一件落着
「では約束通り、週に一度は参拝に来てください。多い分には大歓迎ですのでね。」
「はい、必ず守ります。本当にありがとうございました。」
ナナミが深々と頭を下げる様子を、ミツムネは上機嫌に見ていた。
「こちらこそ、ありがとうございました。」
そう言いながらヒラヒラ手を振るミツムネを横目に、ムツキが立ち上がりナナミに声を掛けた。
「表まで送るよ。」
部屋を出て、ムツキの後について歩いた。
「取られたばっかりだから、今日は気を付けてね。」
「はい、ありがとうございます。」
ムツキは歩きながらナナミを振り返った。
「もっと気楽に話していいよ。僕もその方が助かるから。兄さんもね。」
「あ、そうなんだ。分かったよ。」
ナナミの言葉を聞いて、ムツキはふわりと微笑んだ。
「ミツムネさんとムツキくんはこの神社の神様なんですか?」
「……うーん、まぁそんな感じかな。」
「あ、そうなんだ……。」
(あれ、あんまり聞いちゃいけないことだったのかな?)
ムツキの意外な反応にナナミは戸惑った。気まずい沈黙が流れ、床が軋む音や自分の足音がやけに大きく聞こえた。何だかここへ来たときも同じような感覚があったなぁと、ほんの一時間ほど前のことなのに懐かしく思った。だが、あのときあった不安はもう消えている。
「ムツキくん、ありがとう。」
小さな背中にそっと感謝を伝えると、彼は少しだけ振り返り花のような笑顔を見せた。




