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楽園の祈り  作者: 大拓 陽
プロローグ

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プロローグ

 その昔、世界に時空のゆがみが発生し、その瞬間世界は二つに引き裂かれた。

 その二つの世界は全く違う運命を歩むこととなる。


 片方は科学で発展し、 もう一方は魔法によって文明を築いた。前者をガイア、後者をミラグロスと、人々はそう呼んだ。


 それから、両者は一生交わることはない。と、そう思われていた。

 しかし、今から約二千年前ーーひとりの男がその常識を覆した。ミラグロス帝国初代三大賢者の一人、セイシスト・リオン


 彼は23歳にして、二つの次元をつなぐ門ーー『ゲート(結界)』を築き、ガイアとミラグロスを行き来可能にした。


 以後、彼は生涯をかけてその結界の管理を行い、56歳でその生涯を終える。

 彼の死を悼み、人々はミラグロス帝国の首都、ルミナスタウンの中心に銅像を建て、今なお「世界を繋いだ賢者」として語り継れている。


 ーー彼の死後、結界の管理を引き継いだのは、セイシスト教会と呼ばれる宗教団体。彼らは、セイシスト・リオンを神として信仰していた。


 彼らは、ゲート周辺に本部を築き、約二千年にわたり、ミラグロス帝国の代理として結界の監視を行っている。


 その管理の一環として、『整備点検』というものがある。

 これは、セイシスト教会が秘密裏に行っているものであり、魔術式を使ってより詳しく結界の点検を行うというもの。


 でも、この魔術式には、一つの大きな懸念がある。

 それは、この術式がセイシスト教会によって後年開発されたものであり、セイシスト・リオン本人が開発したものではないという点だ。


 それよりも問題と言えるのは、彼が生前に残した記録に結界に関する記録は一切なく、当時の関係者も全て故人となっているということ。


 しかし、仕方ない。なにせ、リオンが結界を築いたのは二千年前のことなのだから。


 現代の帝国には、「魔力が見える者」はいないとされており、この魔術式以外に結界を点検する手段は存在しない。

 その精度が疑問視されつつも、代替手段がない以上、形式として続けられてるに過ぎないのだ。


 帝国の古い神話には、次のような記述がある。

 ーー「ゲートは二つの世界を繋ぐ代償として、帝国のあらゆる情報を吸収し続けている」


 つまりこれは、結界が崩壊すれば、この世界の記録、存在、魔力体系全てが消失することを意味する。


 もしかしたら、その「崩落の前兆」は、すでにどこかで始まっているのかもしれないーー。


 * * *


 ーセイシスト教会本部ー

 セイシスト教会礼拝室居た一人の女性はまた今日も神に祈りを捧げていた


 決められた祈詞を唱えながら、同時に彼女は心の中奥底で誰にも聞こえぬよう、今日も願った。


 ーーどうか、れ以上崩壊しませんよう、お救いくださいませ。


 空に浮かぶ、一筋の亀裂。

 そこから魔力が揺らぎ、消えてゆくーーそんな光景が、彼女には見えていた。話そうとしても、誰も彼女に耳を貸してはくれない。


 ……それに、彼女は知っていた。

 この教会が抱える、誰にも言えない「秘密」を。


 祭壇の奥で、誰かがそっと扉を閉じる音がした。ルミナはその方向を振り返らなかった。

 いいえ、振り返れなかった。


 どんな顔がそこにいたのか、知りたくなかったから。


 今日もまた、誰かが選ばれたのかもしれない。そう思うと、胸が苦しくなる。

 何かを得るということは、何かを失うことも意味するのだ。


 彼女は目を閉じたまま、指先に力を込める。それから彼女はそっと床から立ち上がった。


 ーーもうじき、あの子が来る私と同じ世界を視る者が。


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