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blue rose  作者: 灑凪
35/35

chapter.34

  (…なんだ?)


 何かの気配を感じて、自室のベッドに寝転がって雑誌を読んでいた龍は、上半身を起こした。

 敵、の気配ではない。だから龍は、気のせいだろうと判断して、再びベッドに身を預けた。


 次の瞬間。


「龍くーんッッ!!!!!」

「…へっ?」


 どばーんっ! と凄まじい勢いで、龍の部屋の扉が開く。

「遊ぼー!!」

「煉夏!? …って、ぐほっ!」

 それと同時に、腹に煉夏が飛び乗ってきた。

 思わず妙な声を上げて、龍は軽く咳き込む。

「おまっ、どうして俺の部屋…!」

 知ってんの? と聞こうとした時点で、龍は自分の今の状況に気づいた。


 煉夏が自分の腹に乗っている、と言うことは、つまり…。


「ちょ、お前どけ!! 今すぐそこを退いてくれ!!!」

「え~? なんで~??」

「なんでも!!」


 真っ赤になって言う龍に、煉夏はただ首をかしげる。

 煉夏が腹に乗っているということはつまり、彼女が自分に馬乗りになっていると言うわけで。

 しかも今、煉夏の服は自分の服のお下がりで、若干だぼだぼ。

 覗き込むように煉夏が龍の顔を見ているから、その胸元から中身が見えそう。


(ちょ、これはヤバい! 色々ヤバい…!!)


「ねぇ龍くーん、遊ぼうよ~」

 そんな龍の心情など知る由もなく、煉夏は彼の腹の上でバタバタと暴れていた。


(そろそろ本気でヤバい…!!)

 龍はそう判断すると、次には行動に移す。


「煉夏!」

「ふぇ?」


 突然強い口調で名を呼ばれ、煉夏が間抜けな声を上げた。

「遊んでやるから、とにかく降りてくれ…」

 そして、その隙に腹筋の力で起き上がる。


「おぉ…?」

 その反動で、煉夏は龍の腹から転げ落ちた。


「すっごーい、龍くん!」

「そ、そうか…?」

 腹筋だけで起き上がった龍に感動したのか、煉夏が嬉しそうにきゃっきゃっと笑う。

 褒められたのが満更でもないのか、龍も照れ臭そうに笑った。


 その時。


 コンコン

「龍、一緒に茶でも…」

 ノックの音と共に扉が開き、智彌が顔を覗かせる。

 しかし、その智彌の言葉が、不自然な所で途切れた。

「? 智彌?」

 その様子に首を傾げ、龍が智彌に呼び掛ける。

「? どしたー?」

 呼び掛けても反応しない智彌の後ろから、別の声がかかった。

「あ、煉夏! あんたこんなとこに…」

「あ、詩苑だ~」

 その声の主は詩苑で、やはり同じように、不自然な所で言葉が途切れる。


 そして。


「……すまん」

「お邪魔しました~…」

「「……へ?」」


 扉を閉めようとする二人に、龍と煉夏の間抜けな声が問いかけた。


 その言葉に、ようやっと自分の状態に気づいた龍が、顔を真っ赤にして弁解する。



「ちっ、違う!! これはそういうんじゃなくて…!!!」


「…龍がそんなに手が早いとは思わなかったな…」

「邪魔しちゃ悪いから、あたしたちはこれで……」


 しかし無情にも、部屋の扉は閉められた。


「詩苑と智彌さん、どうしたんだろう?」

 龍に押し倒されている煉夏が呑気に言う。



「違うんだぁぁぁぁぁぁっっ!」


 そして、龍の悲痛な叫びがこだました。


不憫なオトコノコ

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