第111話 神は能力を検証する
能力って複雑だよね。
自分で考えてよく分かんなくなってきた。
時は経ち新年、ルーヴァー暦2001年となり、ゲールノーア学園も3学期を迎えた。
別に俺は行く必要は無いのでどうでも良いのだが、先日思っていた能力について、それを検証する為に俺は一度学園へ赴き、俺が創った''統一魔法クラブ''の部室に行った。
創った本人と部長が不在にも関わらず、部員はなお増えているらしい。
それもその筈、俺がいないいつの間にかに、部員全員が消失魔法であった無属性魔法、念話を使えるようになっていたのだ。
まぁイーゼルかルナあたりが教えたんだろう。
仕組みは単純だからな。
話は逸れたが、能力の検証において部員全員に協力して貰った。
具体的には能力のバリエーション、原初の人類は火炎、大海、暴風、万雷、大地の5つしか能力が無かったのに、現代になって何故ここまで様々無かったのに能力が生まれたのか、だ。
まぁ大方はその5つの能力を持つ人類と上級神族以下の神が交配した為に能力の性質が変わったものだとは思うが。
さて、検証を続けると驚くべき事実が分かった。
誰のどの能力も、起源を辿ると完璧に5大能力のどれかに通ずるという事だ。
例えば、カーシャの花卉は大元は大地の能力由来で、ブラントの修繕に至っては、万雷と大地の2つ由来があった。
このように原初の5大能力が神族との交配や違う能力同士の者との交配によって微妙に能力の性質が変わっていき、2000年を経て混ざった能力と混ざった能力がさらに交わり、このような能力の形態が誕生したのだろう。
にしても混ざるだけでここまで能力の種類が広がるとは思わなかったな。
まぁ色の三原色を光の三原色も混ぜる組合せ次第で様々な色を生み出せるからな。
能力もそういった感じなのだろう。
だが例外もある。
能力が混ざらなかったパターンだ。
五英傑は原初の能力をそのまま受け継いでいるし、うちの担任も統率神の能力をそのまま受け継いでいる。
これに関しては能力の強さではなく体質らしい。
体質は遺伝するので能力も遺伝したって事か。
その逆も然り、能力が受け継げないパターンもある。
段々と能力が薄まっていき、最終的に能力が無くなる。
これが平民だな。
能力のあるなしで身分が変わるのも当然だろう。
そして一番の例外はルナの能力、星光だ。
この能力に至っては5大能力の由来が無い上に、ルナの家は神族の子孫という訳でも無いらしい。
はっきり言って謎だ。
ルナの先祖は星光の能力を持っておらず、ルナの祖父の代から星光の能力が発現したらしい。
ルナの祖父の両親の能力からは星光の能力が生まれる可能性は殆ど無いに等しい。
だが、発現した。
これが分からない。
ルナの能力を除けば、能力の形態は完全に成立するんだけどな。
まぁ俺が2000年後に転生する理由の1つがコレだからな。
色んな能力が見れて満足はしてるが、ルナの能力だけは底が見えない。
本人は気付いてないし、特に弊害にもなるような事は無さそうだし、取り敢えず放置かな。
そのうちルナの能力について調べよう。
次に俺は校舎を出て、学園内にあるダンジョン、不死の遺跡へと入った。
その理由は俺の能力の検証だ。
俺の能力、絶対は滅多に使った事が無い。
俺の能力を知っているイーゼルは、俺が能力を使っていると思っているが、あれは能力ではなく純粋な俺の力だ。
能力を使うには俺が神の力を解放しないといけない。
更に能力が強すぎて、使うとまず王都が滅ぶ。
という訳で不死の遺跡へとやって来たのだ。
「ツマリ、私ガ実験台ニナレトイウ事デスネ」
「大正解だ、不死神。お互い死なないから問題ないだろ」
俺は不死の遺跡の最下層、不死神リ=ヴァイヴが身を潜めている場所にいる。
不死神に俺の能力の実験相手になって貰おうと思ったのだ。
つか、俺が絶対神であると知っている奴がイーゼルとヴェレアス以外に不死神しかいないっていう。
まぁ不死神なら適任だろ。
「デ、デスガ、ココデハ直グニ崩壊シテシマイマスヨ」
「安心しろ、『疑似仮想世界』」
俺と不死神は光に包まれ、不死の遺跡から姿を消した。
ルナの能力の正体とは?
そして犠牲になる不死神(笑)