第138話 神達は振り返る(前編)
もう1月も終わりに差し掛かっている中、皆様あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願い致します。
まぁなんでこんなに遅れたかと言うと、体調を崩していましてね。
コロナじゃないよ。
それに加え、この話で第4章を終わらせようとしたけど、長くなっちゃって前後に分けることにしたんよ。
それも遅くなった理由ですね、申し訳ないです…
何はともあれ、不定期ながらも完結はさせるので、首を長くしながらお待ち頂けると幸いです。
今年も我が拙作をよろしくおねがいします!
〈条約締結のその後〉
「お疲れ、二人共」
魔法神がアリアをナデナデしている中、俺はイーゼルとライムに労いの言葉を掛けた。
イーゼルは調印された条約書を見せながら、安堵の表情を見せた。
「うん、上手くいってよかったよ。とりあえずこれで漸く一段落かな」
「そうだな。結局国交樹立はこの3カ国だけで良かったのか?」
ルーヴァー大陸には他にも様々な国が存在している。
細かい小国群を合わせても20カ国以上はあるのだ。
「うん、まぁ隣接してないからね。グランツ王国は他から見れば小国だし、この3カ国だけでも十分だよ。建国以来初の国交樹立だからね」
「そういやグランツ王国って100年も鎖国してたのか」
「神聖アーク帝国側としても、鎖国状態でよく100年も自給自足でき、尚且つ敵対できるほどの戦力を維持していたのか不思議でした」
「寧ろ100年が限界だっただろうね。実際前国王は戦争しようとしていたし」
こんな話をしていると、撫で終わったのか、魔法神とアリアが話し掛けてきた。
アリアは此度のことを真面目に謝罪すると、お互い握手をしてエグゼディア神皇国への訪問は幕を閉じた。
こうしてグランツ王国は隣接する3カ国、神聖アーク帝国、ザンザルヴェート王国、エグゼディア神皇国との国交を樹立した。
「では、私は報告のため一度本国に戻りますね」
「分かりました、同行していただき感謝します」
「いえいえ、アルマ様の命ですから」
俺達は転移でグランツ王国へ戻り、再び転移でライムを神聖アーク帝国へと送り届けた。
「じゃあまたな、ライム」
「はい、ゼロ様。またお会いできるのを楽しみにしていますね」
まぁ直ぐそっちに向かうんだがな。
俺はライムを見送ると、三度転移でグランツ王国へと戻った。
〈内閣総辞職〉
グランツ王国へと戻って数日後、俺は一通りの引き継ぎを済ますと、グランセル=グランド城の謁見の間へと足を運んだ。
そう、俺は首相職を辞するのだ。
俺は国王陛下の前で辞表を提出し、内閣総辞職を宣言する。
イーゼルもこれを了承し、グランディオ伯爵内閣は総辞職した。
「じゃあついでに、第7代国王イーゼル=グランツの名において、汝、ゼロ=グランディオを侯爵位に陞する」
ついでとばかりに侯爵に陞爵されてしまった。
ちなみに俺の後継はヴェストファリ公爵が首相を務めるようだ。
〈ヴェストファリ公爵内閣発足〉
俺が首相を辞し、その後継にはイーゼルの婚約者の父、コーダ=ヴェストファリ公爵が首相になった。
基本的に内閣は国王が任命し、組閣する。
故に内閣が発足するときは、任命される卿相が一堂に会し、国王の御前でその役職を賜るのだ。
首席宰相:コーダ=ヴェストファリ公爵
内務卿:ゼスター=レーゼンバーグ公爵
外務卿:アダム=ルーデル侯爵
法務卿:ルクセリオン=フェルアーマ公爵
財務卿:フランク=ヴォルクス公爵
厚生労働卿:マクシミリアン=ヴィルヘルノ伯爵
国家公安卿:ジェイ=エズモンド男爵
農商務卿:グスタフ=ベルナリン伯爵
国土交通卿:ヴァイマル=メーメル公爵
郵政逓信卿:ローレル=ラングフォード侯爵
軍務卿:エディン=ソーンダイク公爵
文部卿:トマス=レナス伯爵
宮内卿:コーダ=ヴェストファリ公爵(兼任)
神祇卿:廃止
「以上の12名を以て、ヴェストファリ公爵内閣の発足を承認する」
イーゼルがそう言うと、卿相に任命された貴族達は皆、「我、国の為、国王陛下の為、その能力を奮わん」という決まり文句で口を揃える。
今回の組閣では、五英傑の公爵家は勿論のこと、農商務卿にはカーシャの父、グスタフ=ベルナリン伯爵が初入閣した。
また、神祇卿は廃止され、代々神祇卿(枢機卿)を担ってきたルベスシューター公爵家は取り潰しとなった。
ちなみに国家公安卿は最後まで人選に苦労したらしい。
結果、警察庁長官だったジェイ=エズモンド男爵が国家公安卿を兼ねる形として初入閣した。
〈神とデートがしたい!〉
時はゼロ達がザンザルヴェート王国から帰国した後、城下町の大通りの一角にある喫茶店の中、そこにルナとカーシャはお茶をしながら相対していた。
「ルナ、言いたいことは分かりますわね?」
「うんカーシャ、勿論分かってるよ・・・」
「「ゼロくん(様)に構ってもらえない(ですわ)!!」」
二人は顔を見合せてそう叫んだ。
喫茶店は元々喧騒としていたため、二人が叫んでも誰も気には止めてはいない。
二人は紅茶を口に入れて一呼吸すると、再び会話を始めた。
「いや、分かるよ?ゼロくんが休んでいる時もたくさん観光してたから、仕方ないと言えば仕方ないけど、最近は恋人らしいことできてないからなぁ」
「ルナは良いじゃないですか、恋人という関係があって。私なんか自分で決めたことですけれど、婚約するまで(恋人らしいことをするのを)我慢しているのですから」
「う〜、カーシャは凄いよ。私はもう我慢できない〜!」
「ルナ、私に提案があります。ゼロ様とデートしましょう!」
カーシャの提案にルナは目を見開き、飲んでいた紅茶を吹き出しそうになる。
「で、で、で、デート!?」
「何をそんなに動揺しているのです?恋人なんだからデートするのは当たり前でしょう?それに建国祭の前夜祭に二人でデートしていたでしょう?」
「うぅ、あの時は意識しないようにしていたんだよぅ。やっぱりデートって言われると緊張しちゃって」
「安心しなさいルナ、三人でデートするのです!」
「三人でデート・・・それならアリかも」
「よし!こうしてはいられませんわ!早速デートの準備をしましょう!今!」
「えぇ!?今から!?」
「善は急げですよ、ルナ!まずは当日の服を決めましょう!」
カーシャは紅茶を飲み干すと、バッと椅子から立ち上がり、困惑しているルナを引き連れて、喫茶店を後にした。
ちなみにその服決めでなかなか決まらず、ゼロ達がエグゼディア神皇国に向かっている間も、デートの準備に勤しんでいたのだった。
今思えば、ゼロって11歳で首相やってたのよね。
国王も14歳だし、他国からみたら異常だよね。
それが成り立つグランツ王国、流石ですわ。
また、ゼロ達がエグゼディアに行く時にルナとカーシャが同行しなかった理由はデートの準備だったんですね。
ちなみにデート回はそもそも私の経験がないので書けなさそうです…