40.7_妹と熱いということになっている話
学校から帰ってきたのだが、今日は自転車が故障したので徒歩で往復することになった。面倒だなと思っていたのだが阿地のヤツは登校こそゲンナリした顔を見せていたのだが、放課後になると俺を誘って帰る時にはニッコニコだった。
家に着くと冷房が効いている。リモートで起動させられるエアコンは大発明じゃないだろうか?
そんな冷えた部屋に入ったとき、相変わらず俺にくっついて暑苦しい妹に言う。
「ほら、涼しいから離れてくれ」
不満そうではあるが阿地は俺から手を離して服をパタパタさせた。隙間から白い何かが覗いていて非常にけしからんものだと思う。もっとも妹のものなのでそこまで嬉しいとは言えんが……
「お兄ちゃん、帰りに汗かいちゃったのでシャワー浴びてきますね、一緒に浴びませんか?」
「ナチュラルに中学生に十八禁ワードをぶっ込むんじゃない」
「ちぇ……じゃあ覗かないでくださいよ? いいですか、絶対覗かないでくださいよ?」
「おでんじゃあるまいし、除かないに決まってんだろ」
「クッ……せめて熱湯風呂と言ってくださいよ」
「ネタが古いしお前熱湯風呂に入って汗を流す気か……」
呆れつつそう言うと黙って風呂場に向かっていってくれた。今時あんな分かりやすいフリは早々芸人だってやらないだろうに。
ついでに言うならおでんにせよ熱湯風呂にせよそういうお約束なので実際に熱いかどうかは……まあそう言うことだ。無駄に妹の裸を見る理由は無い。アイツも一応恥じらいのようなものがあるのか風呂上がりに裸でうろつくようなことはないので心配ないだろう。
「お兄ちゃん! 覗かないでっていいましたよね!」
しっかりと服を着た阿地が風呂から出てきた。シャワーを浴びたばかりで石けんの匂いがした。
「だから覗かなかったじゃん」
「私の覗かないでっていうのは気づかれないようにこっそり見に来てって意味に決まってるでしょう! もうちょっとラブコメの文脈でものを考えてください」
ラブコメ脳で何でも考えると社会が破綻しかねないような気がするんだが、お前は本当にそれでいいのかと訊きたい。
「俺はお前のことを信じてるんでな、嘘はつかないし不義理なことはしないと思ってるよ。だから覗かなかった、それじゃ不満か?」
信じているから覗くなといわれたとおり覗かなかった。言葉を額面通りに受け取ったと強弁することにした。一応阿地も自分が信用されているのに悪い気はしないらしく、少し不満そうだったが顔が少しニヤけたまま部屋に帰っていった。俺も妹の扱いに慣れたものだと思う。まあずっと同じ屋根の下で生活してるんだからそのくらいはな。
環境が自分を育てた、そう言えば聞こえはいいが身についたのはブラコンの妹を扱う方法だ。我ながら自慢で気ないななんて思いつつ冷蔵庫から出したスポドリを飲んだ。




