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更新が遅くなってすいません!
待ちに待った週の七日目、この日は国での休日と定められていて、七日に一日だけの休みとなっている。故に私はこの日を待っていた。
普段から、公爵令嬢として、他の貴族たちの御機嫌取りやお茶会などへの参加、婚約破棄されたのに王宮に顔を出さないといけないし、領地の視察とかもお父様の代わりにこなしたりすることだって希ではない。
そんな多忙で何かと胃を痛めている私の癒しと言えばこの休みの日である。
仕事無し。執務無し。面倒な対人的接触も無し。
こんなに充実した日が他にあるだろうか? いや、私の知る限りではこれ以上の日は無いだろう。
「お嬢様、お待たせしました」
「時間ぴったりよ」
何時もの仕事用に着用している服とは違って、華やかな白いワンピースを纏ったユリアが屋敷から出てきた。
そう、今日はユリアと少し買い物やら外食やらの息抜きをしようという一日である。
「では、お嬢様。早速行きましょう!」
ユリアが馬車の方へと指を指して、そう張り切った様子でそう言う。
「ええ、今日は楽しむわよ」
「はい!」
画して私達は、馬車に乗り込み、王宮の城下町へと繰り出すのだった。
◆◆◆
そして、無事に目的地に到着した。したのだが……。
「おい、何でお前が此処に居るんだ。この恥さらしが!」
今会いたくない人物ランキング一位に輝いたフランク王子と鉢合わせてしまった。
しかも、ユリアも連れてきてしまったし、彼女はかなりこの男のことを嫌っているから、会わせたく無かったのだけど……。
「貴方こそ! お嬢様に、対して気遣いの無い発言……今回も顔を見るなりそのようなことを、王子だからといい気にならないでください!」
あー、凄い。凄い噛みついてるよユリアさん。
そんなこと滅多に言われたことの無い王子はなんか凄い顔している。よっぽどショックだったのか、心弱いわね。
「うるさい! 大体使用人風情がそのような口を利くなんて、身の程知らずもここまでくると公爵家の品位相応に思えてくるな!」
さて、アホな王子がそのような侮辱をしてきたところで、そろそろ私も会話に参加しようかしらね。
再び怒鳴りそうなユリアの肩を叩いて、後ろに下がらせる。
するとフランク王子はにやにやしながら、こちらを見下したような目で見てくる。
「ふっ、お前がちゃんと教育していないからそんなお粗末な使用人になるんじゃないのか?」
その言葉に余程自分の優位性を感じたのか、更に偉そうな雰囲気になる。
実際偉いのだが、その残念な頭はなんとかした方が良いと私は思う。
「……そうね、私のことを庇ってくれて……何より立場のお分かりになられていないフランク王子に、残念な使用人と認識されるのも仕方の無いことだと思っておりますわ」
ほら、直ぐに頭に血が昇る。
顔が真っ赤になるから、そういう感情の起伏が丸分かりなのよね。
「俺を……俺を侮辱するのか?」
「ふっ、ご冗談を。私はただ、貴方に対しての正当な認識のもとに発言を致しただけ、あれだけのことをしておいて、貴方は次期国王になれると思っているのかしら?」
そう、フランク王子が国王になるために、我が公爵家の影響力も必要であったはず。ならば、あそこで婚約を破棄した時点で、彼が持っていたもの……公爵家の娘である私を手放したことになり。それでは、公爵家の影響力も手中に収まらない。
現状で言えば、エルド第二王子の方が国王になる確率が高い。
まあ、結局そのような単純なことを理解していない彼にとって、私の言っていることなどは、単なる戯言でしかないのだろう。
自分の都合の良いように物事を捉え、自分が全てにおいて正義だと過信して、ひそひそと囁かれている噂に気が付いているはずなのに、それでも認めようとしない。
自身の非を認められない人間に未来は無いわ。
「……ちっ、いい気になるなよ!」
じっと冷たい目で見ていたのが効いたのか、吐き捨てるようにして、フランク王子はその場を速足で消えていった。
それによって、ユリアから放たれていた黒っぽいオーラも消えて、私もいろんな意味でスッキリした。
「ユリア、ありがとね」
「──!? い、いえ……お嬢様を擁護するのは使用人として当然ですよ!」
少し照れたか? 顔が赤い。
そんなユリアは、特に可愛いと感じられる。
やっぱり男なんて生き物よりも、こういう可愛い女の子と一緒に過ごしたりする方が百倍いや千倍楽しいわね!
「ユリア、ちょっとイレギュラーなこともあったけど、気を取り直して行きましょ!」
「はい!」
今日は折角の休みなのだから、楽しまなくちゃよね!