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楽園の祈り  作者: 大拓 陽
第三章 デゼルダ孤児院 前編

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【第三章 - 4】マジカルタウン

 ーー3時間後。

 ホテルのチェックアウトを済ませたれいり達は中央にあった大きい広場に降り立つ。

 もう、れいり達が着いた時には日が暮れ始めていた。


 マジカルタウン、その名の通り全てが魔法で機能している街。

 街の真ん中にはガラスと緑、金色の混じった上品な灯の形をした建物があり、そこから階段上になるように住宅街。

 そして、れいり達が降り立った広場が丁度中央にある。


 でも、その日差しが街をより一層輝かせ、二人とも街の景色を見てうっとりする。

「ここが……マジカルタウン」

 可愛い街という印象が深かったが、れいり達の目には綺麗という印象の方が大きかった。


 まるで、魔法の美しさを具現化したような街。

 魔法を愛してやまない人にとっては、とても目が幸せな場所だ。どこを見ても、魔道具があり、どこを見ても魔法が存在している。


「甘猫……ここに住まない?」

「良いですね……じゃなくて、今日は何処に泊まるんですか?」

「野宿でもしようかと」


「何言ってるんですか!では、まず宿を探しに行きますよ」

 甘猫はキレ気味に言う。

「ちょっと待って。ごめん、謝るから……怒んないで」


 ここには三大賢者専用宿泊施設がある。

 それは、最初にこの街にきた時、れいりも甘猫も見ているはずだ。この街で一番目立っているあの灯の建物こそ、その宿泊施設なのだ。


 ーーその道のりは意外とハードだった。

 何故なら、住宅街に沿うように階段が続いているからだ。箒に乗れば一直線だというのに…住宅街の奥の方に進むと、箒が通れないよう結界が貼られていたので断念したのだ。


 それにしても、この街には住宅街にも沢山の魔導書があって、小さい子でも魔法言語が読めたり、話せたりする子が多い印象だ。

 やはり、ここでは魔法とは身近な存在なのだろうか。


 後で、ゆっくりここら辺の魔導書店を巡りたいなんて、薄々思ってる。でも、甘猫にそんなこと言ったらもう何が起こるか考えなくても分かる。

 絶対に、無駄遣いだから魔導書を返してきなさいって言われる。


 れいりは、バレないように口を硬くしなければならないのだ。


「れいり様、まさか後で魔導書店で魔導書買うつもりじゃないでしょうね……」

 れいりの思考が読まれたのだろうか。いえ、絶対そんな難しい技が使えるわけない。

「何でバレたの?」


「顔に出てますよ。悪だくみしてるときの顔です……それに、少しは隠す姿勢を見せてください。先ほどから魔導書店を見るたびに足が勝手に店の方へ行ってますよ」

 れいりも甘猫に言われて初めて気がつくくらい自覚していなかった。私は一体何をしているのだろうか。


「ねぇ…買っちゃだめ?」

「ダメです」

 甘猫はキッパリと言う。


「マジカルタウンのある書店で、美味しいカフェラテが作れる魔法が置いてあるらしいよ」

 れいりが言ったそんな何気ない一言に、甘猫は反応する。そして、れいりの方を振り返って、顔を赤らめて言う。

「三冊までなら……」


 れいりは心の中でガッツポーズする。


 ーーそれから、例の宿泊施設に着くまで、思ったより時間はかからなかった。


「いらっしゃいませ。ようこそお越しになられました」

 出迎えてくれたのは、スーツ姿の職員。

 それから、その男性はれいりと甘猫の荷物を預かり、近くのティールームまで案内した。


 それから、お菓子と紅茶が用意される。

 それを手に取り、一口飲んだ時、その職員は口を開いた。


「美味しいですか?こちらは西の方で採れた茶葉を厳選したものとなっております」

「えぇ」

「それにしても、今日はどのようなご用件で……夏休み旅行ですか?」


「まぁ、そんな感じです。しばらくはここに滞在しようかと」

「かしこまりました」


 職員はそうとだけ言い残し、部屋を出ていく。

 それを見送った甘猫は、ティーカップを持ったままれいりの方を振り向き、不思議そうな顔をする。


「れいり様、マジカルタウンに着いたのは良いものの…何するんですか?」

「うーん。特に決めてない……ただ、そのお姉さん?の情報を集められないかなって」

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