〔 学校 〕帰宅道
八逗君と横に並んで学校の門を出る。
八逗君は短い髪を掻きながら私の左隣を歩く。
越前かなみ
「は? あぁっ?! 壱可と私が付き合ってるぅ? ……なんで?」
八逗
「あ、いや……ほら、仲良いだろ? 席も隣だしさ。イッチーってさ、自分から他人と関わろうとしないだろ? でもさ、越前にだけは用事が無くても自分から関わってるだろ? 見てる側からするとさ、付き合ってるんじゃないかって思うんだ」
越前かなみ
「そうなの? 壱可は誰にでもあんな感じじゃないの? 壱可って煩いでしょ」
八逗
「えっ? いや、イッチーは物静な方だよ。何処見てるのか,何を考えてるのか分からないミステリアスな雰囲気が女子に人気があるみたいなんだけど……。あれ、知らない?」
越前かなみ
「えーっ、そうなの〜?! 全然知らなかったよ! 初耳だ〜! 超意外だね」
八逗
「……越前ってさ、もしかしてイッチーの事、意識して無いの?」
越前かなみ
「意識? してるよ〜、煩い奴って。今日なんて私を先生に売ったりしたし! 信頼するに値しない奴だよね〜」
八逗
「……いや、あれは売っては無いだろ? 授業が遅れるのは誰でも困るしさ。でもさ、イッチーが今日みたいに授業中に発言するなんて珍しいんだよな」
越前かなみ
「そうなの? ああ、かもね。壱可って窓際だから、しょっちゅう空見てるし」
八逗
「へぇ、そうなんだ?」
越前かなみ
「あれは絶対に宇宙人と交信してるよ! 壱可って電波ってるし、オカルティな奴だからね!」
八逗
「そ、そうなんだ? どっちかって言うと、越前の方が電波系っぽいと思うけどな……」
越前かなみ
「えーっ、私は至って平常人だよ。ちょっぴり可愛い女子高生〜☆」
八逗
「……まあ、可愛いのは認めるよ。頭は残念だけどな……」
越前かなみ
「私の何処が残念なの! 八逗君って女子に対しての口の叩き方が失礼だよね」
八逗
「おまっ、越前!! 仮にもクラスメイトで、女子にモテる俺に対してそう言う──」
越前かなみ
「あっ、降って来た! 駅まで走ろう、八ちゃん」
八逗
「や、八ちゃんっ?! いきなりフレンドリーだな〜(///)」
越前かなみ
「土砂降りになるんだよ。濡れたくないじゃん」
八逗
「ハハハ……これじゃあ、傘持ってる意味無いな……。
{越前と相合傘したかったのにな……}」