ウェスト開拓ギルドですって!
本日2話目の投稿!
中央広場を中心にして広がっている草原。
その西の方向に少し歩けば、ただ今拡大中の新拠点ウェスト(安直!)に着くわけだ。
多くの人に踏み均されたであろう、殊にぐしゃっとつぶれている草っぱらの道を二人で歩く。
「ここでいいんだよね」
「たぶん」
ウェスト到着。かかった時間はだいたい30分くらいだろうか。
奥の方にはたくさんの木々が乱立していて、その少し手前の開けた場所にテントが密集している。
思っていたより沢山の人が生活しているようで、結構な活況である。
「こんにちわー」
とりあえずこの場で一番目立っている、木で造られた一階建ての平べったい小屋に入る。
小屋の中では数人が木製のテーブルについて、紙に向かって何かを書いていた。
そのうちの一人で、壁際に置かれていたホワイトボードの真横に座っている、茶髪をオールバックにしている男性がこちらに手を振った。
「おお、ようきたな!どした?」
その男は人懐っこい笑顔を浮かべて関西弁で話しかけてきた。
「中央広場の方だとやることがなくなったので。こっちの新しい拠点でなにか仕事でも探そうかなぁ、と思いまして」
「あーそうなん?まあウェストなら仕事には困んないと思うけど。そうや、俺のことはビックツリー卿と呼んでくれ」
いかにもチャラそうな男性は何故かどや顔でそう言った。
ビックツリー卿? あっ、大木か。
「大木さんですか、俺は渡辺遥斗。ふつうにハルトって呼んでください。で、隣にいるのが妹の柚希です」
「ユズって呼んでください。よろしくお願いします」
関西弁をしゃべる大木に、妹が頭を下げて軽く会釈をした。
そこで、大木の隣の椅子に座って作業をしていた男性が席を立ちながら会話に混ざってきた。
「渾身のネタがスルーされてやんの。ドンマイ大木」
メガネをかけたイケメンな男は大木の肩に手をポン、とおいて、からかうような口調でそう言った。
「なんかナチュラルにスルーされてツッコミすらできへんかった」
「お兄、せめて何らかの反応をしてあげようよ……」
「お、おう?」
どういう反応が正解だったんですかね?
「そちらの方は?」
「俺は広川だ。ワイドリバー卿でもいいぞ」
その男性は綺麗に整えられた白髪をさらっと撫で付けながら言った。
遠慮しておきますね。
この広川さんは、四角い銀縁メガネをかけた知的そうな男性である。
イケメンな上にメガネが似合うクールな男。かっこよすぎてキレそう。
「それで、俺たちにはどんな仕事がありますかね?」
「まあちょっと待てや。その前にな選んで欲しいことがあんねん」
「選んで欲しいこと、ですか?」
こてっ、と首をかしげる柚希。
かわいい。
「せや。まあ簡単なことやけどな。俺と広川、あとこの場で作業してる人はみんな『ウェスト開拓ギルド』っていうのに所属してるんやけど、端的に言えば君たちも入らないか?っていうお誘いや」
「ギルド……ですか?」
「実質ギルドみたいなもんやな」
「これに関しては俺が説明しよう」
広川が右手でメガネをくいっ、と持ち上げた。
「この『箱庭』に召喚された1000人のうち今だと約100人がこのウェストで暮らしているんだけど、この拠点は中央とは違って森林がすぐそばにあるから出現する魔物が比較的強いんだよね。
だから、効率的に作業をするために『遠征部門』・『警戒部門』・『伐採部門』・『建築部門』、そしてそれらを統括する『開拓本部』にはっきりと分けて分担してるって訳。」
「そうなんですか」
「ああ。『伐採部門』の樹を切る人の安全を守るために『警戒部門』の人が見回りをしてるし、各部門の人員配置を適正に行うために『開拓本部』があるってこと。だから、もし君が仕事してをポイントを稼ぎたいのなら、身の安全を保証するためにも『ウェスト開拓ギルド』に加入して欲しいってこと」
もちろん仕事分のポイントも即日で払うからね。
そう付け足して広川は話を締めた。
「どうする?」
自分だけじゃ決められないと思い柚希の方を見る。
「お兄に任せる」
「そっか」
個人的に全然アリだと思うし、閉塞気味の現状から抜け出すためにも是非加入するべきだと思う。
「ちなみにギルドは今何を目標にしてるんですか?」
「とりあえずは、ウェスト周辺の探索とこの拠点の生活面での充実を目指してるかな。あとは遠征組からの情報待ちだね。順調にマップは埋まってるみたいだけど」
「そーいやハルト、この世界って魔法があったり剣を使ったりどこかのゲームみたいやろ?ここだけの話な、森のボスモンスターらしき魔物の存在を発見したっちゅう報告があったんや。そいつを倒せばかなりの開拓ポイントを稼げるんちゃうかっていう訳だ」
「そんなモンスターがいるんですか?!」
「せや。秘密にしといてや」
「分かりました」
すごい事を聞いてしまった。
まだ掲示板にも載ってないことだ。
「じゃあお二人さんにはギルドに入ってもらうっちゅうことで。ほな部門はどうしよっか」
ここで大木さんは、右に立つ広川さんに話を振った。
「まあそれはおいおい考えればいいんじゃない?とりあえずテントこっち持ってくれば?」
「そうですね」
テントは中央の街に置きっぱなしだ。
「じゃあいったん戻るか」
「うん」
ビックツリー卿はエセ関西弁を話すっていう設定だから……(震え)




