第二十四話 アルバム(後編)
※本日2話目(後編)です。
スイカが割れそうだがなかなか割れなかった。
「このスイカ頑固だな。」
僕がそう言うと、りおが言った。
「ゆうくんも頑固でしょ。」
僕は、あまりピンとこなかったからなんとなく流した。
「そろそろ割ろうぜ!」
目隠しをつけて二人に聞いた。
「どこだ?位置教えてくれ。」
二人の声がしばらくしなかった。すると、僕の両肩に、誰かの体がぴったりと触れた。
「りお、ひまり、どこにいるんだ?」
やはり聞いても返事はない。けど僕には、今、両肩にいるのは間違いなく、りおとひまりであると思った。
「二人ともありがとう……」
そう言うと二人ともより身を近づけてきたが、
「ここからまっすぐ進めば、スイカがあるんだな。」
そう言うと二人に両肩を叩かれた。
「痛え!何するんだよ。ここにあるんだなあ、行くぞ!」
次の瞬間、振り下ろして目隠しを外すと、そこには、割れて輝くスイカがあった。
「よっしゃゃゃゃ!やったぞ!」
「やっと食べれるー。」
「うちらのおかげだね。」
「いや、割ったのは……」
遮るように、二人はスイカを頬張り始めた。
「おいしいね、ひまり。」
「おいしいよ、りっちゃん。ゆうくんも食べなよ。」
僕はこんなに綺麗な二人を見て、写真を撮りたいと思った。そのとき、アルバムのことを思い出した。あそこに加えたい……この日常を……
「二人とも……記念に写真とらない?」
「いいよ。ひまりも入りなよ。」
僕は、この写真を一生、大事にしようと思った。
「このスイカ、美味いな。さすが僕が割っただけあ……」
「美味しいよね。」
また、りおに遮られたがスイカを三人でおいしく食べた。暑い夏だったけど涼しくてみずみずしい夏を感じた。
二人が帰り、片付けをしていると、アルバムを見つけた。
「やっぱり、机の上にあったか。二人に見られてないだろうか……」
僕は、心配になったが大丈夫だろと思った。そして、今日撮ったあの写真をアルバムに入れた。そこは、小3のとき、春の桜の下で撮った写真の下だった。
「僕も変わったんだな……いや、変われたのかな……?」
僕は、アルバムを見て止まっていた時間が動いた気がした。すると、ピンポンという音がした。
「誰だ?ばぁちゃんか?」
ドアを開けるとそこには、りおがいた。
「忘れ物。」
そう言って、家にあがるとまだ机に置いたままのアルバムを指していった。
「それ……私……見ちゃった……」
僕は、根拠はなかったがすべて終わった気がした。
「見たって……何をだよ。」
もう変わらないのに僕は何を言ってるんだ。
「ゆうくん……一つだけ聞いていい?」
「うん……」
「写真のあの女の子って……妹?」
「……そうだが……。……妹の彩葉だ。」
「良かった。」
りおがボソッと言った、その言葉の意味は、分からなかったがなぜ彩葉なのか気になった。
「彩葉がどうしたんだ?」
「いや……なんでも。でも会ってみたいな……ゆうくんの妹……」
「そうだな……会えるといいな。で、りおは何を取りに来たんだ?」
「家の鍵。忘れてたから。」
そう言って、りおは家の鍵を取り、玄関に戻っていったが去り際、りおが僕に言った。
「ゆうくん、なんかあったらうちらにも相談してね。」
「ありがとう。けど、いけるところは一人で頑張るよ。」
りおが振り返って言った。
「そう?じゃあ頑張ってね。」
僕は、その顔を見て、ドキドキした。りおもひまりもやっぱり可愛いと思った。このアルバムと一緒に、この夏を最後まで走り抜けられる、そんな気がした。




