146_妹と新規プレイヤー
今日の昼下がりは呑気に本を読んでいた。幸い特別何も起きていない。妹の阿地は昨晩俺が寝るまで隣の部屋からゲーム音を鳴らしていたので、起きては来ないだろう。
昼なので、適当にその辺から探したゼリードリンクを飲んで済ませた。栄養的にどうだか走らないが、その辺うるさい妹は睡眠中なので文句を言われることはない。
スマホでSNSを見ながら食事をするのは至福の時間だ。俺は阿地のようにレスバをしないので平和そのもの、争いをするのは趣味じゃないんだ。
ふと、その時、一つの広告が目に入った。それは……
「お兄ちゃん! ゲームを一つ始めませんか?」
飛び込んできた阿地の言葉の意味は『新規プレイヤーを勧誘するとゲーム内アイテムが手に入るので招待コードを入力してください』という意味になる。そんなシステムをゲームに組み込まないで欲しいと思うのは俺だけだろうか?
「あー……はいはい、ダウンロードしてるからしばらく待っててな」
言うと思ったのでWiFiに繋いでダウンロードは始めていた。広告を見た時点で阿地がプレイしているゲームだと分かったのでいってくるだろうと思っていた、案の定このように言ってきたわけだ。
デカいゲームなのでしばしダウンロードにも時間がかかる。阿地はその間にゲームの魅力とやらを語ってくれた。なんでも魅力的な妹が出てくるゲームだそうだが知ったことでは無い。
そんなことを考えている間にダウンロードが終了した。どうしてこんな時に高速回線が活躍してくれるんだろうな、もう少し控えめな速度でよかったんだぞ?
とにかくダウンロードは終わったので起動すると招待コードの入力画面が出てきた。
「これを入力してください」
意気揚々と見せてくるコードを入力すると、初回十連のガチャチケットと、成長アイテムがプレゼントボックスル送られたと表示された。
申し訳ないが使う予定がないんだよな。ただ、阿地の方は楽しげな顔をしているのでそれを否定する気は無い。本人が楽しいならそれでいいじゃないか、俺のアカウントにログイン履歴が残るくらい大した問題じゃない。
「いやー、今回ピックアップがすり抜けてたんで助かりますよ、お兄ちゃん! ありがとうございます!」
「別にそんな立派なことはしてないよ」
ただ単にソシャゲに登録しただけだからな、本当にそんな立派な事じゃない。ただ、妹の笑顔がそれで見られるなら安いものだ。
「お兄ちゃんがそう言うならそういうことにしておきましょう。でも、感謝はしてますよ」
「はいはい、分かったからさっさと昼飯でも食べとけ」
そう言って妹をいつもの生活ルーティンに戻したのだが、その晩のこと、隣の部屋から「ヒャッホー! ピックアップ来ましたよー!」と大声で俺の部屋まで聞こえるガチャ報告が響いたのには参ったのだった。




