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神社にて 3





「……っ?……え?……うそ……?」



《ーーゴトッ!!ーー》



 スマホを落とした。自室のフローリングが傷付いた音がした。



『……ノ……ミ!?……どうし…、だい……ょう……ぶ?…………ゾミ!?……ノゾミ……!?……』



 落としたスマホからユウコの声が途切れ途切れに洩れ聞こえる。私は焦点の合わない目線を固定したまま思考が巡る。


 彼氏が亡くなって悲しい……。

 その話が信じられない……。

 いや、ユウコはそんな冗談を言わない……。



 違う。そんなことじゃない……今、私の心を支配している感情は……ーー。



 強烈な……





 ーー【罪悪感】。ーー



「……私……が……、【あんなこと】……したから……」



 震える声で口から言葉出た。





 あの日、私は参拝中……隣に居るユウコが目を瞑っているのを確認した後、【アレ】をした。

 神社の社務所裏から聞こえた……


 【ウラハク】を混ぜて人を【呪う】


 という話。



 そんな突拍子もない話……鵜呑みしたわけじゃない、【ウラハク】が何のことかも分からない……でも突然、彼氏への【憎しみ】が溢れだした。


 信じていた人だった。

 そんなことする人じゃないと安心していた。

 2人の未来を想像したこともあった。


 大好きだった……。


 でも、こんな簡単に【裏切る】なんて……あの人にとって私は……その程度だったの?って思うと……。



 私は……〈私の思う〉【ウラハク】を参拝に混ぜていた。



 あの人【たち】の顔を思い浮かべて……。









『……ねぇ!……だ……じょ……ぶなの!?……ノゾ……!!……ノゾミ!?ノゾ……ーー』



 駆け巡る思考の最中、床に転がるスマホからユウコの必死の呼び掛けが聞こえ、ぐるぐるとした思考の渦から意識を戻した。



 落としたスマホを拾う。



「……あ、ごめん。ユウコ……あの……ーー

『ーーノゾミっ!!あぁ良かった!倒れちゃったのかと思った!!全然反応ないから!なんか音したし!ーー』



 焦るユウコは動揺して次々と言葉を繰り出す。



「ユウコ……あのさ……また後でかけ直……

『ーーあ!それでね!〈同乗者〉が居たんだって!その人も即ーー



《ーーシュッーー》



 ほぼ同時だったせいか、私が電話を切ろうとした意図の言葉を掻き消してユウコは話を続けたが……


 私はスワイプして電話を切った。









 また考えを巡らせ始める。


 1つの仮説を考えた。とてもシンプルで……自分に都合の良い仮説。



 たまたま……偶然に……このタイミングで……私の彼氏が交通事故にあった。私の【あの参拝】には何の効果も関係もない……。



 そう……偶然。たまたまだ。



 …………



 ………………



 ……………………





 じゃあ、この【罪悪感】はどうして?

 ずっと、心臓の辺りが煩くて気持ち悪い。


 ダメだ……吐きそう……。



「…………うっ!!」



《ーーバタバタバタバタッーー!!》



 私は洗面台へ駆け出した。



「ーーっう…………ぅえええ!!はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……ーー」



 思ったよりサラサラの吐しゃ物が洗面台でビチャビチャと音をたてる。ひどい顔をして涙を流す自分が鏡に映る。この涙は悲しいからなのか、〈嗚咽〉からくるものなのかはもはやどうでもいい。


 だって……たぶん、後者だろうから。





 私は……結構ひどい人間なのかも知れない……。









「あ」



 電話を切る直前……ユウコがなんか言ってたな……。



 〈同乗者〉がどう……とか……。







「…………」



「…………………ふっ」



 鼻で笑った後、今まで使ったことない言葉が出た。












「【ざまぁ】」









   ーー神社にて《 完 》ーー

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