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魔法律事務所に儲けはない  作者: 仕送りが欲しいマン
2/2

開業2

コンコン

普段扉の向こう側から音はしない。なぜなら一度たりとも来客が来た事ないからだ。今までの出来事をまとめようとするため床に寝そべって振り返っていた南 士郎はゆっくりと起き上がった。


「開いてるぞ。勝手に入れ。」

士郎は無理して低い声を出し渋い男アピールをしたがタンが絡んで咳をした。


「邪魔をする。レーヴィン・シルシアさん本人で間違いないですかな?」

入ってきたのは士郎を牢屋に入れた渋いイカす漢のスカル・バルバータ少佐である。

「なんだよ。次はなんの罪で豚箱入れるんだ?」

士郎は不満そうな顔をしてスカルに尋ねた。

「いい報告だ。殺害されたロール・アルバートの娘ミナミ・アルバートが罪を認めた。よって真犯人を見つけた謝礼金を渡しにきたのだ」

「え?マジ?」

「マジとはなんだ?とりあえず必要事項とか書類があるから目を通してくれ」

スカルはそう言って分厚い書類を士郎に渡した。


「これ全部確認するのか?」

一枚目を見るだけで途方に暮れる文字数に呆れながら士郎はスカルに嫌な目を向けた。

スカルは葉巻を取り出し吸い始める。返事はない。


士郎が確認をし始めたのを見たスカルは話し始めた。

「お前が言った通り、ミナミ・アルバートの魔法はドッペルゲンガーで間違いないそうだ。首を絞めて殺害。しかし動機は頑なに話さない。嘘を見抜く霊覚を持つ自警官にも来てもらったが喋らなければ嘘と見抜けない。殺害したのは確かだがな。」


士郎は意味のわからない文章を一通り目に通しサインの欄にレーヴィンの名でサインした後スカルに書類を渡す。


「じゃあ、殺せと言われて殺したとかそういう内容であっても喋んなきゃ刑は軽くならないってことか」

「人を殺してるんだ。軽い刑にはならんだろう」

当たり前のことを当たり前のように返したスカルはコートの内ポケットから謝礼金の3,000テリアドルを士郎に手渡した。


「話せることは以上だ。3日後刑が決定する。恐らく30年以上の禁錮だろうな」

「どの世界も死は重いわな」


少しスカルは首を傾げたがそのまま扉へ向かった。

「セントラルの軍基地で判決が決まる。君が冤罪だった事件だ。様子くらい見れるように手配しておく。こんな機会は滅多にない。この先の人生で魔法によっての殺害の判決が死刑ではない初めてのケースをな」

扉が閉まった後の事務所は静かなものだった。

紅茶を再度入れ士郎は口に入れた。


「これで今月は凌げるな…」

士郎は夕日を見ながらつぶやいた。



真犯人を見つけた士郎は自警団にミナミを突き出し、自白させた。しかし言わされている可能性もある為信用はされていなかった。

その後スカルが呼ばれ事情聴取をしたが自分が殺したこと、自分の魔法がドッペルゲンガーであること以外の言葉をミナミが吐くことはなかった。

ロールの周りでは娘のミナミは愛想が悪くロールとは口を聞いていなかったと発言していた。仲が悪かったことは証明されたが、なぜ仲が悪かったのかロールの妻であるミツハ・アルバートは知らないという。


しかし士郎には引っかかることがまだあった。なぜドッペルゲンガーの魔法なのかと言うことと俺に殺害の容疑を着せようとしたのかという点。

顔を変える、変形させる魔法と新たなものを作り出す魔法がドッペルゲンガーの魔法を生み出しましたというのはここの世界ではなんでもありだろと考えればそうかもしれない。しかし、世界線が違うところから来た士郎には不可解な話であった。

そして、容疑を着せる相手が士郎でなくてもよかったのではないかということ。そもそも自分の動きを知っていなければ靴を奪うことができない。風俗で行為中だったとはいえ人が来れば流石に行為中であったとしてもわかる。寝ている時の方が圧倒的に靴を奪うのは簡単なのだ。そして、何よりも士郎に目を付けられた時になぜ士郎を殺害しなかったのか。

いくつかの疑問が晴れない理由はミナミが動機を話さないからである。

要するに動機を話せば困る人がいるか、刑がさらに重くなるほどの理由があるか。


士郎は事務所を後にしミツハ・アルバートの元へ向かった。




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