147_妹のデータ消失
「お兄ちゃん、大変です! スマホが充電できません」
そんなことを良いながら泣き顔でリビングに入ってきた。ご丁寧にスマホと充電器とケーブルまで持ち込みだ。
「充電器貸せ、すぐ分かる」
と言うわけで充電器をコンセントに挿して、ケーブルを自分のスマホに繋ぐ。きちんと給電が始まった。
しかし困った、これは言いづらい話になるな……
「俺の方じゃあ認識してるな、つまり……」
「つまりなんですか?」
「残念ながら、阿地のスマホの充電機能がお亡くなりになっているって事だ」
そう言うと阿地は涙を流す。
「うぅ……せっかくお兄ちゃんの隠し撮りがたっぷり入っているのにどうして私のスマホがこんな事に……」
一々突っ込まないが天罰じゃないかな、そんなことに使うんじゃないと言いたいな。
阿地は充電ケーブルを何度も挿して認識しないと愚痴っている。そりゃ故障くらいするだろうに、どこにそんな信頼を置いているのやら。
「おとなしくバックアップから復旧しろよ、保証入ってんだろ?」
「そうですけど……クラウドに保存してないデータは消えるじゃないですか……もったいないですよ」
「もったいないなんて言われてもなあ、そういうもんだって分かんないかな」
まあガラスをバキバキにしていないんだから、保証で揉めることもないだろ。がんばってくれ。
がんばってくれ、一応オンラインのバックアップはあるんだろうし、俺の隠し撮りは諦めろ。
「うぅ……しょうがないですね、じゃあスマホを買いに行ってきます、出来ればお兄ちゃんの写真一枚撮らせてください! スマホに一枚もないと不安なんですよ」
「はいはい、分かったよ、物好きなやつだな。別にいいけど自分の端末の中だけにしてくれよ? やたらめったら俺の写真をネットの海に流されても困る」
コクリと頷いて阿地は家を出ていった。自転車のチェーンの音が遠くなっていくのを聞きながら、アイツが何を買ってくるんだろうなと思った。
もう夕暮れを過ぎた頃、ようやく新しい機種を買ったのか、楽しそうに阿地が帰ってきた。随分とカメラのレンズがでかいスマホだなと言うのが見て分かった。
「買ってきました! 保証より買った方が安いって言われましたし、お兄ちゃんとの写真は綺麗に取りたいですから!」
そう言うが早いか、早速俺にくっついてカメラを起動し二人の写真を撮影してきた。そのときにインカメラで見ていたのにフロントカメラがデカい必要があるんだろうかと、もっともな疑問は浮かんだのだが、本人が満足そうにしているので気にしないことにした。




