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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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158_妹と果てしない戦い

 休日昼にSNSを見ながら飲むコーヒーは美味しい。勝手に人が論争をして居るのを特に関わらず、流れてくる戦いを見ているのは楽しいと思う。


 趣味が悪いと言えばそうだが、このくらいの趣味の悪さは許して欲しいと思う。ただ、ソレは無関係だから楽しめるのであって、現在同じリビングで必死にスマホと向き合っているヤツがいると話が別だ。


「クッ……こざかしい屁理屈を……」


 何やらスマホを見ながら悔しそうな顔をしているのは妹の阿地だ。SNSのレスバは見ている分には楽しいが、同じ部屋で家族が当事者として参加していると、とても楽しめたものではない。


 妹の悔しそうな顔を見ていると、そのうちライン越えの発言をしそうで怖くなる。食器棚からマグカップを取り出して、コーヒー粉を入れてお湯を注ぐ。


「ほら、一杯飲んで落ち着け。レスバなんてするもんじゃないぞ」


 そう言って阿地の前に一杯のコーヒーを置いた。レスバなんて焦ってする者じゃないんだよ。しないのが一番だが、やるならせめて勝てる方に乗っかってやるべきだ。特に阿地のように負けると機嫌が悪くなるやつは……


「あ、お兄ちゃんありがとうございます! ちょっと休憩してから頑張りますかね」


「勝てるかどうか分かんないレスバに参加すんなよ……」


「負けるのは嫌じゃないですか、私はどこであろうと誰であろうと負けたくはないんですよね、例えどんな議題だろうと、不利だろうとね」


「レスバのジャンキー過ぎるだろ……レスバなんて勝っても得るものないんだからそこまで熱心にしなくてもさあ……」


 そうは言ってみたが、阿地の方は気にしている様子もない。根っからの勝負師だなあ。妹が戦いにこだわるってのも困ったもんだ。


 阿地はコーヒーを飲みながらスマホを見ている。流石に書き込んではいないが、いったん落ち着いてほしいもんだ。


「ねえお兄ちゃん、公式がメインヒロインを妹だと認定された作品の二次創作で妹以外のルートを書くのは罪だとは思いませんかね?」


「ものすごくどうでも良い話題だな……公式は公式、というか公式がそう決めたから他ヒロインのルートを書くんだろ」


 二次創作のルールまで決めつける必要は微塵も無いだろうに、そんなことを争わなくてもいいじゃないか。


「ところでメインヒロインが妹以外の作品の二次創作で妹とくっつけるのはどう思う?」


「ソレは正義です! 大正義以外の何ものでもありません! そんな尊いものに文句を付けるのは許されないことですよ!」


 わぁ……驚くほどのダブルスタンダードだ。大真面目に行ってるんだからどうしようもないんじゃなかろうか?


「みんな自由にやってるんだからあれこれ指図なんてするもんじゃないぞ。わざわざ必要も無いのに戦うのはやめような」


 俺はそれだけ言ってティーポットにいくつかのハーブを入れてお湯を注いだ。普段はこんな手間なことはしないんだがな……


 しばらく待ってお茶が出たのでそれをマグカップに注ぐ、雰囲気も何もないが、たくさんノン方が良いだろ。


「これ飲んで落ち着け、二次創作の前に目の前にいる兄を大切にしてくれると嬉しいかな」


 クサい台詞だとは思う。でも妹が果てしない戦いを続けるよりマシだ。


「ありがとうございます……ふぅ。そうですね、私にはお兄ちゃんがいるのに他の人にグチグチ言うのも違うかもしれませんね」


 ようやく落ち着いたようなので一安心だ。まあ多分この先もレスバはするだろうが、一旦争いをやめてくれただけでも十分だ。


 そのまま昼をのんびり二人で過ごした。たまには妹にいい顔をしておかないと、兄として面目が立たないなと思った日だった。

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