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第7話、修学旅行-後編

次の日の朝、私は目を覚ますと、携帯を見た。メッセージの受信はなかった。

とりあえず着替えようと思って、服を手に取った。やっぱり藍に選んでもらった服しか着てないのでつい思い出してしまう

私はご飯を食べるために食堂へと向かった。そこで藍を見かけた。

いつもみたいに何か話しかけたかった。でも何も思い浮かばなくて、私はただ近づいた。



「おはよう」


「うん」


「よく眠れた?」


「うん」


あまりにそっけない会話と呼ぶには薄い反応だった。

当たり障りのない話題、いつもならふざけあうのに今日はそんな気分じゃないみたいな雰囲気を出している

少し怒ってるようなここで脇腹でもつついてやれば笑ってくれるのかな。

私にはやる勇気がなかった。頑張れよ私、ただ一言上手い言葉を書ければいいだけなんだ。


「あ、夢野先生おはよう」

別の生徒に声をかけられた。藍はこちらを少しだけ冷たい目で見てその場を後にした


「おはよう」


「知ってる?藍って朝弱いんだよ、だから少し不機嫌っぽく見えるんだよね」

生徒が補足してくれた。それを聞くと少しだけ嬉しかった。

よかった、私のせいじゃないんだね。後で


「へぇそうなんだ、私なんかやったかなって思っちゃったよ」


「そんなわけないでしょ、バスケの試合の日の朝もね、不機嫌でねぇ」


生徒から面白い話を聞けた。そっか単純に朝弱いだけか

なら午後の自由行動の時に話しかければいいかな、そう思った。

私はご飯を食べて戻ってくると、藍にメールを出した。


「自由行動、一緒に行こう」


やっぱり私はつい一言メールになってしまう、温かい言葉をかけるにはまだ、遠いようだ。

朝からまた、バスに乗って移動する、なんで旅行となるとバスが多くなるのか。

運転は好きだからこそ、自分で運転したいなと思ってしまう。話すこともなければただ座ってるだけ、実に退屈だ。

やっぱりバスの中で私は目を閉じた。目的地に着くまで少しだけ目を閉じた。


「さて、じゃ2日目も張り切っていこう」

私は適当に挨拶を済ませるとクラスで行動した。私は藍の姿を探した。

今日の午後のことを話したい。メール読んだのかな、返事が返ってきてないからわからない。

午前中はそんなことばかりを考えて行動してた。またお寺を見て回るだけ、景色は違うけど、歴史に興味のない私にはつまらなかった。

そんなつまらない時間でも過ぎてゆく、女子高生と楽しんでるだけで時間は過ぎる。

あっという間に、自由行動の時間になった。私は早速藍の姿を探した。


「藍、行こう」


「姫ってさ昨日のこと気にしてる?」


「あ、うん、昨日はごめんね、気づかなくて」


「別に誘ってくれたからいいよ、今日はどこに連れてってくれるの」


そういうと藍は笑って、私の手を握ってきた。なんだかみんなの視線を感じる。

勇気あるな、こんなとこで大胆に繋ぐなんて私には出来なかった。

私たちは周りにばれてはいけない関係だから、こっそりとやらなければいけない

私は藍の耳元で、小声で囁くように言った。


「みんな見てる気がするんだけど、勇気あるよね藍って」

そういうと耳まで真っ赤にし手を離した。寂しさはやはりあるがこれでよかったはずだ。

藍の機嫌が直ったことも確認できたので、2人で歩き出した。


私は藍にいろいろ食べ物を買ってあげた。喜んで食べてる姿を見るのは楽しかった。


「ねぇあれ、着物を着れるんだって、やってみようよ」


「いや、いいよ」

藍は少しだけ照れたように目をそらした。これはどっちだろうやってみたいのかな


「えー私より藍のほうが似合うと思ったのに」


「でも、あういうのって結構お金かかるじゃん」

あ、そっちか藍が気にしてるのってならここは大人の力を発揮するとこだよね

私は藍に全部私が出すよ、そう言ったが藍はさすがにそれは悪いからといってなかなか受け入れてくれない。


「私はね、藍との思い出が欲しいの、今の思い出は今しか作れないじゃない」


「そうだね、でも…」


「だからいこっ、思い出作り」


そう言って私が手を差し出すと握ってきた。心は素直なんだな。

さっそくお店へと入り、やってもらうことにした。

お互いに好きなやつを選び、別の部屋に通された。来ていた服は一枚一枚脱がされて下着姿になる。

そして袖を通して着せられていく。さすがみんな手際がいい、あっという間に着物を着ていた。

これで歩けるのはすごいと思う


「姫、どう似合ってる?」


着替え終わった藍は華やかな花がデザインされた着物だった。

少し腕をあげるだけで細い腕が見える、思わずその腕を掴みたくなってしまうくらい可愛い。


「ちょっといいかな」

藍は私に近寄って胸元を少しめくった。


「意外にめくりやすいよね、そして姫だと見ごたえもあるよね」


「なっ何するのよ」

私はあわてて距離を取った。じゃれあってるこの感覚が少し久しぶりな気がした。

私たちは手を繋ぐと思いのままに食べ歩いた。


「なんだか食べてばっかりだね」


「いいじゃない、お寺見るより有意義でしょ?」


「まぁね、姫と一緒なら何でも楽しめる気がするな」



そう言って笑うとまた何かを見つけて駆け出してゆく。

2人だけの新たな世界がここには広がっていた。

いつもと違う環境、いつもと違う場所、いつも通りの2人、その中で作っていく思い出。

ありとあらゆる境遇を経て、私の歴史にまた、1ページが付け加えられた。


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