163_妹とコップの使い道
さて、せっかく静かな夜だし、コーヒーの一杯でも飲むか。今日は本当に平和だった、妹様が騒ぎを起こすことも無いし、俺の方にもトラブルが舞い込んでくることはなかった。
キッチンに行き、マグカップを手に取ろうとした時、何か違和感があるような気がした。なんだろう?
少し考えても答えが出ないので、気にしないことにしてマグカップにコーヒーを注いで部屋に戻った。
そうしてコーヒーに口をつけると、熱いものの、味は良かったような気がする。一口飲んでマグカップを机にトンと置くと、隣の部屋からカタッと音がした。
アイツ、まだ起きているのだろうか? いい加減寝ればいいのに、そうは思ったが起きている俺がそれを言うのは説得力が欠片もないな。ま、本人が眠くないなら好きにすればいいか。
細かいことを気にするのを辞め、スマホを起動してソシャゲをプレイしようとしたのだが、昼間に設定した時の音量のままだったため、起動した時にタイトルコールが爆音で流れた。慌てて音量を下げていると、隣の部屋からドテンと音がした。
アイツ、いい加減寝ろよ……と言いたいところではあるが、俺が起きているのだから説得力なんて欠片もない。
ソシャゲをプレイしてから、ログボを貰えるものは一通りもらったのを確認し、今日のログボ回収は終わったためスマホをスリープして本を読むことにした。夜はどうして読書が捗るんだろうな、そんな疑問を持ちつつ、電子書籍を開いた。
ラノベを読みながら、ふと思ったのが自分が買っている作品に、妹がヒロインのものが多いことだ。これじゃ阿地のことを笑えないなと思いつつ、ラブコメを読んでいった。
面白いし、妹は可愛いのでヒロインとして正しいかなと思う。細かいことを気にするとキリが無いが、そんなことを考えるよりヒロインの可愛さに浸っていればいいのだろう。
そう考えてから読みかけだったらノベを最後まで読んだ。スマホをポケットに入れ、再びキッチンに行く。そこで阿地に会った。
部屋から出ていたのにも気が付かなかったんだなと思いながら、俺はコーヒーをもう一杯飲もうとした。そのときに……
「お兄ちゃん、最近ソシャゲで勧誘ボーナスが付くので、プレイしようか悩んでいるソシャゲに招待してくれませんか?」
そう言ってさしだしてきたスマホには俺がさっきまでプレイしていたソシャゲが表示されていた。フレンドコードの入力画面になっているので、俺の方にもボーナスがあるし、問題無いかと思いスマホを取り出してゲームを起動し、フレンドコードを表示させた。
阿地は素早くそれを入力して『ありがとうございます!』と言って部屋に帰っていった。自分の方にもしっかりと勧誘ボーナスとして十連分の石がプレゼント欄に来ていた。
それにしても、よくまあアイツがプレイしようとしていたゲームが俺と被ったものだと感心してから、コーヒーを注いで部屋に帰ろうとした。
その時にふと流しを見ると、未使用に見えるコップが一つ置いてあった。そのコップを見て、壁にコップをあてている阿地の姿が思い浮かんだが、それを考えるのは怖いので、多分水か何か飲んだのだろうと思い込むことにした。
真実がなんであれ、それを知ることが幸せとは限らないからな。どうせハッキリしないことは悪い方に考えないことにしてその晩を過ごしたのだった。




