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エピローグ~幸せな明日へ~

藍が卒業してから1ヶ月、私は今日も教壇に立っていた

「いやぁ明日からGWだね、休みが長いと嬉しいよね、私も結構楽しみにしていてね」

気が付けば1ヶ月経とうとしてるのだ。本当に一瞬だった。藍が家に来てからというもの毎日がより一層輝いた。

家に帰れば会える、そして抱きしめられる。そんな幸せな日々が続いていた。


「それじゃぁまた休み明けに会おうね、学級委員号令っ」


私は帰りの会を終えると、教室を出て、職員室へと向かった。

職員室で携帯をチェックすると、藍からメールが来ていた。


「何が食べたい?」


「ハンバーグ」

私は突発的にそう返した。藍は意外にも料理がうまかった。

だからなんでも食べれた。バスケ一筋かと思いきや違ったようだ。

背が高いし、しっかりと女の子してたみたいだ。

私は一息つくと音楽室へ行った。生徒たちは既に楽器を吹き始めていた。


私に気づくとみんな近寄ってきた。

「さぁ今日も頑張ろう、そして明日から楽しい連休にしよう、それだけかな」


私は部活が終わるまでみんなの練習風景を見ていた。先生になって運命の出会いがあって、幸せだなと物思いにふけていた。

そんな感じで風に揺られて、生徒たちの音楽を楽しんでいた。

やがて時間が過ぎると、部活も終わった。生徒たちは皆帰っていった。私は最後に鍵を閉めるとそのまま帰宅した。


「ただいまぁ」


「姫、おかえり、ご飯にする?お風呂にする?それともゲームでもする?」


「じゃあ藍の手作りいただこうかな」


「ふふ、うん、テーブルの上に置いといたから、あ、荷物持ってくね」


「ありがとう、藍」

そう言って一瞬だけ、柔らかな部分に触れた。私はカバンを藍に預けると食卓についた。


「いただきまーす」

うん、やっぱりうまい、帰ってきてすぐご飯食べられるなんて贅沢だなと感じていた。

しかも、作る手間とか、片付けの手間がないので自由な時間は増えていた。

カバンを置いて戻ってきた藍が、椅子に座ってる私を、後ろから抱きしめた。


「今日も美味しいよ、ありがとね」

私は食べ終わって、藍と映画を見ることにした。2人でただ寄り添う、映画の内容よりも2人で寄り添う時間が好きだ。

明日から休みと思うと、今日は夜ふかしでも大丈夫そうだ。私はいつの間にか眠りに落ちていた。



次に目を覚ましたときは、自分の部屋だった。目の前には藍が目をつぶって、私を覗き込んでいた。


「姫、朝だよ、んっん~」


私の目覚めは快適だった。そのまま藍の顔に手を伸ばし、私たちは激しく唇を重ねた。

毎朝起きるときは藍のキスで目覚める。そして朝食も作ってもらう。

そんな夢のような1日の始まり、何度も何度も唇を重ね合った。

藍は疲れたのか、ふぅと一息ついて顔を話した。



「ねぇ、藍もっともっと」


私は藍に甘えるようになっていた。休日の時は1日中甘えていたいと思ったりもする。


「えぇ、朝ご飯冷めちゃうよ?」



「いいの、少しだけ、ね?」


「朝ごはん食べてからにしようよ、ね」

藍はそう言うと、私の背中に腕を回した。もう片方は膝の方に回した。藍はそのまま私を抱き上げた。


「やっぱり姫軽いね、ほら朝ごはん冷めちゃうから」

藍にお姫様抱っこをされて私は食卓へと運ばれた。

この下から眺める、藍の顔も綺麗で、私は首の後ろに回している手に力を込めた。

こうすれば耳元に口が届く、そのまま、唇で耳先を挟んだ。


「ひゃぁあ、な、何すんのさ」


「ご褒美だよ、気持ちいいでしょ?」


「私がそこ弱いの知ってるくせに、姫はお姫様抱っこされててよ、もう少しなんだから」


そういって、私は藍に下ろされて、食卓へと付いた。

朝ご飯らしく、卵焼き、ご飯に味噌汁、ごく普通朝ごはんだった。

でも私にとっては藍の愛がたくさん詰まっている、何より普段こんなまともなご飯を食べていなかったから嬉しく感じる。

もう、買わなくても食べられると思うと嬉しい。


「わーい、いつもの朝ごはんだ」


「うん、やっぱりこれでしょ、ところで食べ終わったらどうする?」


「どうしようか、少しまったりしようか」


「え、もう11時だよ?」


藍は待ちくたびれたように言う。部活やってたこともあって早起きはかなり得意なようだ。

しかし11時とか少し寝すぎた感じがする。やることがあるわけではないが、藍と過ごせる時間が少し減ったのが悲しい。


「ねぇ、お買い物行こう」

私が素直に言うと藍は笑った。しょうがないなと言いながら笑ってくれた。


「うん、そうだね」


食べ終わった。私たちは一緒に出かけることになった。一緒にお出かけをして、帰りにスーパーでお買い物をする、それは私たちの最近の変化の1つだった。

私たちのよくいくスーパーが、デートスポットの1つになっていた。スーパーへ行くと藍がかごを持ち、私がいろいろ入れていく。


「姫は今日は何を食べたい?」

最近聞かれる質問で一番多い質問だった。藍はなんでも作ってくれる、まるで新婚のような雰囲気を醸し出している。


「藍がつくるものならなんでもいいかな、おいしいし、私専属のコックさんだもんね」


そう言うと姫は少し顔が赤くなってた。藍は私の肩に抱きついてきた。

耳元でありがとう、これからも頑張るねと、呟いてくれた。

私は肩に回された手の上にそっと手をのせた。そして見つめ合った。

前みたいな恥ずかしさは消え、今あるのは温かさだけだ。


「これからも姫のために頑張るね」


「うん」


そう言って、そっと小指を繋いで見つめ合った。

笑いあった私たちは、いつまでも幸せな日々を歩んでいく。

この先も、長い長い時間を2人で過ごしていける、どこまでもいつまでも

ずっと遠くまで、この小指は途切れることがないのだから。



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