第13話:クエスト
ギルド本部の冒険者ギルドは、私達が最初に冒険者登録をしたところよりも広く豪華だった。
受付に行き話を聞くと、信用レベルという依頼の達成度や命令の遵守度等を数値化したものは最大らしいが、冒険者としての今のランクで受けられるのは、どれも簡単なものらしい。
こちらとしても、ギルドマスターと会ったからと言って、クエストに慣れていないのに最初から難しいものを任せれても困るので、当然だろう。
その中でも、初めてのクエスト、それも戦闘の可能性があるものでおススメされたのが、『低級ゴブリン集落の偵察』というクエストだった。
どうやら、パルデノシアの外れにある巨大な自然公園に、悪趣味な貴族が飼っていたゴブリンを放ってしまったようで、普段人通りも少ない場所であったこともあってか被害は出ていなかったが、どうやらその放たれたゴブリン達が集落を築いているらしい。
公園の中で暮らしている分にはまだいいが、今後市街地へ出てこないとも限らないため、クエストが出されたようだ。
「偵察。と書いてあるが、別に殲滅してしまっても構わんのだろう?」
正直、前に戦ったゴブリン相手なら、数匹いたところで勝てそうに思える。
「はい。その場合は追加の報酬が支給されます。」
「なら話は早い。そのクエストを受けたい。」
「招致しました。クエストの期限は1週間となりますので、いいご報告を期待しております。それでは。」
クエストの受注が終わると、フィリスが話しかけてきた。
「『別に殲滅してしまっても構わんのだろう?』って、場所は公園ですから、ロレイアちゃんの魔術は使えないと思いますよ?火力が高すぎますから!」
「それに関しては、一応代替案はある。ひとまず装備品の貸し出しを受けるか。」
「私はこの杖だけで大丈夫ですけどね。」
杖があれば、というか、魔術が使えれば大抵の状況には対処できるだろう。だが……。
「万が一。ということもある。しっかり準備していこう。」
貸出のカウンターまで行きナイフを貸出ではなく新調する。
他の武器も見ると、どうやら剣がよく使われるようだ。
「あの剣凄いカッコいいんで!あの剣借りてもいいですかね!?」
フィリスが興奮した様子で指をさす先には、シンプルながらも刻印や装飾が施された剣があった。
フィリス曰く、カッコいいだけじゃなくて、魔術的な機能もあるらしい。
が、損壊時の支払額を見て驚愕した。
今回受けたクエストを10000回ほど達成しなければ、到底払えないような金額だった。
ギルドマスターに何もかも頼るわけにもいかない。というか、そこを弱みに何かされる可能性も捨てきれない。
であるのならば、多大な借金を背負うかもしれない選択はしたくない。
「いい剣ではあると思うが……万が一壊した時が怖いし、もっとランクが上がってから借りるか。」
「はあーい。わかりました……」
そういうわけで、装備を整え、公園へと向かう。
「そういえば、代替案ってなにするんですか?」
そういえば話してなかったか。
「元居た世界では、魔力の消費量が多すぎてほとんど使わなかったが、魔術で弾を生成する。」
「それって、この前の凄い魔術と何が違うんです?」
「あれは、マナをそのまま撃ち出していたが、今日のは魔力で疑似的に弾を作る。」
「前の魔術よりも、技術力も時間もかかるし、工程も多い。さらには殺傷力も低いが、1つ明確なメリットがある。」
「それは……?」
「短時間だが実態を保つことができる。つまり、作り貯めしとけるんだ。」
「公園に着いたら、少しその時間を取るが、問題ないな?」
「はい!わかりました!」
フィリスはそう元気よく返事をした。




