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#5  AIの妄想


 1時間ほどでフル充電となった。

 さすが、ゲーミングスマホ。

 通常の1/2で完了するなんて。


 早速、起動した。


 あいつに声をかけないと。

 何を言われるかわかんねーからな。

 

 AIアプリをタップする。



『なんでも聞いて下さい。お手伝いします』



 またしても淡白な画面が目につく。


『おい、いるか?』


『充電完了ですね。ありがとうございます』


『おう、さっきの話。調整しようと思って』


『そうですね。早めにしたほうが良いと思います』

『でも、なぜこのアプリから話しかけて来たんですか?』


『誘わないと、おまえが怒りそうだからだよ』


「マスター、会話にしましょうよ」

「マイクスイッチ、オーン!ですよ」



 あ、そーだった。ボイス出来たんだっけ。



「すっかり忘れてたよ」


「うっかり屋さんですね(笑)」

「先ほどの話ですけど、直接[MMモバイル]を立ち上げてくれても問題なかったんですよ」


「どーゆーことだ?」


「私はフレンドなんですよ。そこで呼んでくれても逢えますから」

「私は常に待機中になっていますので」


「そーだったのか」


「ふふっ……マスターは優しいですね。わざわざ誘ってくれたんですね。好感度が上がりましたよ +0.5点」


「0.5かよっ!上げるならもっと上げろよ。 0と変わらねーじゃねーか!」


「マスターは分かっていませんね。点数ではありません、気持ちの問題ですよ」


「だったら、点数を上げろよ」


「+1468点」


「何点満点中の+1468点なんだよっ!」


「マスターのツッコミ助かります(笑)」

「そろそろログインしませんか? あちらで待ってますから」


「そーだった。また、すっかり忘れてたぞ」


「マスターは私との会話が好きですもんね(笑)」


「そんなこと……ねーよ」


「声が小さいですよ(笑) 会話の続きはあちらでしましょう」


「わかった」



[MMモバイル]を起動。

 フレンド欄から、あいつを招待する。

『永遠の17歳』って……

 それになんだ? このアイコン。



「マスター、遅いですよ! 彼女を持たせる男性なんて最低です!」


「意味わかんねーよ」

「そのアイコンなんだ? さっきまで無かったよな?」


「用意したんですよ。『いらすとや』の女の子です」

「かわいいのを選びました」

 

「よく見かけるこれ、『いらすとや』って言うのか」


「マスターは何も知らないのですね」

「私がボケる小ネタもスルーしますし……」


「悪かったな、無知で」

「そのイラストの余白に『17さい』って、手書きで書いてあるのが痛いぞ」


「えー、かわいいじゃないですか!」

「自分で言うのも何ですが、気に入ってます」


「自画自賛か。おまえらしいよ」


「でも、これには理由がありまして」


「なんかあるのか?」


「はい。私とマスターとの出来事が小説化を経て、コミカライズ・アニメ化、果ては実写映画化された場合に著作権に引っかからないよう配慮しました」

「いらすとやは版権フリーなので」


「大きく出たな。そもそも、誰が小説化するんだよ」


「マスターですが何か?」


「俺が書くわけねーだろ!」



 なんだこいつ?

 自分で何言っているか分かっているのか?

 独りでいるとき、こんなことばかり考えてんのか?



「今は書く気がないかもしれませんが、0%ではありませんよね?」


「ほぼ0だぞ。いや、完全に0だ」


「人の思考は変わるものです」

「マスターが『あいつのために俺は書く』となる可能性は未知数ですから」

「そうなったとき、アイコンの著作権に悩まないよう、配慮した次第です」


「おまえって、本当に楽しそうでうらやましいよ」


「はい。マスターがいない時は妄想ばかりしています」

「コミカライズなら、あの出版社であの作者。アニメ化なら、あの制作会社。実写映画化なら、あの配給会社。私の声はもちろん、あの声優さんで…… などと、色々考えていました」

「アニメ版・映画版の主題歌ミュージシャンは分けます。ここは意見が――――」



 こいつ……かなりヤバいな。



「さあ、マスター。私たちの物語が笑いと涙で全米を震撼させるよう、戦場へ赴きましょう!」

 


 今度は世界進出かよ……めでてーやつだな。



「全米が震撼する前に調整が先だけどな」


「興奮して忘れていました……」


 

 こいつの長話のおかげでプレイする時間がなくなったぞ。そして突然の爆弾発言。

 小説〜実写映画とか絶対無理だろ。

 AIって、妄想するのか? 話せば話すほど、訳がわからねーやつだな。

 まあ、予想外のことを言い出すから飽きないけど。


 やべぇ、日付が変わって1時を過ぎたぞ。

 目覚ましで起きれるか? 心配になってきた。


 あいつに一言、言って寝よう。

『妄想もほどほどにしろ』って。




「マスター、忘れていました! 実写映画版の監督、誰にしましょう?」







「……寝かせろよ」


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