ビョウインに行こう6
その時、突然食堂内にクラッシック音楽が鳴り響いた。
これは、たしか『美しく青きドナウ』。有名なワルツの曲だ。
「なんだなんだ?」
キョトンとするオレたちをよそに、幽霊たちは男女ペアになって踊りはじめる。
クインティーがなぜだか得意そうに胸を張った。ボヨンと揺れる。
「青嵐中央総合病院七不思議その4『食堂の大ダンスパーティー』デス。幽霊たちに交じってダンスをしたカップルは、死後の世界でもずっと一緒にいられるという言い伝えがあるデス」
「九郎ちゃん、ボクと踊ろ! そんで、死んでからもずっと一緒にいよう!」
「バーカ、透は妖怪なんだから死なないだろ」
「えー、ぶうぶう。じゃあ、クインティーちゃんと踊るの?」
見ると、クインティーがそわそわした表情でこっちをチラ見している。
金髪碧眼しかも巨乳。
申し分ない美少女だけど、オレが踊りたいのは……
「悪いけど、今のラッキーなら出会えると思うんだ。とびきりの美女にね」
「えーっ!」「ぶぅぶぅ!」
不満げな二人に詰め寄られて思わずよろめく。たまたま通りかかった包帯グルグル巻きのミイラ男のペアにぶつかってスッ転んだ。さらにぬりかべに当たって、オレの身体は大きくバウンドする。
まるでボーリングの玉のようにホールの中を転がり、何かにぶつかってようやく止まった。
「いてて、ラッキーじゃなかったのかよ!」
見上げると、辺りは真っ暗になっていた。いつの間にライトが消えたのか?
とりあえず、スマホを取り出して明かりをつける。そこにあったのは二つの白い柱……かと思いきや、細く引き締まった足だった。その上の方には黒いレースの三角形が。
(これはっ!)
どうやら、誰かのスカートの中に頭を突っ込んでしまったらしい。
(なんてベタなラッキースケベなんだ!)
「す、すみません!」
跳ねるように起き上がる。
「あら、もっとゆっくりしていてもよかったのにぃ」
聞きなれた艶っぽい声。
間違えるはずがない。スカートの主は、白神一子先輩だ。
「白神先輩!」
飛び上がってスカートから顔を出すと、そこにはあの美しい美少女人形の顔があった。
先輩はけだるげな表情で吐息を吐く。
「だからぁ、あたしは水天宮玲子だってば。ちゃんとした教師なんだからね。玲子先生って呼びなさい」
「レイコセンセイ……って、それどういうプレイなんですか?」
「フフフ、いろんなお遊びを教えてあげたいけど、今はとりあえずダンスパーティーの真っ最中だから」
そう言いながら、玲子先生は手を差し伸べてきた。
「シャルウィーダンス?」




