後始末
1週間後
ジュリエッタとエミリー一家が旅立ちの準備をしている。王都での権力をすべて没収され領地へ帰るのだ。
クロエがはにかみながら二人のもとへ…
「クロエ様!」駆け寄る二人。
「あの、その…私のこと恨んでるわよね、ごめんなさい…」
顔を見合わせるジュリエッタとエミリー。
「いいえ、とんでもない!クロエ様の嘆願がなければ、私たちもっと悲惨な目にあっていたんですもの。」
「アリア様みたいに…」
『離しなさい!私を誰だと思っているのです!』衛士に連れていかれるアリア。
『許さないわよ~!クロエ―!!』
『さぞかし暴れたんだろうな~』
「お礼申し上げます、クロエ様。」
深々と頭を下げる二人。
しっかと抱き合う3人。
「今日は餞別を持ってまいりましたの。」
「ジュリエッタ様の領地は木工細工などが有名と伺いまして。」
1枚の髪を渡す。
「リ、リバーシ?」
「王国にまだないゲームの作り方と遊び方です。」
「エミリー様の領地は農耕が盛んで、お芋がよく収穫されるということですので…
ポテトを薄切りにして揚げるおやつ兼おつまみのレシピです。」
『異世界あるあるをやってしまった…でも二人のためになるのであれば、それでいいわ。』
「ありがとう。クロエ様…必ず成功させて見せますわ!」
クロエは二人の馬車が見えなくなるまで、手を振り続けた。
その後発売されたリバーシもポチトチップスも爆発的ヒットとなり、二人の領地に莫大な富をもたらしたのだった。
王立学園
「やっと傷も癒えて、今日から復学だ~。1人で登校するのって初かもなー」
正門をくぐると…
「クロエ様~!」「お怪我は大丈夫ですかー」
何十人という生徒がクロエを取り囲む。
『ええ~?何なの~?』
「ぜひ私と婚約を―」「我が家のお茶会に―」
「皆さん、お静かに!ジュノア王太子殿下が参りました。」
スッと下がる生徒たち。
「行こう、クロエ嬢。」
「はい」
「どいいうことかしら~」
「当たり前ですわ。クロエ様は殿下を守り、悪徳公爵を滅ぼした王国の英雄なのですから。」
「レオナ様…」
「生徒の中には崇拝者も多いとか。」
「ビジャ様まで、私は普通の…伯爵令嬢ですのに。」
「あはははは!」一同大笑い。
「普通の令嬢は騎士団に入りたいなどとは言いませんよ」
「それって…知れ渡っているのですか?」
「それはもう」
「そして、敵も多い。影の公爵派、公爵のおこぼれをもらっていた貴族はまだいますから。」
「すでに王国の護衛団がアランバートル家の方々についていますが、学園内では私たちがお守りいたします。」
「はあ、ありがとうございます。」
「ほんとは必要ないかもしれないけど?そういうことにしておいてね」
アランバートル家
クロエの部屋
『これでゲームのシナリオから卒業できたはず!これからは純粋に最強を目指すわ!』
と、いいながら腹筋を始める。