第110話 神はCOする
前回能力の検証するとか言っていたけど、ゼロが十帝である事を伝えるのを忘れていたのでその話です。
因みにゼロも忘れてます。
「あ、そういや言い忘れてたけど、俺十帝になったから」
「「へ?」」
俺の唐突なカミングアウトにルナとカーシャはキョトンとしている。
「まぁ、だろうね。知ってた」
イーゼルは俺が十帝である事を知っていたのか?
驚く素振りもせずさも当然かのような反応を見せる。
「なんだイーゼル、知ってたのか?」
「いや、知らない。十帝が発足したとは聞いていたけど。まぁ寧ろゼロが選ばれない方が可笑しいでしょ」
あっ、知らんかったのね。
一国の王にも十帝が誰なのかは知らされていないようだな。
「え?え?え?ゼロくんが十帝?ホント?ホント?」
「ゼ、ゼロ様、あの十帝ですか?あの十帝ですか!?」
ルナとカーシャは興奮して、俺に顔を近付けながら聞いてくる。
つか、一体どんな風に聞かされていたんだよ、十帝の事。
単に冒険者上位10名の事だろ?
俺が十帝であると肯定すると、ルナとカーシャは更に興奮して騒ぎ始めた。
「ねぇねぇ!カーシャ!ゼロくん、十帝だよ!十帝!凄いよ!」
「お、落ち着きましょう、ルナ・・・ゼ、ゼロ様、ゼロ様が十帝ですわ!もうこんなの落ち着いてられませんわ!」
俺が十帝である事を知ったルナとカーシャはいつになくはしゃいでいた。
どういう訳かイーゼルに尋ねてみた。
「あー、うん。この2人が異常なだけだから。十帝の話は多分ゼロが聞いていた話と同じだろうし。まぁこの2人はゼロに対して(神である事を知らないのに)敬虔だからねぇ。ま、異常だから」
「「誰が異常よ(ですって)!?」」
イーゼルは不覚にもルナとカーシャに叩かれる事になった。
異常だからとか2回も言うから。
「あ、それと名前が長くなった」
俺は自分の冒険者カードを皆に見せる。
十帝は全員が金剛ランクである。
逆に言えば金剛ランクは10人だけという事である。
十帝の活動を公はする者や秘匿する者もいるので、冒険者カードは白金ランクと似たような、というよりパット見で判別つかないようになっている。
だが、俺が冒険者カードに魔力を流すと、カードはダイアモンドのような輝きを放ち、そして俺の名前、ゼロ=グランディオという文字が変化し、ゼロ=グランディオ=アブソリューティアとなる。
「ゼロ=グランディオ=アブソリューティア、か。もしかして十帝は皆、能力由来の名前が後ろにつくのかな?」
「恐らくはそうだろうな。どうだ?少しは良い情報となったか?」
「いや、どうせゼロは十帝の中で一番強いでしょ?なら他の人はどうでもいいや」
「あ、そう。まぁ確かに俺は冠位序列第一位だが」
イーゼルも結局俺の事しか眼中にないという事だな。
まぁ正しい判断だ。
だが甘さが出ているのも否めない。
例えば十帝が全員集結した時、国家に何を齎すのか。
間違いなく良い意味でも悪い意味でも脅威となるだろう。
そも十帝全員が協力出来るのかと言われれば疑問になるかな?
知らんけど。
つか、ルナとカーシャは驚き過ぎて固まっているんだが。
逆にイーゼルとヴェレアスは当然だという反応を見せているが、それはそれでどうかと思うぞ。
「という訳で俺が''十帝冠位序列第一位〈絶対〉ゼロ=グランディオ=アブソリューティア''だ。一応秘匿するつもりだから、その体で宜しく」
イーゼルとヴェレアスは頷き了承する。
・・・あれ?
ルナとカーシャの反応が無いんだが。
「・・・おーい、ルナ、カーシャ?」
「・・・は!?うんうんワカッタ!」
「・・・え?あ!?ハイ、ワカリマシタ、ゼロ様」
どうやら驚き過ぎて放心していたようだ。
2人は分かったと言っているが本当に分かっているのかは微妙だな。
取り敢えず2人が目をキラキラさせながら見つめてくるので2人の頭を撫でておいた。
俺は2人を撫でながら、イーゼルに確認を取った。
「取り敢えず報告はこんなもんかな。何かあるか?イーゼル」
「うーん、そうだね。じゃあ1つだけ。ゼロが十帝である事を隠すように、恒久の王権内では僕とゼロの役職は伏せておきたいかな。冒険者は冒険者らしく自由に活動したいからね」
「国王のお前がそれを言うか。まぁこれに関しては俺も同意だな。じゃなきゃ移動も出来ん」
「4月には隣国訪問もあるからね。じゃあそういう事で。あ、あと・・・ルナとカーシャ蕩けてるよ、大丈夫?」
「え゛?」
ふと2人の顔を見ると、撫でられているだけなのに蕩けた表情をしており、顔も紅潮している。
この2人に迂闊に撫でる行為は駄目だな。
自重するか。
しかし、2人がナデナデを要求するようになったのは言うまでもない。
ルナとカーシャのゼロへの好意を敬虔という言葉で表現するイーゼル。
間違ってはない。