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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆最終章◆+◆フォトリベで幸せに!? ハッピーエンドになるはずで章◆+◆
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フォトリベレーション~童話短編Ver~~おまけ②~

おまけ①とはラストが違います。

 むかしむかし、とある魔法の国には、魔法のカメラがありました。

 その魔法のカメラで、撮った魔法の写真を《《フォトリベ》》すると《《シャドウ》》ができます。

 シャドウ――つまり魔法のカメラは自分のニセモノを作る魔法の機械なのです。


 魔法の国を魔王が襲った時に、魔法のカメラを偉い人が発明したのです。魔王のシャドウと戦わせて、本物の魔王は見事倒されたのです。


 それから、百年後も魔法のカメラは使われ続けていました。

 しかし、この頃になると魔法のカメラは悪い人たちに使われて、世界は悪いシャドウであふれ混乱しました。

 だから、イレイサーの手によって悪いシャドウは消され、魔法の国の平和は守られていました。


 そんな魔法の国には、女の子がいました。

 ある男の子に片思いする普通の女の子です。

 その片思いしている男の子に、君の魔法の写真が欲しいとお願いされました。

 女の子は喜んで彼に自分の魔法の写真を渡しました。

 男の子は自分のことが好きなのかもしれない。女の子は大喜びして幸せな気分になりました。


 しかし、数日後、悪いことが起きました。

 イレイサーの手によって、両親が消されてしまったのです。


「自分はシャドウなんだ。だから、自分の家族もシャドウだったんだ!」


 女の子はがっかりしました。

 でも、女の子も家族も良いシャドウでした。

 悪いシャドウではないから、いくらイレイサーでも自分たちを消してはいけないのです。


「ゴメンゴメン、間違えて消してしまったんだ」


 いくらイレイサーに謝って貰っても、女の子の家族は帰ってきません。

 イレイサーは親切そうな顔をして言います。


「もう一度、魔法の写真をフォトリベして、シャドウを作ればいいよ。だから、問題ないよ」


 でも、女の子は両親の魔法の写真を一枚も持っていませんでした。

 普通の写真はあるけど、魔法の写真はいくら探してもなかったのです。

 女の子の両親の代わりはどこにもないのです。

 それに、自分の両親を消したのはイレイサーです。

 だから、文句を言ってもだれも取り合ってくれません。


 女の子は嘆きました。

 両親は帰ってきません。女の子はシャドウとして生きなければなりません。自分がニセモノだなんて、なんて嫌な気持ちなんでしょう!


 でも、悲しみに暮れている女の子の前に、魔法使いが現れました。

 魔法使いは、女の子のことを慰めてくれました。

 落ち込んでいる女の子に偽りのない真実の心で親切にしてくれたのです。

 女の子のぽっかり空いた心の隙間を魔法使いがあたたかい心で埋めてくれたのです。

 すっかり女の子と魔法使いは姉弟のように仲良くなりました。

 心を許した魔法使いは、女の子に一つのカギを手渡しました。


「これは魔法のカギだよ。あなたにあげるから誰にもあげてはダメだよ」


 女の子は、魔法使いからのプレゼントを心から喜びました。

 魔法使いとの約束を絶対守ると誓いました。


 しかし、また大好きな男の子が、女の子に魔法のカギが欲しいと言い出しました。

 女の子は、好きな人のためだからと、それを男の子にあげてしまいました。

 魔法使いとの約束を守らなかったのです。

 心から親切にしてくれた優しい魔法使いを裏切ってしまったのです。


 そんな時に、魔王が復活しました。

 しかし、魔法のカメラを使っても、イレイサーでも全然かないませんでした。

 女の子はついに追いつめられてしまったのです。

 そんな時に、片思いの男の子が女の子を助けにきました。

 男の子は、「最後だから」と付け足してから、女の子に告白しました。


「俺は、君が大好きなんだ。二百年生きてきた中で一番好きだよ」


 女の子は、夢を見ているようでした。

 自分はシャドウだけど、生きてきてよかったと心から思いました。


 でも、二百年生きているのに男の子はどう見ても女の子と同い年です。

 変に思っている女の子に、男の子は本当のことを告げました。

 なんと、男の子は魔王の息子だったのです!


「俺が、魔王を連れて帰るから安心してくれ」


 何を言っているのだろうと女の子は不思議に思いました。

 すると、男の子は女の子があげた魔法のカギを使いました。

 魔法のカギ。それは、異世界に行くためのカギだったのです。

 なんと、男の子は魔王と二人で異世界に帰ってしまったのでした。

 魔法の国は平和になりました。でも男の子は帰ってきません。


 怒った魔法使いが女の子の前に現れました。


「お前は約束をやぶった! お前が悪いんだ!」


 そういうと、怒った魔法使いは姿をくらませてしまいました。

 約束を守らなかったので、男の子も魔法使いも、女の子の目の前からいなくなってしまったのです!

 女の子は、地の果てよりも後悔しました。

 そうして、ひとりぼっちになった女の子はしばらくの間立ち直れずに寝込んでしまいました。


 それから、数年がたちました。

 女の子は、みんなをひたむきに探し続けました。

 毎日毎日、必死に必死にみんなを探しました。

 けれども、再会できませんでした。

 悲しくて悲しくて、女の子は毎日毎日泣きました。


 魔法使いの約束を守らなかったせいでしょうか。

 女の子は心の底から後悔して、魔法使いに謝り続けました。

 そんな魔法使いに謝ったいつもの夜のことでした。

 女の子の夢に魔法使いが現れました。

 魔法使いは不思議なことを言いました。


「頑張って生きたから、ご褒美をあげよう」


 なんと、目が覚めると女の子はお城の中にいました。

 女の子の両親もいました。

 魔法使いもいました。

 大好きなあの男の子までそこにいました。

 ここは、異世界のお城だったのです。

 なんと、あの男の子は異世界で魔王になっていたのです。


 そばには、フォトリベした後の女の子の写真が落ちていました。

 むかし、女の子が男の子にあげたあの魔法の写真です。


 もしかして、魔法使いが女の子のために魔法をかけてくれたのでしょうか。

 だから、女の子はシャドウとして魔界に来ることができたのでしょうか。

 だから、両親が戻ってきたのでしょうか。

 だから、男の子と再会できたのでしょうか。

 もしかして、魔法使いは許してくれたのでしょうか。


 にっこりと魔法使いは笑いました。それがすべての答えでした。


 数年後に再会した男の子は、ますます格好良くなっていました。

 背も伸びて、まるで王子様のようでした。


「結婚しよう」


 女の子は大好きな男の子にプロポーズされて天にも昇りそうな心地になりました。

 みんながいるから女の子はシャドウであってもかまわないと思いました。

 それから、女の子と男の子は結婚して結ばれました。

 そうして、みんなと一緒に魔界で末永く幸せに暮らしましたとさ。


<おしまい!>

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