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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十五章 サクリファイス

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第585話 ドワーフ族の儀式

「むぅん!」

「――ぐおッ」



 ドワーフ族の戦い、それは“腕相撲”だった。

 なにげに俺の予想は良い線いっていたな。

 しかし、これのどこが儀式なのか。たぶん、祭りのことをドワーフ族では“儀式”と呼ぶのかもしれないが。


「むさくるしいわね」


 ジトッとした目で腕相撲を見つめるメサイア。

 確かに、筋肉ムキムキの男ドワーフしかいないしな。



「兄様、これに優勝するんですか……」


 まるで危篤(きとく)の兄を見つめるような眼だった。


「まて、フォル。なんで死ぬ前提のようなトーンで言うんだよ。死亡フラグになるだろうがっ」


「ですが、あの筋肉を見て下さいまし。……ふ、ふつくしい」


 いかん。フォルは筋肉に目がないんだった。

 特に俺の腹筋が好物らしいが、ドワーフの上腕二頭筋も守備範囲内だったか。



「フォルちゃんは相変わらず筋肉が好きなんだね」

「ええ、ベルさん。わたくし、兄様以外に浮気するつもりはないのですが……あの素晴らしい筋肉は目が離せません」



 ヘンタイ聖女は置いておき、俺は腕相撲大会に参加することにした。

 どうやら、誰でも直ぐに参加できるらしい。


 ただし、連勝しているドワーフを相手にしなきゃならんようだ。そういうルールね。


 俺は受付へ向かった。

 牛乳瓶の底をくり抜いたような眼鏡をかけたドワーフがいた。今時こんな眼鏡のヤツがいるんだな。


「よろしく頼む」

「おや……人間族とは珍しいですね」

「ああ、ゼタやクシナに頼まれてな」

「そうでしたか。では、名前を記入してください」


 名簿に名前を書いた。

 出番はこのあと直ぐらしい。早いな。


「サトルよ、この腕相撲に必ず勝つのじゃ」

「うおっ、ベイリンの婆さん。いたのかよ」


 いきなりニョキっと生えてきやがった。


「この戦いに勝たねば占星術師の情報は絶望的だぞ」

「分かってるさ。応援していてくれ」



 男の俺がやるしかないだろう、こういうのは。

 だからこそ俺自ら志願したわけだからな。

 正直、ムキムキのドワーフと腕相撲とかしたくない。下手すりゃ骨折するだろうし。


 だけど、世界の未来が掛かっているんだ。仕方あるまい。



「受付番号17番、サトル。テーブルへ向かってください」



 俺の名が呼ばれた。もうやるのか。

 いや、やらねばならない。そして勝たねばならない。


 テーブルへ向かうと、そこには連勝しまくっている無敗のドワーフがいた。他のドワーフよりも体が大きく、明らかに屈強。

 腕も山のようにムキムキだ。


 ……目の前にすると凄い迫力だ。あとヒゲもヘビのように長い。



「おぉん? 人間とは珍しいなァ」

「よろしく」



 適当に挨拶して、その直後に会場は熱気に包まれた。



「おいおい、なんだのチビは!」「弱そうな人間だな」「実際、雑魚だろ」「人間がドワーフ族に勝てると思うなよ」「連勝者はドワーフ族最強の傭兵ダンケルクさんだ」「あの門番ガードナーの親父だぜ」「もう一か月以上、無敗だってよ」「腕がぶっ壊れた連中が多数だって聞いた」「おい、マジかよ。やべえじゃん」



 な、なるほど……周囲の話を聞くと、かなりヤバそうだな。

 名前も分かった。

 ダンケルクというのか。



「がんばってください、サトルさんっ!」



 リースの天使の応援が聞こえ、俺はやる気が100%アップした。


 ありがてぇ、声援だ!


 あの癒しマシマシの可愛い声が聞けて俺の(ハート)に火がついた。負けるわけにはいかねえ!!



 テーブルに(ひじ)をつけ、手を組む。

 ゴツゴツのデカい手が俺を包む。

 ……さすがドワーフ族の手。

 鋼鉄の手袋にでも掴まれてる気分だ。



「それでは参ります……! 勝負――開始ィ!!」



 その瞬間、俺の右腕にとてつもない力が加わった。



「…………ぐ、あぁッ!?」


「フフフ。人間よ、このこれでもまだ50%だぞ」



 バカな!!


 これで50%のパワーだと!?


 物凄い筋力だぞ。


 俺はギリギリ、たぶん数ミリで耐えている状況だ。



「ちょっと、サトル! 負けちゃうじゃない!」



 近くで見守っているメサイアが叫ぶ。

 大丈夫だ。まだ負けたわけじゃない。

 ここから巻き返してやる。



「うおおおおおおおおおおっ!!」


「……なッ! 人間、貴様……」



 ぐぐぐっと力を加え、確実に押し戻す。最初の地点に戻れそうだった。



 だが。



「80%!!」


「…………ぐああああああああ!」



 な、な、なんちゅう力だ!

 マジで腕が千切れそうなほどの腕力だ。これは確かにバケモノだ。


 この男、ダンケルクを(あなど)っていた!


 俺の筋力パラメーターなら勝てると思っていたが、ここまでとは。


 だが、俺もまだまだ本気ではないっ。

 もう一度、戻していく。



「なにッ!?」


「まだ終わらねえッッ!」


「人間、貴様の細腕のどこにこんな力が! ありえぬ!」



 同時に周囲のドワーフもざわついていた。



「おいおい、あのダンケルクさんが押されているぞ!」「あの人間、やるなあ!」「すげえ勝負だ」「こんな熱い戦い見たことがねえ!!」「どっちもすげえぞ!」「あの人間の男、何者なんだ……」「ダンケルクさんが負けるなんてあるのか?」「そんなわけないだろ、たぶん」



 更に、メサイアたちも俺を応援していた。



「絶対に勝ちなさいよ、サトル!」

「ああ。勝つさ!」



 更に力を加えていく。



「……認めよう、人間。貴様はこのダンケルクに匹敵する力を持つと」

「それ以上かもだぜ」


「ふん。ありえぬ。我がパワーは無限なのだ。見せてやろう……100%の力を!!」



 その瞬間、空気が一気に変わった。


 気づけば俺の腕が折られそうなほどの力が加えられ、敗北寸前に至っていた。……な、なんだよこれ!




「あああああああああああああああっ!?」


「敗北を認めろ、人間。このままだと右腕が折れるぞ」


「……負ける、ものか」


「本気か? では折ってやろう。貴様の右腕も……心も!」



 ダンケルク……確かに、凄まじいパワーだ。

 本当に凄い傭兵なんだろう。

 だけどな、俺は今まで数々の修羅場を潜り抜けてきたんだ。

 ここで負けるほどヤワではない。


 コイツが100%なら、俺はまだ100%中の100%を発揮していない。



「人間を舐めるなあああ!!」


「……ば、馬鹿な!!」



 一気に押し返し、俺は決着をつけた。ダンケルクの右手の甲はテーブルについたんだ。



「うおおおおおおおおお!」「すげえ!!」「あの人間、やっちまいやがった!」「ダンケルクさんが負けた……」「どうなってんだ!?」「どこにあんな力があるんだよ」「ありえねー。これは夢か?」「信じられん」「細腕なのに、なんで……」



 ……ふぅ、危なかった。


 実際はメサイアのオルクスや、フォルのグロリアスブレッシングの支援などあったんだけどな。

 リースも応援という魔法で補助してくれていた。

 珍しくベルも俺の名前を叫んでいた。


 そうだ、俺はみんなの力を借りて勝てたんだ。


 これでクシナの望みは叶えられたぞ。

いつも応援ありがとうございます。

桜井正宗です。


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