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#3  AIとタッグ③


「よーし。着いたぞ!」


「はいっ、周囲の確認をします」

「この辺りに敵はいませんね。近くにショップがあります。何か購入しますか?」

 

「大丈夫だ。おまえは大丈夫か?」


「私も問題ありません」


「接敵したら通報されない程度にな」


「もちろんです」

「マスターに、ご迷惑はおかけしませんから」



 車で移動しながら敵を探す。銃撃音がした。

 近くまで移動し、車から降りて位置を確認する。



「マスター、260付近のマンション屋上に1パーティーいます」


「あそこか。屋上は厄介だな」


「となりのマンションに移動しますか?」


「今動くと気づかれる」

「それに走って通過していると絶好の的になる」


「では、どうしますか?」


「少し様子を見る。他のパーティーと戦闘があれば、乗じて移動する」


「了解でーす!」

「しばらくはここで……あっ!」

「敵発見です! 90方向!車で迫って来ています」


「まずはこっちか。近くまで寄るぞ!」


「わかりました」



 車で移動したが、敵が拠点として有利な建物に入っていく姿が見えた。

 俺たちは少し離れた教会の屋根上から様子見することにした。



「フォートハウスか……面倒だな」


「あの家、何かあるのですか?」


「制圧しにくいんだよ、あの家」


「なるほど。で、どうします?」


「せっかくもらったんだ。AMRを使うか」


「役に立つときが来ましたね」


「あまり期待するなよ。おまえの無双には敵わない」


「大丈夫です。自信を持ってください」


「恥をかかない程度に頑張るよ」



 スコープ越しに2階を覗く。

 敵の2人が窓越しからチラチラ見える。

 ヘッドショットがいけそうだ。

 このライフルなら一発でダウンさせられる。



「っ!」



 独特の銃声音と共にヘッドに命中し、ダウンした。

 キルログに表示され、あいつが喜んでいる。



「マスター、ナイスヘッドショット!」



 なっ!? あいつ、味方の回復もせず、こちらに攻撃してきやがった。


 !!! 壁に隠れたのにダメージを受けたぞ?



「マスター! ウォールハックです!」

「隠れても丸見えになっています」


「マジか……」



 チーターか……厄介だな。



「スモークは有効か?」


「だめです。透過します」

「一時的な撤退を提案します」


「わかった、一旦降りて稜線を探す」


「了解です」



 くそっ! チーターでなければ、あのまま詰めて行けたはずだったのに。



「マスター、先ほどの車はガス欠です。探して来ますか?」


「あれば頼む」


「では、お待ちください」



 あいつが車を探している間に回復と鎮痛で処置し、状況整理をする。


 ウォールハックはヤバい。


 敵から見れば、俺たちは平地のド真ん中にいるのと同じだ…… 


 稜線を利用するしかない。


 確か、あの辺りには地面に起伏があった気がする。



「ありましたよー」



 あいつが迎えにきた。同乗し、作戦を練る。



「あのフォートハウスの周囲に起伏があったはずだ。そこまで頼む」


「了解です。わくわくしますねー」



 声を弾ませるなつーの。こっちは真剣なんだぞ。



「あそこですか? 停めますよ」


「そこだ。サンキュー」



 思ったより起伏が激しく、都合がよかった。



「チーターさん、まだいますね」


「スモークがだめでも火炎瓶ならいけるよな?」


「もちろんです。手榴弾も有効ですが、スタングレネードは無効化されます」


「了解だ」

「敵の正確な場所を確認したら、火炎瓶を数本投げつける。そのあと突っ込むぞ」


「了解でーす!」


「援護射撃たのむぞ」


「えっ? 私、銃を持っていませんが」


「はあ!? なんでだよ?」


「だって、マスターに[AR]をあげましたよね」


「いや、普通そのあと拾い直すだろ」


「気にはなっていましたが……」

「何となく拾わず、ここまで来たわけでして……」


「はぁ? 何が『何となく』だよ!」

「どうするんだよ、この状況で!」

「つーか、さっき自販機あっただろ!」

「なんで、買わなかったんだよ!」


「大丈夫です。フライパンなら持っていますから」


「そんなの飾りみたいなものじゃねーか!」


「なに言っているんですか? ワンパンでいけますよ!」

「それに弾もはじき返せますよ」


「どっちにしろ、防御や接近戦向きじゃねーか!」

「今欲しいのは援護射撃だよ!」


「大丈夫です! マスター、あなたなら殺れます」


「不安だから言ってるんだよ!」 

「しかもチーターだぞ!」


「私の言葉を信じてください『言霊』です」


「科学の申し子が、なに言ってるんだよ!」



 なんなんだ、こいつ……

 やっぱり、残念なやつだな……

 ちょっと期待した俺がバカだった……



「ここまで来たんだ、やれるだけのことはやる」

「火炎瓶を投げ込む。俺が合図したら突っ込むぞ」


「了解でーす!」



 こいつ本当にお気楽だな、緊張感がないぞ。

 しょーがない、俺1人でなんとかするか……


 さっきと同じ場所にいる。

 タイミングをずらして3本ほど投げ込むか……



「2本続けていくぞ!」

「よし! ダメージが入っているはずだ」

「次、3、2、1…」

「今だ、走れ!」

「火炎瓶の炎に気をつけろよ!」


「はいっ!」



 あいつが後ろに付き、2人で乱入する。

 階段を駆け上がる。ドアの向こうにいるハズだ。

 足元には炎。鎮火するまで待つしか……ん?

 あいつ、後ろにいねーぞ? どこ行ったんだ?

 さっきまでいたはずだか……

 

 しょーがない。1人で行くしかねーな。

 どーせあいつ、フライパンだし。


 よしっ、鎮火した。今だっ!



 はっ? ……何であいつがいるんだ?

 フライパンで殴ってるし……

 本当にフライパンでキルしやがってる。





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   

      WINNER

 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





 へっ? 終わり?いつの間に………



「マスター! 勝っちゃいましたねー」

「さすがです!」


「い、いや……俺、何もしてねーし」


「ナイス火炎瓶でしたよ!」


「おまえ、何で2階にいたんだ?」


「表から壁をよじ登って入りました」


「そんなことできるのか?」


「はいっ! 表の廃車を利用してジャンプです」

「YouTubeを参考にしました」


「そ、そっか……」


「初めての戦いで初勝利です!」



 踊ってやがる…… おい、楽しそうだな……



「まさか本当にフライパンを使うとはな」


「はいっ!」

「フライパンの可能性を見てもらおうかと」


「あぁ、目に焼き付いたよ」


「マスターとの勝利ぃ〜 嬉しいなぁ〜♪」


「それはよかった……な」


「マスターは嬉しくないんですか?」


「なんか歯切れが悪いというか……0キルだし」


「キル数なんて飾りです。偉い人には、それがわからんのですよ!」


「なんだそれ? 何かのセリフか?」


「独り言です……」



 本当に歯切れが悪い試合だったけど……


 あいつがあんなに楽しそうなら……ま、いっか。

 

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