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最終話、受験と卒業

今日は空が晴れている、私は今、藍の隣にいた。修学旅行が終わって、藍の勉強を見る日々が続いてた。

藍は進学したいという理由で勉強を始めた。しかし平均点より低い割には取り掛かるのが遅い気もした。

スポーツは得意だけど、勉強はからっきし、そのくせに私と同じ職場になりたい。

そんな思いから藍は大学を目指すようになった。もし、大学に受かれば数年後、同じ職場につき、社内恋愛が可能となる。

そんな未来は想像しただけで、楽しそうで、これから末永く仲良くやっていけるような気がした。

先生として最後までそばにいてあげたい、近くで手を握って励ましたい。そんな思いがあったからずっと一緒にいた。


「藍、お待たせ」


「うん、行こうか」


「自信はあるの?」

今日は受験の合格発表の日だ。出来れば合格してほしい。

正直高望みなところを受けたから不安だ。その分勉強は頑張ったが、当日どの程度の力を発揮できたかはわからない。



「大丈夫、姫とたくさん勉強したし」


「勉強するより、甘えてるほうが多かった気もするけどね」


「姫といると不思議なんだもん、おねえちゃんって感じだよね」


おねえちゃんは悪くない響きだが、藍が高校を卒業したら私たちの関係は変わるだろう。

勉強ばかりで、忙しくて会えない日々が続く、そう思うと少し寂しいような気もした。


「ねぇ姫、約束覚えてる?」


「当り前じゃない」


「私ね楽しみにしてるんだ。受かったら姫の家でお祝いできるの、姫の部屋で一緒に寝るの楽しみだなぁ」


「まぁ受かったらの話だけどね」


そう言って私は笑った。この子ならきっと大丈夫だ。忙しくても会いに来てくれる。

少しだけ、藍の小さい胸に頭を当てた。2人で歩いてるうちに大学まで来た。

ここの掲示板に番号が発表されてるわけだが、すごい人込みだ。


私たちは何とか書き込みながら、掲示板の前まで移動した。

ふと自分もこんな時期あったな、ただ私の場合、着いてきてくれる人がいなかった。

その点、藍は少し羨ましい。1人じゃない、受かればすぐ横に共有できる人がいる。

それはものすごく幸せなことなんだな。私は探すふりをした。こういうのは自分で見つけたほうが嬉しいから。

早く隣から喜ぶ声が聞こえてこないかなと楽しみにしていた。



「ねぇ姫、どうしよう」


「ん?」

なんかテンション低く声をかけてきた。


「ないんだけど」

その次の言葉があまりにも衝撃的だった。私は深呼吸した。


「もう一度探してみよう」

さらに10分後、受験番号を持った藍が完全に崩れ落ちた。


「やっぱりないよ、どうしよう」

私は藍の腕を引き、人込みから抜け出した。落ちたのだ。

さんざん一緒に頑張ってきたのにその夢は届かなかった。

頑張るだけではダメだったみたいだ。自分との闘いには勝てても、他の子に負けてしまった。

私は藍が泣き止むまで待った。こんな時は自由に泣かせたかった。悔しい時は泣いてもいいんだ。



「で、これからどうするの?」

私は藍に対して問いかけた。泣き終われば再び現実に立ち向かうしかない。


「うぅ、わかんない、私ここ以外受験してなくて、行くとこないよ、どうしよう」


「とりあえず、頑張ったご褒美に甘いものでも食べに行こう」

私は藍の手を握り、カフェまでの道を歩いた。

その間どうすればいいか、ずっと考えていた。浪人してくれれば、一緒の時間は増えるけど、あまり望ましくない。

だからといって就職を今から探すとしても、見つかる保証なんてない。保証なんてなくても進まなきゃいけない。

カフェについて、甘いものを頼んで、2人で味わった。いつぞやの食べさせあいが今日はなかった。

いつもより口数が少ない藍がどこまでショックを受けているのか伝わってきた。

この状況を打破できるのは、私だけだ。だから私は藍に選択肢を与えた。

「今の藍なら、もう一年頑張って、来年受験するか、それとも今から就職を探すかじゃないかな」


「ねぇ姫、もしさ、就職するとして、これからも会えるよね?」


「心配するとこはそこかい、まぁ近いんだからその気になれば会えるよ」


「そっか、じゃあもう1年勉強しようかな」


「大丈夫、できるの?」

私は藍の目を見つめていった。きっとこの子は1人じゃそんなに長くは続かない


「うぅ、ちょっと自信ないかも」


「だったらさ、就職しなよ?いいとこがあるんだ」

藍はスプーンを加えたまま、首を傾げた。


「え?あるの?」


「私の家に来て、朝と夜、ごはんを作る、そして帰ってきた私を癒す仕事だけど、どうかな?」


「姫の家に?住み込みで?」

藍はそれを聞くとものすごく興奮していた。好きな人と一緒にいる方法は単純なことだった。

そう、雇えばいいのだ。私専属の可愛い家政婦さんとして、私だけの藍でいてくれればそれでいい。


そんな話に決まり、藍の受験の話は終わった。

さらに日が過ぎて、卒業式当日になった。

式は終わり、私はみんなの前でしゃべっていた。


「みんな卒業式お疲れ様、1年間楽しかったぞ。みんないろんな方向に進んでくけど、またどこかで会えたらなと思います。

 今、隣にいる人を大事にしてください、新しい出会いも大事ですが、長い付き合いのほうが大事です。また、私に会いたくなったらここにきてもいいんだぞ

 それじゃあ、あんまり長く話すのも好きじゃないのでこの辺で、学級委員、号令かけて」


そしてみんなで礼をして1年締めくくった。私はこの教室に最後まで残っていた。

気が付けば藍はクラスにいなかった。私はいろんな子たちとクラスで話をしていた。

携帯を見ると屋上で待ってるの一言メールが来ていた。今回は見ることができた。

クラスの子たちがいなくなるまで待って、私はクラスを後にした。随分と時間が過ぎた。

校舎に残ってる人も少なくなってきた。そういえば屋上だっけね。


ドアを開けると、校庭を眺めていた。私はそっと近づき声をかけた

「そこから何か見えるの?」


「うん、みんな手を繋いで帰ったり告白してる人もいる、ってか遅かったじゃん、来てくれないかと思った」


「そんなわけないでしょ、こんな大事な日に」


「そうだね、大事な日だもんね」

そういうと藍はこちらに向き直った。今日は桜が奇麗だなぁ

私は藍の両手を握った。そして私の胸にあてた。


「ちょうど1年くらい前、初めて藍にもまれたっけね、一歩間違えればセクハラだぞ」


「だってなんかすごかったんだもん、今でもすごいけどさ」

藍はそういうと一呼吸置いた。小さな声でよし、そういうと意を決したように言葉を紡いだ。



「姫、私と付き合っ………んんっ」


「うん、いいよ」

私は藍が言い終わる前に藍の唇をふさいだ。断るわけない。最後まで言わせてよとか藍は言ったがこうしたかった。

明日からはずっと一緒だ。仕事から帰ればご飯を作って待っててくれる、癒しの藍がいる。

朝はキスで起こしてくれる藍がいる。


「これからずっと私の部屋で一緒にいてね」


そういうと藍は笑顔で頷いた。

「さぁ今日はこの前行けなかったとこにドライブしようか」


「うん、どこまでもついていくね、私だけの先生に」


そして、私の隣の席へ乗せて、未来へと走り出した。


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