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神魔変転 ~転生した絶対神はその力で全てを超える~  作者: Absolute ≪ZERO≫/夢神零
第3章 五崩神と十帝編
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第97話 神はサイコロを振らない(Only A God Can Understand God)

燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや

休憩が終わると会場を移して準決勝が始まった。


準決勝第2試合目は俺とセイルである。


俺が第1試合を眺めていると、セイルが声を掛けてきた。



「兄貴!能力なしの平民である俺が、ついにここまで来ましたよ!」



確かに準決勝をする4人の内、平民はセイルだけだ。


まぁ俺も元平民ではあるが、能力なしでここまで勝ち上がるのは素直に称賛に値する。



「ああ、良く頑張ったな」


「兄貴の教えがあったお蔭っす!冒険者活動でも今は(ゴールド)を目指しています!」


「そうか、準決勝お互い精一杯戦おう」


「負けるつもりはないっすよ!」



セイルは自分の実力に自信がついたのか、俺に勝つと宣言した。


悪いが、そう簡単に負けるつもりはない。


戦いにおいて重要になるのは情報だ。


情報が無ければ、たとえどれだけ強い者だろうと負ける事もある。


この情報戦においては圧倒的に俺の方が有利となる。


だが結局は技術差でのカバーは可能なので、1対1では余り意味を為さないが。



「セイル=バラック、ゼロ=グランディオ、両者前へ!」



いつの間にか準決勝第1試合は終わり、決勝進出はガルシアだった。


まぁ、だろうな。


さて、前にガルシアと会った時にまた闘おうと言われていたし、セイルを下してガルシアに再戦の機会を与えてやろう。



「それでは準決勝第2試合、始め!」


「ウォォォォォ!!」



試合開始直後、雄叫びを上げながらセイルが間合いを詰める。



「せりゃあ!」



セイルは俺に向かって斬り掛かるが、余りにも単純な為、俺は余裕で避ける。


俺は右手で持っていたラグナロクを左手に持ち変え、セイルに斬り掛かる。


セイルはそれに気付き、寸での所で剣で防ぐ。



「あ、兄貴、両利きだったんすかぁ!?初耳ですよ!?」


「そりゃあ、言ってないからな」



セイルは驚きながらも体勢を立て直し、俺から距離を取ろうとする。


だが、俺は撤退出来ないように連続して斬り掛かる。


剣撃によって刃と刃がぶつかり合う音が絶え間なく鳴り響く。


セイルはよろけながらも必死に俺の剣撃を耐えている。


ん?何でコイツ俺の攻撃を防げているんだ?



「とりゃああああああ!!」



セイルは俺の剣を押し返し、俺の首元に剣を当てる。



「や、やった!」



セイルは俺の首を取った事で勝ちを確信していた。


セイルがここまでやれるとは思わなかった。


まさか首を取られるとはな。


だが、セイルは知らない。


首への寸止めは、この試合において悪手でしかない事を。



「なあセイル、この試合のルール覚えてるか?簡単に言えば相手を殺さず無力化、だ。このルールにおいて寸止めした所で試合は続行出来るんだ」


「え!?しまった!」



セイルが気付いた時には既に遅かった。


俺の剣がセイルの腹を貫いていたのだ。


セイルが倒れるのと同時に回復魔法が掛かり、準決勝は俺の勝利となった。


セイルは悔しそうな顔をしながら、立ち上がった。



「やっぱり兄貴には敵わないかぁ」


「ま、最後の最後にアレに気付いた事は上出来だな」



ルールの穴というべきだろうか。


文言では対人戦闘を模したと言っていたが、実際人を殺せば反則負けとなる。


これがトラップだ。


セイルは今までの試合、恐らく同じようなやり方で勝っていただろう。


対人戦闘を模したと言われているので、人は首を取られたら死ぬという常識が働く。


故にその時点で相手は降伏宣言をしただろう。


だが、殺人が禁止されているので、例え首を取ろうが絶対にそこから先へは進まない。


まだ生きている自分が、相手の寸止めを見て、殺されないのを分かっていて降伏する奴なんていない。


簡単に言えば、セイルは対人戦闘を重視し、首を取ろうとする動作をした。


一方俺は試合としてのルールを重視し、首への寸止め=試合続行可能と取った。


能力や法律と一緒で、解釈の差は全てにおいて大きな差を(もたら)すのだ。



「もっと早く気付けていれば、もう少し上手く動けていたんすかねぇ」



セイルは自分の動きを反省しながらそう言う。


セイルにとってこれは大きな成長に繋がるだろう。


セイルの潜在能力なら、更に強くなる事は自明の理だ。


だが。



「気付いた所で俺には勝てないさ」



俺はそう言い残すと、ステージを降りていった。

燕雀鴻鵠の良い英訳を考えるのに時間使った上に、セイルの性格(キャラクター)の見直しにクソほど時間掛かってしまった。

因みにタイトルの英文の直訳は「神の事は神にしか分からない」です。

燕雀鴻鵠の英訳の一つであるheroのやつをGodに置き換えただけです。

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