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フォトリベレーション~一寸のシャドウにも五分の魂~  作者: 幻想桃瑠
◆+◆第五章◆+◆フォトリベで三つどもえ!? 鍵を求める人たちの対決で章◆+◆
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第八話 犬猿の仲の二人

 レイフォトによると夜桜鑑は死んだとあった。

 でも、夜桜鑑は生きている……?

 喜ばしいことだ。一応は、不安から解放されたわけだ。

 しかし、我輩は首をかしげる。

 けれど、数日前から不可解なのだ。


 夜桜鑑の屋敷の方角で、きな臭い動きがあった。しかし、ニュースにはなっていない。

 鑑もいたって普通だ。


 しかし、今回の感情のないレイフォトには、鑑が死んだと出た。

 本当に鑑は大丈夫なのか?

 もしかして、あの鑑はニセモノ……?

 いや、でもあれはいつもの鑑だった。

 いやいや、本当にあれは本物の鑑なのか?


 不可解に思った我輩は、翌日から鑑のレイフォト――つまり、ピンクの光のポイントを探し回った。鑑の屋敷のほうにまで行って、レイフォトを二枚撮った。


 他にも露世のことが気がかりだったので、我輩は露世のレイフォトを探そうとした。しかし、露世のレイフォト――つまり、白の光のポイントはどこにもなかった。

 代わりに、川の土手に紫の光のポイントが二つあったので、我輩は代わりにそれを撮った。どれも、まだ真っ黒なレイフォトだ。四枚の真っ黒なレイフォトをポケットにしまって、我輩はいつも通りに登校した。


「おはよー」

「あー、おはよー、月野原」


 気を付けろと言っていた露世は、まだ眠そうだが至って普通だ。

 あの警告はいったい何だったのだろうか。

 まあ、いいか。我輩はいつも通り席に着いた。

 ドアが開いて、誰かが登校してきた。

 我輩の席にまっすぐ歩いてくる。


「おはよう、写影子」


 その声にやっと気づいて、我輩は顔を上げた。

 鮮烈に我輩の目に鑑の笑顔が焼き付いた。


「お、おはよう……!」


 夜桜鑑だった。やはり、生きていた。

 これでも、我輩は眠れないぐらいに心配していたのだ。

 鑑の平穏な顔を目の当たりにして、やっと我輩は安心できた。

 鑑の無事を喜ぶ我輩を、隣の席で見ているものがいた。


「なあ」

「えっ?」


 振り返ると、隣の席の露世は半眼でじと~っとこちらへ視線を送っていた。


「ろ、露世。な、なんなのだ?」

「朝から何見つめあってんだ? なんかあっただろ、お前ら!」

「えっ!」


 もしかして、露世が嫉妬してくれているのだろうか……!

 我輩が喜んでいると、鑑が余計なことを言った。


「……最近、写影子が僕のことをもっと知りたいっていうから困っちゃって」

「……!?」


 な、なに言ってくれちゃってるのだ!?


「はぁ?」


 露世が半眼でこちらを睨んでいる。


「そんなこと言ってないのだ!」

「なんだか知らないけど、僕のことを滅茶苦茶心配してくれてね~?」

「……!?」


 鑑が煽る煽る。

 我輩は、青筋立てている露世に気付いて、冷汗をかいていた。


「ところで、写影子。今日は、フォトリベ部ってあるの? 最近、二階堂は登校してないみたいだけど?」

「今日はやるのだ! 連辞は来てないけどレイフォトがたくさん撮れたから!」

「そう、安心したよ。じゃあ、後でね」


 振り返ってびっくりした。

 露世が仁王のようなオーラを出していた。


「月野原……? 夜桜とできてるのか……?」

「ッッッ!? 違うのだ!」


 我輩は、それから鑑のことを説明した。

 誤解がとけたのは、それから数分後のことだった。


「ふーん、夜桜が狙われていると出たり、挙句の果てには夜桜が死んだ?」

「う、うん。しかも、感情のないレイフォトがそう言っていたのだ」

「ということは、アイツは偽物ってことなのかァ? ふ~ん?」


 ろ、露世が楽しそうなのだ……。

 露世と鑑は普段から仲が悪いからなぁ。

 我輩は、犬猿の仲の二人を遠巻きに傍観するのだった。



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