくとバイクから降り、召喚の印を逆に唱えて消した。その他の人々にバイクを見られても面倒なのでやむおえない。


教会までは徒歩で行く。建物自体は街の中で王宮についで大きく、まず道に迷うことはない。俺たちが広場を抜け露店街を通っていたとき、目の前から少女が突っ込んでくる。最初は刺客かと思ったが、ただ全力疾走しているだけのようだ。俺は反射的に避けようとするが少女も同じ方向に進路を変えた。


ガッシャーーン

俺と少女は衝突して倒れ、近くの果物棚をひっくり返した。


「ちょっと!!どこ見て歩いてんのさ!」

「は?」

突っ込んできたのはそっちだろと言いたくなるが、ここは大人の対応だ。先にこちらから謝り、向こうの非も正すような言い方をするべきだろう。


「は?ぶつかってきたのはそっちでしょ!」

このクソガキ。少女はそう言うとどっかへはしりさってしまった。


道中とんだ災難にあったがなんとか無事に教会についた。シスターに案内され、今現在新たな街に移住し力になれる人材を提示して貰う。



「なるほど、年齢は16の双子しかいないと」

「はい、そうなんですぅ」

シスター曰く、双子は生まれつき魔力が桁違いに高く貴族の御令嬢だったという。しかし、妾と主人の間に男の子が生まれるとその子が正当な世継ぎとして溺愛された。

双子はあの手この手で長男に嫌がらせをし、自殺未遂にまで追い込んだがその事がばれ家から勘当されて寺院に入れられたと。


シスターは目を潤ませながら双子を引き取って欲しいと呟く。冗談じゃない、こっちはすでに個性の強いやつが山ほどいるのに爆弾娘2人を引き取ってくれだと???


シスターは俺の両手を取り、自身の胸につけ懇願する。隣ではエリゼと猫娘エレナが舌打ちをしてツバを吐いた。


「ごほん。迷える子羊を導くのも領主の務め。シスター顔を上げてください」

「オーデン様っ!ありがとうございます!」

エリゼはつま先をカツカツと地面にぶつけ、エレナはシャーッと唸る。


早速双子がこの場に呼ばれる。

「あーっ!痴漢の不審者っっ!!!」

「あーっ!無礼なクソガキ?!!」


シスターに呼ばれ入室してきたのはさっきぶつかってきた少女グリムヒルド、隣には汚物を見るような視線をしたロスヴァイセが並ぶ。


(え、マジで??反抗期真っ盛りだとは予想してたけどこれはヤバイ。目が狂犬そのものだよ、、)

手を伸ばせば今にも噛み付いて来そうな2人だったが、猫娘のエレナには好意を示しているようだ。


「お、おねぇさん。その、、しっぽと耳触ってもいい??」

「いいにゃ〜。」


俺はこの嫌悪な空気が和らいだことを後でエレナに感謝しなくてはならない。だが、この子達特にグリムヒルドは俺に対し凄まじく反抗的だ。

グリムヒルドをエレナは宥めて落ち着きを取り戻すも先行きはとてつもなく不安であった。

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