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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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040.9_妹と外食に行く

「お兄ちゃん、今日は一緒に外食をしませんか?」


「とんでもないような値段のところには行かないぞ」


 前に阿地に連れて行かれた焼き肉屋では二人で五桁の値段だったので中学生が行くような場所じゃねーだろと強く言っておいた。その時の反応は『そうですね、仕方ないですが口がニンニク臭いとロマンチックじゃないですね』などとどこかズレたことを言っていた。そういう問題では無いと言っておきたい。


「大丈夫ですよ、ファミレスくらいにしておきますから。そのくらいなら私のポケットマネーで奢っても気負わなくて済むでしょう?」


「まあ……そのくらいなら」


 そう言う阿地の誘いに乗って近所のファミレスに行った。悲しいというべきか、都市部から離れているので客はほぼいない、俺たちがメニューを見ている間に席を立ったのでほとんど貸しきりだった。


「私はハンバーグで」


「俺はサイコロステーキで」


 そう言うと妹は少し不満そうに言う。


「お兄ちゃん、そこは堂々とステーキを頼んでいいんですよ? 遠慮しなくていいでしょう?」


「値段差を見ろよ、その値段は妹に奢ってもらうには高いんだよ」


 なにぶん俺も金が無いので阿地の財布事情にそこまで余裕があるとも思えない。配慮したつもりだったんだが、阿地からすれば不満だったようだ。


「妹相手に遠慮なんてしなくていいのに……」


 そんなことを言っていたが、妹が気にしなくても兄が気にするんだよ。その辺兄にも見栄ってものがあると分かってほしい。


 妹はニコニコと俺を見ているが何が楽しいんだろうな? 俺の顔が面白いとかだろうか? それくらいしか可能性は思いつかないな。


 そんなくだらない話をしていると定食が運ばれてきた、一つにはハンバーグ、一つにはサイコロステーキが置いてある。それがテーブルに置かれたので食べようかと言ってフォークを手に取った。その時、目の前の妹が口を開けている。


「なあ……何を期待しているんだ?」


 大体予想はつきつつも質問は一応しておく。


「お兄ちゃんがサイコロステーキを何故頼んだのか考えたんですが、そう言えば一口サイズの方が口に入れやすいですもんね」


 ここで言う口とは阿地の口のことらしい。なんだかなとは思うものの、ここのお代は妹持ちなのでスポンサーに逆らうのもどうかと思いフォークで一つ刺して口に運んだ。すぐに食べてよく噛んでいる。雛鳥みたいだなと思った。


「お兄ちゃんの味は美味しいですねえ」


「その言い方だと人肉みたいに聞こえるからやめてくれ……」


 そのさあ、俺の味ってなんだよ? 美味しいって他の肉を食ったことがあるように聞こえて人間の肉を食べる怖い妹にしか思えないぞ?


「まあまあ、お兄ちゃんにもらうお肉はとっても美味しいって褒めてるんじゃないですか」


「はいはい、物好きだなあ」


 そう言いながら食事を進めたのだが、八割の肉を阿地に与えたので、これは奢ってもらっても無理もないなと思った。肉は美味しかったのだが、俺の記憶に残ったのはライスとスープの味の方だった。

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