第105話 神は称賛される
ここから話が一気に進みます。
剣魔祭の騒動から数日経ち、俺は王城へと呼ばれた。
イーゼル曰く、今回の功績を称えたいと言っていたので、恐らくそれだろう。
謁見の間に入って来た俺は国王の前で膝を付き、頭を低れる。
「面を上げよ」
俺は下げていた頭を上げ、国王と向かい合う。
「第7代国王イーゼル=グランツの名において、汝、ゼロ=グランディオを伯爵位に陞する」
今まで俺は男爵だったので子爵かと思いきやまさかの2階級陞爵で驚きつつも、俺は例の決まり文句を言う。
「我、国の為、国王陛下の為、その能力を奮わん」
俺の陞爵を終えると、宮内卿(宰相)であるヴェストファリ公爵から白い章飾を受け取り、胸に付ける。
「此度の活躍、非常に見事であった。私も王城から拝見したが、まるで神の裁きであるようだった」
ヴェストファリ公爵は俺の事を称賛する。
と言うか普通に外を歩いていても、他の冒険者やその光景を見ていた者、ルナとカーシャから滅茶苦茶褒めちぎられていたので、その言葉は聞き飽きていた。
なので俺は、
「そうか、それは良かった」
と答えた。
因みに俺は一応首相職である大閣なので、たとえ公爵でも俺の方が立場は上なのだ。
「国王陛下がお呼びになっている。執務の間へ向かうと良い。また時間のある時に話そう」
そう言うと、ヴェストファリ公爵は笑顔で一礼して去っていった。
俺も一礼すると、執務の間へと向かった。
・・・執務の間って言うんだな。
いつもイーゼルの部屋って言ってたから一瞬何処か分からんかったわ。
執務の間に向かう途中、他の貴族や役人から会釈をされる。
今までも多少はあったが、俺が伯爵になった事でそれがより一層増したようだ。
前はちゃんと会釈を返したが、最近はされる回数が増えて、面倒くさくなってスルーしている。
相手も頭下げているし、やらんくても気付かんやろ。
そうこうしている内にイーゼルの部屋・・・執務の間に着いた。
俺はそのままの部屋の扉を開け、中に入る。
「うわっ、びっくりした!ゼロ、入る時はノックぐらいしてよ」
そういやしてないわ。
と言うか今まで転移で入って来たりしてたから普通に忘れてたわ。
「すまん、忘れてた。それで何か用か?」
イーゼルは俺の忘れてた発言に呆れた顔をするが、直ぐに話を始めた。
「ああ、内政もある程度片が付き、外交も段々と体制が調って来たから、ゼロの言った通り、4月くらいに周辺国へ訪問しようかなと思ってさ」
確かに俺がイーゼルに提案した時に、外交の本腰は半年後と言った。
その事をちゃんと覚えていたんだな。
「それは別に良いが、今は12月の終わりだし、あと3ヶ月はあるぞ。今から何かする事あったか?」
「一応外務事務次官に周辺国との会談の日程を組んで貰っているんだけど、その会談にゼロも付いてきて欲しいんだよね」
「それは何だ?大閣としてか?それとも護衛としてか?」
「当然両方だよ。護衛に関する話だけど、ゼロってパーティー組んでないよね?そこで僕、ゼロ、ヴェレアス、ルナ、カーシャのパーティーを作ろうと思うんだけどどうかな?」
「護衛パーティーみたいなもんなか?4月になりゃルナとカーシャは冒険者になるだろうし問題ないが、何故そこにイーゼルが入っているんだ?」
護衛パーティーなのに護衛対象がパーティーに入るという謎。
「え?そりゃあ僕も冒険者になるからだけど」
「は?何で」
「いや、僕国王だけど一応ゲールノーア学園の生徒だよ?貴族の2年生は皆冒険者になるんだから僕もならないと」
そういやそうだったな。
ゲールノーア学園の2年生では、貴族は冒険者、商家は商人見習い?みたいなものになるんだったな。
ルナは例外だが。
じゃあ護衛パーティーとかじゃないのか。
じゃあパーティーのリーダーはイーゼルに擦り付けよ。
「あ、パーティーのリーダーは勿論ゼロだからね!僕に擦り付けようとしても駄目だからね」
何故バレたし。
「だが、イーゼルが居るのにイーゼルがリーダーじゃないとパーティーの体裁が保たないんじゃないか?」
「あれ?聞いてなかったっけ?パーティーのランクはリーダーに準ずるんだよ?国王のパーティーが鉄や銅だったら、それこそパーティーの体裁は保たないんじゃない?」
ああ成程、確かにパーティーのランクはリーダーに準ずるって言ってたな。
んー、じゃあ仕方ないか。
「ま、それなら異論はないな」
「じゃあそういう事で。あ、パーティー名考えておいてね」
・・・(゜д゜)?
一応今は12月の終わりという設定ですが、クリスマスも無ければ正月もバレンタインもありません。
そもそも世界が違うんでイエスとか聖バレンタインとかいないので当然ですね。
本当は単純に書くのを躊躇っただけですすいません。
もしかしたらバレンタインとか作るかも・・・?
あーでもそうしたら毎年やらなきゃだし、あー!(優柔不断&杓子定規)