第二十三話 アルバム(前編)
※本日は前後編で投稿します。
後編は20時に投稿予定です。
父さんは、次の日の朝には帰った。「彩葉が家で待っているから」と言ってた。僕は、彩葉と最後に会ったのは五年前――大人になってるんだろうな……
「ばぁちゃん、最近の彩葉、知ってるか?」
「知らないわよ。あの人が連絡くれるわけないでしょ。」
やっぱり僕は、父さんが少しムカつく。
「確かに父さんは、急に来て、急に物言うからな。」
言ってやった、と思ったそのとき、不意に聞かれた。
「あんたは妹が住むことはいいの?」
「うーん……確かに部屋はあと二つ空いてるし、いいと思うんだが、疲れそうで……」
「でも彩葉ちゃん、家事できるみたいだし、手伝ってもらおうかな?」
「ばぁちゃんまで!?まじかよ!でもな……」
僕は、これから落ち着かない日々になりそうな気がした。
夏休みも半ばになってきたある日、僕の家でひまりとりお、三人で遊ぶことになった。りおから「週末、遊ぼう!」とは、言われたが、まさか、僕の家に来るとは思っていなかった。急いで片付けをした。
「けど、今日はしっかり準備したから、大丈夫だ。」
そう、自分自身を鼓舞していると、ひまりの声が聞こえ、玄関に行くと二人がいた。ひまりが僕を見つけてすぐに言った。
「来たよー」
「もう来たのか?」
「早く遊びたくて、来ちゃった。お邪魔しまーす。」
「お邪魔します。」
「待て待て……」
僕はそう言ったが、二人は構わず、リビングに行ってしまった。
「まったく……」
僕も遅れてリビングに行き、机を見ると、昨日、父さんと話しているときに見ていたアルバムが……
「やべ……」
そんなことを思って片付けられずにいると、りおが聞いてきた。
「今日、おばあさんは?」
「なんか用事があるみたいだ。」
「身体、大丈夫なの?助けてあげなさいよ。」
僕はその言葉が、お母さんみたいだけど、それとは違う温かさを感じた。
「大丈夫だ。僕もちゃんと働いてる。」
りおはそれを聞いて、微笑んでいた。僕はそれを見て、少し頬が温かくなった。
「今日は何するの?」
「ちょっと待てよ、持ってくるぞ。」
ひまりに聞かれて、僕は切り替えて、冷蔵庫に向かい、ひとつ取り出して、二人のもとに向かった。
「スイカ割り!どうだ!?」
二人に自信満々に見せた。
「ほんとに!?」
「おー」
ひまりは予想通り驚いた反応をしたが、りおは少し冷静だった。庭でスイカ割りを始めた。
「よし!やるぞ!まずはりおから。」
「私から!?なら一発で決めるよ!」
「もっと右!」
「左だ!左!」
「おいおい、どこ叩いてるんだ。」
「りっちゃん、何してるの?」
「無理だぁ……ごめん交代、次ひまりね。」
「よし!りっちゃんに勝つぞ!」
「左だ!左!」
「前だよ!前!」
「ここだ!えい。」
「ひまり……それ庭の石だぞ……」
僕がそう言って、ひまりが目隠しを外すと、
「ほんとだ。ごめん交代。」
「ひまりったら全然じゃん。」
「次は、僕だな!決めてやる!」
「よし、ここだ!」
「ゆうくん、当たった!」
「けど、まったく割れてないよ。力弱すぎるよ。」
「まじか……僕だけ当たったはずなのに、馬鹿にされてないか。」
そんな感じで、みんなで回しながらやっていたがスイカ割りは、全然上手くいかなかった。このときは、アルバムのことなど頭の隅にもなかった。――そのはずだったのに。




