第108話 神は十帝になる
うちの県にも緊急事態宣言が発出されてしまった。
ゼロがいたら光魔法で浄化してくれるのになぁ。
数日後、俺はギルド本部長に呼ばれ、冒険者ギルドの本部長室へと赴いていた。
つか、いつの間にか出張から帰って来ていたんだな。
「んで、俺を呼び出すって事は、何かあんのか?」
「ああ、だがその前に。エルカから話は聞いた。国王陛下も参加するパーティーを作ったんだって?」
「実際に入るのはまだだけどな。それで、それに関する話か?」
「関係あるような、無いような話だ。十帝の話は聞いているな?」
「あー、そういや周りの奴が騒いでいたな」
「これを君に」
ザンダは俺に1枚の封筒を手渡す。
俺がその中を開くと、見慣れないカードと手紙が入っていた。
俺は先ず手紙を開き、読んでみた。
≪初めまして、ゼロ=グランディオ君。
私は冒険者ギルド総司令部総裁、レヴン=ディソウナウドだ。
私は自ら世界各国を周り、あらゆる冒険者を調査してきた。
尤も私は公には動けないので、同行はしたが調査は部下に任せていたのだが。
そして君が選ばれた。
君はこれから金剛ランク冒険者、十帝の一員となる。
先ず、十帝というのは・・・
〈中略〉
・・・という事で、十帝の存在意義について理解して貰えたと思う。
十帝はその地位からか、騙る者が現れていても可笑しくない。
よって自らが''十帝''だと名乗る時は、「十帝冠位序列第○位、能力、名前」この順で名乗れ。
これは十帝と私のみが知る合言葉みたいな物だ。
では最後に、君は冠位序列第1位の十帝として、私から''アブソリューティア''の名を授ける。
名前の後ろにでも付けると良い。
追伸:同封してある金剛ランクの冒険者カードにはその名前が刻まれている。
それではまた、十帝冠位序列第1位〈絶対〉ゼロ=グランディオ=アブソリューティア君≫
手紙を読み終えた俺は冒険者カードを確認すると、確かに名前がゼロ=グランディオ=アブソリューティアとなっている。
・・・名前が長くなってしまった。
にしても十帝か。
大方、何かに対抗する為に冒険者の上位10人を集めたみたいな感じだったな。
それにこの冒険者カード、見た目は白金ランクと殆ど変わらない。
目立たないようにしたって事だな。
「手紙は読み終わったかな?・・・いや読み終わりましたかな?ゼロ様は金剛ランク冒険者、十帝として自分の立場を公表出来ますが、どうなさいますか?」
・・・何か急に丁寧語で話されると違和感があるな。
まぁ冒険者ギルドは十帝に便宜を図るよう指示されているみたいだし、仕方ないと言えば仕方ないが。
んで、十帝である事を公表するか隠すかは個人の自由だったな。
それなら俺は後者を取ろう。
公表するよりも隠す方が色々と有用だしな。
「基本的には公表しない方針で頼む。あぁそれと、俺が作ったパーティーはそのまま白金のままにしてくれ。流石に俺以外のメンバーが銅や鉄なのに、パーティーのランクが金剛なのは可笑しいからな」
「かしこまりました、ゼロ様。ではパーティーはそのように致します」
「・・・あと、その敬語を止めてくれ」
「かしこまりました、ありがとうございます。・・・ふぅー」
ザンダを大きな溜息を吐くと、再び俺に感謝の意を伝え、仕事に戻っていった。
よっぽど敬語使うの苦手なんだな。
まぁ俺も国王相手に敬語なんて使ってないけど。
「さて、取り敢えずイーゼルに報告に行くか」
俺は冒険者ギルドを後にし、王城へと向かった。
~???side~
「冒険者ギルドが十帝を発足、だって。僕らへの牽制かな?ねぇ、磨羯」
「ハッ、そんなもの我々にとって牽制にもならんわ。宝瓶、そんなに気になるのか?」
「だってさぁ~、絶対邪魔してくるでしょ?君もそう思うよね、双魚」
「我々は粛々と目的を遂行するのみ、余計な考えは不要だ」
「ちぇっ、つれないなぁ」
とある場所にて磨羯、宝瓶、双魚と呼ばれている者達が密談している。
彼らは冒険者ギルド総司令部によって"蜊∽コ梧弌蠎ァ縺ョ蝎ィ"と呼ばれている者達。
そして、魔族が存在を仄めかしていた魔族の長、魔王の側近でもある・・・
中略の部分は前回総裁が熱弁した内容が入ります。