表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽園の祈り  作者: 大拓 陽
第三章 デゼルダ孤児院 前編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/104

【第三章 - 21】あの子猫ちゃんが……。

 ーー数日後。


 昨夜、れいりの放った魔法は無事竜を打ち落とし、孤児院も無事。

 エリーナが孤児院修復工事のため、という肩書きで収容されている子は帝国の方で保護されるとのことだ。


「お姉ちゃーん」

 ナディアは大きな声でそう叫びながら、アステールの胸元へとダイブする。その勢いが強過ぎたのか、力が無さすぎるだけなのかーーアステールは少し背後にふらつくも、なんとか体制を立て直す。


「お久しぶり」

 少し威勢は感じられなかったけれど、アステールは微笑んで落ち着いた表情で言った。

 そうして、この双子の姉妹は久しぶりの再会を果たしたのであった。


「それで、貴方は一体ーー」

 甘猫が尋ねたのは、アステールを引き取ってくれていたおばあさん。落ち着いた雰囲気の彼女は、どうやらアステールと昔からの顔見知りだったようで。


「私はね、アステールがまだ小さかった頃、あのこの面倒を見ていたの。あの子の親は多忙だったからね」

 懐かしむようにおばあさんは言った。


「貴方達が呼んでいるアステールという少女の本名は涙。ナディアと呼んでいる子の本名はみどりというの……」


 外の人、れいりを含めその名前のネーミングセンスはどうかと思うが、由来は多分ーーデゼルダの女神が流した涙。それが雨となり、緑となる。そんな神話が由来なのではなかろうか。


 すると、甘猫が突然、れいりの耳元で言った。

「あの子達、迎え入れませんか?」

 れいりは困惑した。別に、あの子を迎え入れることに困惑した訳ではない。甘猫がそう言ったことに困惑したのだ。


 この、自分のメイドであり、この控えめな愛おしい子猫ちゃんが?この、人を喜ばせられれば何でも良い、ちょっとはずれた猫ちゃんが?そう言ったのだ。

 れいりは、よく娯楽小説に出てくる自分の子供が初めて立った時のあの喜びの意味を理解したような気分になった。


「何考えているんです?私はかなり自主的な方だと思いますよーーただ、いつも都合が良い風に受け取られるだけです」

「え?」


 何故、見透かされているのだろうか。

「れいり様をもうかれこれ365日くらいずーっと見てて、毎朝3時間くらい起こしているのに、まだ見透せないと思っているなんて……れいり様もまだまだですね。それで、どうなんです?提案してもいいですか?」


 その件に間しては全くもって問題なかった。もうそろそろ、れいりも一人暮らし?いや、年齢的に家を出ようかと思っていたのだ。


「何々?」

 そう言って、食いついてきたのはナディアことみどりだった。

「あの……もし良かったら一緒に住みませんか?」


「ねぇ、お姉ちゃん。それ本当?」

 目を輝かせてナディアは尋ねた。

 すると、背後から落ち着いてとも言いたげに、アステールこと涙が近づいてきて……。


「そういうのは社会で言うお世辞なの。そういうのはあまり信じない方が良いと思う」

 こっちはこっちで、正直すぎるような……。


「お世辞なんかじゃ無いですよ?」

「え?」


 それから、まもなく心虹家が二人を迎え入れたのは約一ヶ月後くらいの話だったーー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ